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54 バイト除去 、 2022年11月15日 (火) 20:46
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昔の日本人は、身の回りの生き物<!--※「生物」という自然科学的名称を避け、素朴な人々の呼び名として「生き物」を使っています。後段で使う「生物」は自然科学的生物の意。-->を呼び馴らわすに当たって「オニ(鬼)」の名を巧みに使ってきた。同類と思われる生き物同士の比較において「大きいとされているものよりひときわ大きい」という特徴を具えたものに対して用いた語構成要素が、'''接頭辞'''「'''オニ(鬼)'''」であった。この概念は、近世日本の本草学に取り入れられたのはもちろんのこと、西洋の自然科学である分類学でも踏襲されており、新種や改名を要する種の新しい和名を考案する際に用いられ続けている。具体的には、同類の中で通常の範疇にあって大きめのものは「'''オオ(大)'''」を冠して呼ぶのであるが、その大型種を凌駕するような大型種は「'''オニ(鬼)'''」を冠して呼ぶのである。オニネズミ(鬼鼠)、オニオオハシ(鬼大嘴)、オニアジサシ(鬼鯵刺)、オニゴジュウカラ(鬼五十雀)、オニカマス(鬼魳)、オニオコゼ(鬼虎魚)、オニアンコウ(鬼鮟鱇)、オニイトマキエイ(鬼糸巻鱏)、オニアサリ(鬼浅蜊)、オニクワガタ(鬼鍬形)、オニヤンマ(鬼蜻蜒)、オニヤドカリ(鬼宿借)、オニグモ(鬼蜘蛛)、オニユリ(鬼百合)などを例として挙げるが、これら以外にも夥しい数の生物に「オニ(鬼)」の名が用いられている。
接頭辞「オニ(鬼)」の用法は、上述のような大きさの比較ばかりではない。印象的な突起部を有することで[[角]]を有する鬼と紐付けされた結果の名付けもある。[[オニヒトデ]](鬼海星)とオニナマコ(鬼海鼠)の名は、全身[[棘]]({{small|とげ}})で埋め尽くされた禍々しい形態を角をもつ恐ろしい鬼と紐付けされた結果なのか、大きさ比較から来ているのか、はっきりしないものの、実際の形態は前者により説得力を持たせる。[[オニバス]](鬼蓮)の名は、恐ろしげな鋭い棘を具えていることに由来するとされている。ほかにも、[[シロオニタケ]](白鬼茸)などオニタケ(鬼茸)の仲間は、鬼の角のような疣({{small|いぼ}})を具えたきのこ(毒きのこ)であることからその名で呼ばれる。[[オニフスベ]](鬼燻、鬼瘤)は、大きな瘤({{small|ふすべ}})に見えることからその名で呼ばれるが、近縁種と比較しての名付けかどうかは不明である。接頭辞「オニ(鬼)」の用法は、上述のような大きさの比較ばかりではない。印象的な突起部を有することで角を有する鬼と紐付けされた結果の名付けもある。オニヒトデ(鬼海星)とオニナマコ(鬼海鼠)の名は、全身棘(とげ)で埋め尽くされた禍々しい形態を角をもつ恐ろしい鬼と紐付けされた結果なのか、大きさ比較から来ているのか、はっきりしないものの、実際の形態は前者により説得力を持たせる。オニバス(鬼蓮)の名は、恐ろしげな鋭い棘を具えていることに由来するとされている。ほかにも、シロオニタケ(白鬼茸)などオニタケ(鬼茸)の仲間は、鬼の角のような疣(いぼ)を具えたきのこ(毒きのこ)であることからその名で呼ばれる。オニフスベ(鬼燻、鬼瘤)は、大きな瘤(ふすべ)に見えることからその名で呼ばれるが、近縁種と比較しての名付けかどうかは不明である。
また、オニカッコウ(鬼郭公)の近縁でひときわ大きなものに付けられた「[[オオオニカッコウ]](大鬼郭公)」のように、「オニ(鬼)」に「オオ(大)」を重ねる例もある。実際、この鳥は[[カッコウ]]類の世界最大種である。[[オニバス]](鬼蓮)の近縁でひときわ大きな別属として[[オオオニバス]](大鬼蓮)があるが、オニバスの「オニ」が大きさ比較に関わっていないため、大きさ比較の2段重ねではない。「オオ(大)」とは反対に「コ(小)」を重ねる例もあって、「[[オニユリ]](鬼百合)」の近縁種を「コオニユリ(小鬼百合)」と命名したのはこれに当たる。

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