差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
5,473 バイト追加 、 2026年1月20日 (火)
| '''インドラ''' || 火矢 || オーディン || ハーデース || セト || '''マルドゥク'''
|}
上の表を見ると、倒される神のほとんどは「BT」の子音である。それに対して、彼らの「母神」の多くは権威ある女神であって、倒されてはいない。例外はインドラと戦うダヌと、マルドゥクと戦うティアマトである。'''倒される「BT」の子音の子神が「蛇神」なのもインドとバビロニアの神話だけ'''である。すなわち、'''マルドゥクとティアマトの神話と、インドラとダヌの神話にはかなり強い相関があり、インドラとダヌの起源はバビロニア神話に近いところにあったのだと推察できる'''。北欧神話の「DN」の子音を持つユミルは、元は「DN」の子音を持つ母女神が倒される話だったものが、子神との混同が起こり、母神の名が息子の名にされてしまうと共に、性別も男性に変更されてしまったものと考える。おそらく、ゲルマンの伝承では、ヴリトラとプルシャもインド神話ほど厳密に2つに分けられておらず、混合習合して「巨人」と考えられていたのだろう。それが母親とされるダヌ女神と入れ替わってしまったのだと思う。よって、'''ユミルの子音からその起源を探るのであれば、ヤマではなくてティアマトに子音の一致を求めるべき'''と考える。 タキトゥスの記述を見るに、ゲルマン神話の神々の中でインドラに近い名は「'''ヘルミヌスあるいはヘイムダル'''」だと思うので、ユミルを倒したのは、当初はヘルミヌスやヒュミルに近い名の神だったと考える。カフカス的にはヘミッツがシルドンと争う神話が類話といえよう。しかし、時代が下るとオーディンがゲルマン系神話の主神となったので、ユミルを倒す神はオーディンとされることになったと考える。オーディンの起源はインド神話のヴァーユだと思うので、インドのヴァーユがインドラに近い神だったように、オーディンはヘルミヌスに近い神だとされていたのかもしれないと考える。
== トゥイストー、トヴァシュトリとユミル ==
=== 私的考察 ===
そもそもユミルを「雌雄同体」とする意味が分からない。神話の登場人物なので、男性が子供を産む設定があっても、その特性が当人の性別に影響を与えることにはならないと言い切って良いと考えるからだ。例えば日本神話では、天照大御神と須佐之男が「誓約(うけい)」という通常の人間の男女にはない方法で、それぞれが子供を産むが、だからといって彼らを雌雄同体であると考える日本人がいるだろうか。天照大御神は織り姫で女神だし、須佐之男は自分勝手な男神であると、誰が疑うだろうか。
 
トゥイストーとユミルが「語源的に近い」という問題は、「近い」といえば「近い」し、「違う」といえば「違う」としか言えない。東アジアでいえば、饕餮とムーダンが語源的に近い程度には近いと考える。印欧語において細かな子音の発音が時代や地域によってどう変化するとか、そのようなことは印欧語に疎い私には分からない問題である。(でも、少なくとも神々の語源を探り子音を検討する場合には、英語のrとlの発音の区別が分からなくても問題ないように思う。古代の人は言語学者ではないので、自分の神と余所の神を比べるときに、「その音は言語学的に同じではあり得ない」とかそんなことをいちいち論じたりせずかなり適当にやってたのではないだろうか。)
== トゥイストーとマンヌス ==
比較宗教学者のブルース・リンカーン(Bruce Lincoln)は、ジョルジュ・デュメジルの三機能仮説を援用し、トゥイストーとマンヌスの伝説はインド・ヨーロッパ語族の原創造神話にさかのぼるものだとしている。<ref>Bruce Lincoln, The Indo-European Myth of Creation, ''History of Religions'' 15.2 (1975), pp. 121-45.</ref>
 
=== 私的解説 ===
トゥイストーが「双子のイスト(TT)」という意味であれば、これは「二人の雷神」という意味と考える。この場合の「雷神」は西欧の文化圏なので「太陽神」とか「火神」とか「鍛冶神」に置き換えて考えることも可能だろう。近い神としてはローマのヤヌスの「ヤ」が「2」という意味を示すと考える。マンヌスはその雷神の子孫で、人類の祖なのだし、インドのマヌは「大洪水」を生き延びた神なので、古い起源としては、時代的には「'''二人の雷神を擁する[[河姆渡文化]]'''」あたりにあるのだろう。そこから更に時代が下った中国では、'''「デーヴァ」という男性の神のトーテムが豚から熊に置き換わった'''と思われる。おそらく、「'''豚の神は熊の神に殺され食われたのだから、熊になった'''」とでも言い張ったのではないだろうか。やはり直接の起源的には[[良渚文化]]が疑わしいように思う。そうやって、「熊トーテムの人(王)」とでも言うべき存在となったのが「'''マンヌス'''」だと考える。大洪水を生き延びた苗族の[[チャンヤン]]も名前に2つの「n」が含まれるので、彼も潜在的には'''熊'''なのだろう。
 
また、ケルト世界では「大洪水(水)を操る神」として海神マナナン・マク・リールとされたのではないだろうか。
 
デュメジルの述べる「インド・ヨーロッパ語族の原創造神話」というものがどういうものなのかは知らない。そもそも王権に関する「三機能」が明確な社会組織的に整備されたのは良渚文化あたりであって、更に「軍人階級」の起源は「'''チャンヤンを倒した女神が7人の「物(牛刀を管理する男性の組織)」を定めた'''」とされる古い時代に遡るから、元々印欧語族が考え出したものではないと考える。そのことは考古学的に「父系の王権がいつどこで発生したのか」という研究から証明できるのではないだろうか。もっとも長江文明の先駆的な在り方は最近分かってきたことだから、デュメジルが知ることはなかったのかもしれない。神話学者は、なるべく中国の最新の考古学的研究の成果に常にアンテナを張るべきと考える。最近の学者がデュメジルを元に研究したら、考古学的資料との相違が目立つばかりになって、恥をかくのは研究者自身ということになりかねないのではないだろうか。
== 注 ==
== 参考文献 ==
<!* Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%A5%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC トゥイストー](最終閲覧日:26-01-この節には、記事本文の編集時に実際に参考にした書籍等のみを記載して下さい。書籍の宣伝目的の掲載はおやめ下さい。-->20)* {{Cite book |和書 |author=* タキトゥス |others=[[泉井久之助]]訳 |title=, 泉井久之助訳, ゲルマーニア |publisher=[[, 岩波書店]] |series=[[, 岩波文庫]] |date=, 1979-04 |edition=, 改訳版 |, isbn=:978-4-00-334081-3 |, chapter=:2 ゲルマーニアの太古 |, pages=:pp. 29-35 |ref=, タキトゥス,泉井訳 1979 }}* {{Cite book |和書 |last=* Dronke |first=, Ursula Miriam |authorlink=, アーシュラ・ドロンケ |others=[[山室静]]訳 |chapter=, 山室静訳, ゲルマン神話 |title=[[ブリタニカ百科事典|, ブリタニカ国際大百科事典]] |volume=, 6巻 |publisher=[[TBSブリタニカ|, ティビーエス・ブリタニカ]] |year=, 1973 |page=609|id={{, p609, 全国書誌番号|74006376}}、{{NCID|:74006376、NCID:BN01561461}} |ref=ドロンケ,山室訳 1973 }} 
<small>※以下は翻訳元の英語版記事での参考文献であるが、翻訳に際して直接参照していない。</small>
* Jacob, Alexander (2005). ''Ātman: A Reconstruction of the Solar Cosmology of the Indo-Europeans.'' Georg Olms Verlag. ISBN 3-487-12854-3.
== 関連項目 ==
* '''[[アータル]]''':'''ゲルマン民族の起源について、神話からの考察'''
* [[祝融]]
* [[マンヌス]]
** [[マトゥヌス]]:ガリアのケルト系の熊神。マンヌスと類似した性質を持っていたのではないかと考える。
* [[トヴァシュトリ]]

案内メニュー