竹取説話に関しては、女主人公の側から見れば、「会ってはならない者」と会ったために、昇天(死ななければならなかった)物語、ともいえる。三輪山の百襲姫伝説(見るな)、不完全ではあるが宮簀媛と日本武尊(月の穢れ)等である。そのように考えると、かぐや姫は会ってはならない者(天皇)と会ったために死ななければならなかった。なぜなら彼女自身が「月(穢れ)」そのものだったから、という見方もできるかもしれない、と思う。要は「竹取説話」の場合は、昇天そのものが罰だったのかもしれない。ただ言えることは竹取説話は、様々なモチーフが組み合わされた創作性の高い物語である、ということである。
== その他 ==
=== イナンナとフルップ(ハルブ)の樹( "Inanna and the Huluppu Tree") ===
これはシュメール語のギルガメシュ叙事詩(前3500年頃 - 前3100年頃)にみられるエピソードである<ref>メソポタミアの神話 世界の神話I、矢島文夫著、筑摩書房、11-120p</ref>。
ブラヌン川(ユーフラテス川)のほとりに一本のフルップ木(柳)が生えていた。ある日、激しい南風によって柳の木は倒され、川が溢れて洪水となり、フルップ木は流れ出した。
イナンナはブラヌン川に流れていたフルップ木を引き上げ、彼女の神殿があるウルクに運び、「聖なる園」にこれを植えた。彼女はこの木を育てて、自分の椅子と寝台を作ろうと考えた。
しかし、その時[[ズー|(アン)ズー]]がやって来て、天まで届こうかというその樹のてっぺんに巣を作り、雛を育て始めた。
さらに樹の根にはヘビが巣を作っていて、樹の幹には[[リリス]]が住処を構えていた。リリスの姿は大気と冥界の神であることを示していたので、イナンナは気が気でなかった。
しばらくの後、いよいよこの樹から支配者の印をつくる時が来た時、リリスにむかって聖なる樹から立ち去るようにお願いした。
しかしながら、イナンナはその時まだ神に対抗できるだけの力を持っておらず、リリスも言うことを聞こうとはしなかった。彼女の天真爛漫な顔はみるみるうちに失望へと変わっていった。そして、このリリスを押しのけられるだけの力を持った神は誰かと考えた。そして彼女の兄弟である太陽神[[シャマシュ|ウトゥ]]に頼んでみることになった。
暁方にウトゥは日々の仕事として通っている道を進んでいる時だった。イナンナは彼に声をかけ、これまでのいきさつを話し、助けを懇願した。ウトゥはイナンナの悩みを解決しようと、銅製の斧をかついでイナンナの聖なる園にやって来た。
ヘビは樹を立ち去ろうとしないばかりかウトゥに襲いかかろうとしたので、彼はそれを退治した。ズーは子供らと高く舞い上がると天の頂きにまで昇り、そこに巣を作ることにした。リリスは自らの住居を破壊し、誰も住んでいない荒野に去っていった。
ウトゥはその後、樹の根っこを引き抜きやすくし、銅製の斧で輝く王冠と輝くベッドをイナンナのために作ってやった。彼女は「他の神々と一緒にいる場所ができた」ととても喜び、感謝の印として、その樹の根と枝を使って「プック(Pukku)とミック(Mikku)」(輪と棒)を作り、ウトゥへの贈り物とした。
なお、この神話には、ウトゥの代わりに[[ギルガメシュ]]が同じ役割として登場する[[ギルガメシュ叙事詩|ヴァリエーション(変種)]]がある。
== 参考文献 ==