== 私的考察 ==
シームルグは世界樹的な聖なる木、あるいは聖なる山に住む霊鳥とされる。神霊としては「下位の神」となるのだろうが、その分人間の生活に大きく関わる存在ともいえる。
王書を始め、神話世界のシームルグはおおむね雄として描かれるように思うが、民間伝承では異なり雌として描かれる場合もある。例えばパミール高原の民話「英雄ディックベール」では明確に「雌」として描かれる。民間伝承のシームルグは「邪悪な蛇」とも対立しており、インド神話のガルーダにも似た性質を持っている。シームルグとガルーダは起源的に「同じ」であり、本来は雌であったことが示されていると考える。