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{{出典の明記|date=2019年4月9日 (火) 02:59 (UTC)}}{{生物分類表|名称 = ロバ|画像 = [[ファイル:Donkey in Clovelly, North Devon, England.jpg|250px]]|画像キャプション = ロバ|省略=哺乳綱|目 = [[ウマ目|奇蹄目]] [[w:Odd-toed ungulate|Perissodactyla]]|科 = [[ウマ科]] [[w:Equidae|Equidae]]|属 = [[ウマ属]] ''[[w:Equus|Equus]]''|亜属 = ロバ亜属 ''[[w:Asinus|Asinus]]''|種 = [[アフリカノロバ]] ''[[w:Equus africanus|E. africanus]]''|亜種 = '''ロバ''' ''E. a. asinus''|学名 = {{Snamei||Equus africanus asinus}}<br />{{AU|[[カール・フォン・リンネ|Linnaeus]], [[1758年|1758]]}}}}'''ロバ'''('''驢馬'''、馿馬)は、[[哺乳類|哺乳綱]][[奇蹄目]][[ウマ科]]ウマ属ロバ亜属(、馿馬)は、哺乳綱奇蹄目ウマ科ウマ属ロバ亜属(''Asinus'')の総称、もしくは、[[アフリカノロバ]]の家畜化された亜種である )の総称、もしくは、アフリカノロバの家畜化された亜種である ''Equus africanus asinus''。以下では主に ''Equus africanus asinus'' について述べる。
別名'''うさぎうま'''(兎馬)<ref>{{Cite web|和書|url=https://kotobank.jp/word/%E5%85%8E%E9%A6%AC-439476#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89|title=, 兎馬/驢 ウサギウマ|work=[[小学館]][[大辞泉|デジタル大辞泉]]|publisher=[[, 小学館デジタル大辞泉, コトバンク]]|accessdate=, 2017-09-23}}</ref>。古代から[[家畜]]として使用される。現生ウマ科の中で一番小型だが、力は強く、[[記憶]]力も良い。[[学名]] 。古代から家畜として使用される。現生ウマ科の中で一番小型だが、力は強く、記憶力も良い。学名 ''Equus asinus''(エクゥス・アシヌス)は、[[ラテン語]]で「馬・ロバ」の意。 == ロバ亜属 ==* [[アフリカノロバ]] ''Equus africanus'' - 家畜ロバの[[原種]]。** '''''Equus africanus asinus''''' - 家畜のロバの学名。** ''Equus africanus somaliensis'' - 亜種ソマリノロバ。* [[アジアノロバ]] ''Equus hemionus'' - 5亜種に分かれる。** ''Equus hemionus hemionus'' - [[モンゴル]]亜種。** ''Equus hemionus hemippus'' - [[シリア]]亜種、絶滅。** ''Equus hemionus kulan'' - [[トルクメニスタン]]亜種。** ''Equus hemionus onager'' - [[イラン]]亜種。オナガー。** ''Equus hemionus khur'' - [[インド]]亜種。* [[チベットノロバ]](キャン) ''Equus kiang'' - [[チベット語]]でキャン({{Bo|t=རྐྱང་|w=rkyang}})。[[チベット高原]]に生息し、地域で3亜種に分かれる。** ''Equus kiang kiang'' - 西部亜種。** ''Equus kiang holdereri'' - 東部亜種。** ''Equus kiang polyodon'' - 南部亜種。(エクゥス・アシヌス)は、ラテン語で「馬・ロバ」の意。
== 形態 ==
体高は90~150㎝。体重は品種によるが平均260㎏。暑く乾燥した地域ほど大型化しやすい。大きな耳が特徴体高は90~150㎝。体重は品種によるが平均260㎏。暑く乾燥した地域ほど大型化しやすい。'''大きな耳が特徴'''<ref>大渕希郷『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』緑書房、2023年7月10日、166頁。</ref>。
== 生態・特徴 ==
[[画像:Donkey skeleton at MAV-USP.jpg|upright|thumb|全身骨格]]
乾燥した環境や山道などの不整地に強い。家畜としては、比較的少ない[[餌]]で維持できる。動物園ではイネ科の牧草や草食動物用ペレットが与えられている。[[寿命]]は長く、飼育環境によっては30年以上、動物園などの適切な施設管理では40~50年生きることがある乾燥した環境や山道などの不整地に強い。家畜としては、比較的少ない餌で維持できる。寿命は長く、飼育環境によっては30年以上、動物園などの適切な施設管理では40~50年生きることがある<ref name="ReferenceA">大渕希郷『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』緑書房、2023年7月10日、166~167頁。</ref>。
足の蹄が割れるなどして悪化すると歩行困難となるため、定期的に削蹄師が診断して蹄を整える必要がある<ref>大渕希郷『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』緑書房、2023年7月10日、168頁。</ref>。
[[File:Donkey's ear.jpeg|200 px|thumb|left|ロバの耳]]
ロバと[[ウマ]]は気質に違いがあると言われる。ウマは好奇心が強く、社会性があり、繊細であると言われ、反してロバは新しい物事を嫌い、朴訥で駆け引き下手で、図太い性格と言われる{{sfn|木村|2002|pp=5-8}}。実際、ロバのコミュニケーションはウマと比較して淡白であり、多頭曳きの[[馬車]]を引いたり、[[馬術]]のように乗り手と呼吸を合わせるような作業は苦手とされる{{sfn|ロバとウマは気質に違いがあると言われる。ウマは好奇心が強く、社会性があり、繊細であると言われ、反してロバは新しい物事を嫌い、朴訥で駆け引き下手で、図太い性格と言われる。実際、ロバのコミュニケーションはウマと比較して淡白であり、多頭曳きの馬車を引いたり、馬術のように乗り手と呼吸を合わせるような作業は苦手とされる<ref>木村|, 2002|pp=5, pp5-8}}。ただ訓練をすれば、健康診断の採血や体重測定などを促してスムーズに行うことができるため、一部の動物園では保定作業の効率化のために実施している施設もある<ref>大渕希郷『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』緑書房、2023年7月10日、167頁。</ref>。
野生のウマは、序列のはっきりした{{仮リンク|ハレム (動物学)|label=ハレム|en|Harem (zoology)}}社会を構成し[[群れ]]を作って生活するが、主に食料の乏しい地域に生息するロバは恒常的な群れを作らず、雄は[[縄張り]]を渡り歩き単独で生活する{{sfn|野生のウマは、序列のはっきりしたハレム社会を構成し群れを作って生活するが、主に食料の乏しい地域に生息するロバは恒常的な群れを作らず、雄は縄張りを渡り歩き単独で生活する。ロバの気質はこうした環境によって培われたものと考えられる。ただし、アメリカのジョージア州にあるオサボー島で再野生化したノロバのように、豊富な食料がある地域ではハレム社会を構成する場合もある<ref>木村|, 2002|pp=71-72}}。ロバの気質はこうした環境によって培われたものと考えられる{{sfn|木村|2002|pp=5, pp5-8}}。ただし、アメリカの[[ジョージア州]]にある[[シー諸島#ジョージア州|オサボー島]]で再[[野生化]]したノロバのように、豊富な食料がある地域ではハレム社会を構成する場合もある{{sfn|木村|2002|pp=, 71-72}}</ref>
繁殖期は春~夏で、妊娠期間は約360日<ref name="ReferenceA"/>。
[[ファイル:Omo River Valley IMG 9548.jpg|thumb|家畜化]]
最初に家畜として飼われ始めたのは、紀元前5000年頃に野生種のアフリカノロバを飼育したものとされる。古代から乗用、荷物の運搬などの使役に重用されたが、ウマに比べると従順でない性質があり、小型でもあるのが家畜として劣る点であった。逆にウマよりも優れていたのが、非常に強健で粗食に耐え、管理が楽な点であった。
 
野生種の中で現存するのは、ソマリノロバ (''Equus africanus somaliensis'') のみであり、[[ソマリア]]と[[エジプト]]の[[国境]]地帯に見られたが、[[ソマリア内戦]]の影響で激減したため、現在はその大部分が[[イスラエル]]の野生保護区で飼育されている。一方、[[ハワイ島]]には家畜から野生化したロバが多数生息している。
 
飼い主に捨てられた無数のロバが野生化した結果、最近では[[ブラジル]]北東部各地でトラブルを引き起こしている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.newsweekjapan.jp/picture/163461.php|title=ブラジルを悩ますロバの野生化|publisher=|date=2016-01-26|accessdate=2021-06-06}}</ref>。
=== ユダヤ人との関係 ===
荒涼としたステップ地帯、砂漠地帯、あるいは山岳地帯などを放浪していた[[ユダヤ人]]は、ロバを知る古い民族のひとつであり、そのため彼らの伝承や戒律などにもロバに関わるものが少なからずある。荒涼としたステップ地帯、砂漠地帯、あるいは山岳地帯などを放浪していたユダヤ人は、ロバを知る古い民族のひとつであり、そのため彼らの伝承や戒律などにもロバに関わるものが少なからずある。
古代、ユダヤ人たちの間では、ロバに乗ることを禁じた日があった。[[イエス・キリスト|イエス]]が[[キリスト]]([[ユダヤ]]の王)として、ロバに乗って[[過越|過ぎ越し]]の日に[[エルサレム]]に入る記述が聖書にある。古代、ユダヤ人たちの間では、ロバに乗ることを禁じた日があったイエスがキリスト(ユダヤの王)として、'''ロバに乗って'''過ぎ越しの日にエルサレムに入る記述が聖書にある。
前近代の[[イスラム教|イスラム]]社会では時の施政者次第で[[ユダヤ教]]徒や[[キリスト教]]徒への迫害が行われ、その際にロバ以外への騎乗を禁じられる事もあった。前近代のイスラム社会では時の施政者次第でユダヤ教徒やキリスト教徒への迫害が行われ、その際にロバ以外への騎乗を禁じられる事もあった。
=== ガード・ドンキー ===
[[スイス]]や[[ドイツ]]などの欧州の国々ではスイスやドイツなどの欧州の国々では<ref>[https://japan-wolf.org/faq/ Q&A] - 日本オオカミ協会</ref>、護衛犬の代わりにロバを使っている地域もある。ロバはオオカミと犬に対してきわめて攻撃的なのだという<ref>{{Cite web|和書|url=https://japan-wolf.org/2011/12/19/%E5%AE%B6%E7%95%9C%E8%A2%AB%E5%AE%B3%E3%81%AE%E6%87%B8%E5%BF%B5%E3%81%AF%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%82%AB%E3%83%9F%E5%BE%A9%E6%B4%BB%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E3%81%AE%E7%90%86%E7%94%B1%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B/|title=, 家畜被害の懸念はオオカミ復活反対の理由になるのか? |publisher=|date=, 2011-12-19|accessdate=2021, 021-03-13}}</ref>。
英語では護衛ロバの事を「ガード・ドンキー」と呼んでおり、比較的小規模の牧場や家庭菜園レベルの放牧地で{{仮リンク|家畜番犬|en|Livestock guardian dog|label=護衛犬}}の代替として導入することが推奨されている。初めて導入する際には雌ロバや去勢済みの雄ロバが用いられるが、家畜の群れの中で生まれ育ち、周囲の家畜を友とする縄張り意識を獲得した雄ロバが護衛ロバの候補としては最適とされている。護衛ロバは護衛犬と比較して「集団で襲ってくる野犬や[[オオカミ]]、[[ピューマ]]や[[クマ]]など自分より大きな捕食者には対抗出来ず、[[アライグマ]]や鳥などの小動物による農作物の被害を農場主に積極的に通知する事も無い」事が短所であるが、「一晩中吠え続けて近所に騒音被害を及ぼす様な事は無く、大型の護衛犬に馴れていない訪問客にとっては物理的にも安全である」事が長所とされる。護衛犬のように家畜の回りをパトロールする習性は持たず、捕食者が侵入するまでは家畜と共に牧草を食べているが、鋭い聴覚で捕食者の侵入を察知すると、自分の縄張りが侵されたと判断して侵入者に真っ直ぐ向かっていく性質を持つ。ロバは本能的に[[イヌ属]]の動物に対して攻撃的であり、ウマのように自分達だけ真っ先に逃げ出してしまう事もなく、単独で牧草地への侵入を試みる[[コヨーテ]]や野犬、[[キツネ]]や[[ハイエナ]]等に十分に対峙できる能力を有しているとされる。ロバはイヌ属と対決する際、首に噛み付いて振り回したり、噛みながら前足で踏み潰す様に激しい攻撃を繰り返す事が特徴で、家畜の群れに導入したばかりの雄ロバの場合、ヒツジ等の家畜や護衛犬ではない普通の飼い犬がうっかり近づくと激高して踏み殺してしまう事もあるため、護衛ロバを育成する際には農場主にロバの生態や本能に対する正しい知識が必要になるという<ref>[https://modernfarmer.com/2014/06/modern-farmers-guide-guard-donkeys/ Modern Farmer’s Guide to Guard Donkeys] - Modern Farmer</ref>。なお、南米諸国や[[アメリカ合衆国西部|米国西部]]では護衛ロバとほぼ同じ用途で雌や去勢済みの雄[[リャマ]]が{{仮リンク|護衛リャマ|en|Guard llama}}として育成される。

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