* キリスト教でも、狼は邪悪な害獣として扱われることが多く、[[七つの大罪]]では、[[ユニコーン]]や[[ドラゴン]]と同じく『憤怒』を象徴する動物として扱われることがある。
* 人間が狼に変身する[[狼男|人狼]]についての記述が古代よりしばしば見られる。ヨーロッパで狼を忌み嫌うのは中世キリスト教が、土着の信仰を駆逐するため人狼伝説を利用してきた影響も大きい。中世のヨーロッパでは、人狼の存在が信じられており、昼間は人間の姿をしている人狼が、夜間には狼の姿で他の人間を襲い、'''銀'''の武器(銀の弾丸など)でなければ倒すことが出来ないなどとされた。古代ローマの博物学者であるプリニウスは著書『博物誌』において、人狼が現われたという噂を紹介したうえで、このような変身の存在はでたらめであると否定している。イギリス本土の諸島では早い段階で狼が駆逐されたために、人狼の伝説は外国起源のものであり、魔法使いや巫女はたいてい猫や兎に化けることになってしまった、という説をセイバイン・ベアリング=グールドが唱えている<ref>ベヤリング・グウルド, 今泉忠義, 1955, 民俗学の話, 角川書店, 角川文庫, page43</ref>。
* [[インド]]にはオオカミが子供を育てたという噂が多数あり(インドにはオオカミが子供を育てたという噂が多数あり([[野生児|狼っ子]])、特に[[アマラとカマラ]]という少女の事例が知られる。* [[長野県]][[佐久市]]猿久保では、オオカミがお産する穴を発見したら、長野県佐久市猿久保では、オオカミがお産する穴を発見したら、[[赤飯]]を[[重箱]]に詰め村人が巣穴の前に供えた。オオカミはお産を無事に終えると空になった重箱を村人の家まで返却したという[[民話]]があるを重箱に詰め村人が巣穴の前に供えた。オオカミはお産を無事に終えると空になった重箱を村人の家まで返却したという民話がある<ref>佐久市志編纂委員会編纂『佐久市志 民俗編 下』(佐久市志刊行会、1990年)1119ページ</ref>。
* アイヌではエゾオオカミを「狩りをする神(オンルプシカムイ)」「ウォーと吠える神(ウォセカムイ)」など地域によって様々な呼び名があるが、雅語としての「大きな口の神(ホロケウカムイ)」は北海道全域で通じた。伝承では英雄を助ける、主人公を騙して夫にしようとする、いたずら好きなど様々な性格で語られるが、カムイのオオカミは白い毛を持つとされる<ref>[http://www.ainu-museum.or.jp/siror/book/detail.php?page=book&book_id=A0269 オオカミ、エゾオオカミ、狼] - アイヌと自然デジタル図鑑</ref>。
* [[カムチャッカ半島]]では、双子の父親はオオカミであるとされたカムチャッカ半島では、双子の父親はオオカミであるとされた<ref>[[Uno Harva]]: Die religiösen Vorstellungen der altaischen Völker. FF Communications N:o 125. Suomalainen Tiedeakatemia, Helsinki 1938, S. 473</ref>。 === 指導者や神 ===* 日本語のオオカミの語源は'''大神'''(おおかみ)とするように、日本では古くから狼信仰が存在している。日本書紀』には狼のことを「かしこき神(貴神)にしてあらわざをこのむ」と記述されており、また『大和国風土記』(逸文)には「[[真神]]」として神格化されたことが語られている。山の神として山岳信仰とも結びついており、狼信仰の中心となった飯舘[[山津見神社]]や秩父[[三峯神社]]や[[武蔵御嶽神社]]の[[狛犬]]はオオカミである。* [[エジプト神話]]には、狼の姿をした軍神[[ウプウアウト]]がおり、その名前は「道の開拓者」の意であり、戦場や[[冥界]]の水先案内人とされた。* [[アリストテレス]]の『[[動物誌 (アリストテレス)|動物誌]]』によると、[[ギリシア神話]]にて[[アポローン]]と[[アルテミス]]の双子を産んだ[[レートー]]は牝狼であるとしている。* [[古代ローマ]]の建国神話では、双子の建国者である[[ロムルス]]と[[レムス]]は{{ill2|雌狼|en|She-wolf (Roman mythology)}} に育てられたとされる。牝狼の乳房を吸う双子を描いたローマ時代の像が[[カピトリーノ博物館]]に所蔵されている。* [[北アジア]]の[[テュルク系]][[遊牧国家]]・[[突厥]]の中核となった氏族の[[阿史那氏]]には、戦いで置き去りにされた子供と[[アセナ]]という牝狼の間に誕生した子供たちが阿史那氏の祖先であるという神話伝承がある。狼は阿史那氏の[[トーテム]]であったほか、近代の[[トルコ|トルコ共和国]]でもトルコ民族の象徴として親しまれたりナショナリズムの象徴となったりしている。* [[モンゴル人]]の祖は[[ボルテ・チノ]](モンゴル語で「灰色の狼」の意)と呼ばれる。* [[ウェセックス王国]]の君主[[エゼルウルフ]]は「高貴なる狼」の意であり、民族的に繋がりがあるドイツ人の名前であるアドルフはエゼルウルフから来た語である。* [[ナチス・ドイツ]][[総統#ドイツ|総統]][[アドルフ・ヒトラー]]は、ニックネームとして「ヴォルフ(狼)」を使用した<ref>[http://www.christianengl.de/wolfsschanze.html Im Führerhauptquartier (FHQ)]</ref>。
== 分布・亜種 ==
一方、北海道および樺太・千島に生息した大型の亜種は、エゾオオカミ(Canis lupus hattai)と呼ばれている。大きさはシェパードほどで、褐色の毛色だったとされている。明治以降、入植者により毛皮や肉目的の狩猟で獲物のエゾシカが一時激減し、入植者が連れてきた牛馬などの家畜を襲って害獣とされ、懸賞金まで懸けられた徹底的な駆除により数が激減し、ジステンパーなどの飼い犬の病気の影響や1879年(明治12年)の大雪によるエゾシカ大量死が重なった結果、'''1900年(明治33年)頃に絶滅したと見られる。'''
===指導者や神===
* [[日本語]]のオオカミの語源は大神(おおかみ)とするように、日本では古くから狼信仰が存在している。『[[日本書紀]]』には狼のことを「かしこき神(貴神)にしてあらわざをこのむ」と記述されており、また『[[大和国風土記]]』(逸文)には「[[真神]]」として神格化されたことが語られている。山の神として[[山岳信仰]]とも結びついており、狼信仰の中心となった[[飯舘村|飯舘]][[山津見神社]]や[[秩父市|秩父]][[三峯神社]]や[[武蔵御嶽神社]]の[[狛犬]]はオオカミである。
* [[エジプト神話]]には、狼の姿をした軍神[[ウプウアウト]]がおり、その名前は「道の開拓者」の意であり、戦場や[[冥界]]の水先案内人とされた。
* [[アリストテレス]]の『[[動物誌 (アリストテレス)|動物誌]]』によると、[[ギリシア神話]]にて[[アポローン]]と[[アルテミス]]の双子を産んだ[[レートー]]は牝狼であるとしている。
* [[古代ローマ]]の建国神話では、双子の建国者である[[ロムルス]]と[[レムス]]は{{ill2|雌狼|en|She-wolf (Roman mythology)}} に育てられたとされる。牝狼の乳房を吸う双子を描いたローマ時代の像が[[カピトリーノ博物館]]に所蔵されている。
* [[北アジア]]の[[テュルク系]][[遊牧国家]]・[[突厥]]の中核となった氏族の[[阿史那氏]]には、戦いで置き去りにされた子供と[[アセナ]]という牝狼の間に誕生した子供たちが阿史那氏の祖先であるという神話伝承がある。狼は阿史那氏の[[トーテム]]であったほか、近代の[[トルコ|トルコ共和国]]でもトルコ民族の象徴として親しまれたりナショナリズムの象徴となったりしている。
* [[モンゴル人]]の祖は[[ボルテ・チノ]](モンゴル語で「灰色の狼」の意)と呼ばれる。
* [[ウェセックス王国]]の君主[[エゼルウルフ]]は「高貴なる狼」の意であり、民族的に繋がりがあるドイツ人の名前であるアドルフはエゼルウルフから来た語である。
* [[ナチス・ドイツ]][[総統#ドイツ|総統]][[アドルフ・ヒトラー]]は、ニックネームとして「ヴォルフ(狼)」を使用した<ref>[http://www.christianengl.de/wolfsschanze.html Im Führerhauptquartier (FHQ)]</ref>。
===軍事===