である。
# 1は1は「奈具神社由来譚」型である。理由は定かでないが、上位の女神も罰を受けて、ダメージを生じる。物語によっては、瓜子姫の死に繋がる。古事記の中では織女の死に起因する「天照大神の岩戸隠れ」に相当する。織女の死は、直接天照大神には関わらないはずだが、天照大神もダメージを受けて隠れてしまう。#1の「女神が罰を受ける」という要素が2にも入り込んで、天邪鬼の死も罰である、という理由付けがなされる。「ペルセポネー」型といえる。古事記の中では「大宜津比売の死」に相当する。
古事記では天照大神の岩戸隠れと大宜津比売の死は、直接は関連しないように書かれているが、この2つが組み合わさって民間伝承化したものが、「瓜子姫と天邪鬼」だと考える。物語の中で明らかな「冥界神」は登場しない。類話であるハイヌウェレでも確たる「冥界神」は登場せず、登場するのはギリシア神話である。ただし、結婚に関連する物語であることは、物語の中でも示唆されている。西欧に流布している「三つのオレンジ(シトロン)」系の物語でも、
* 結婚との関連は示唆されるが、はっきりとした冥界神は登場しない。
ので、日本に物語が入ってくる前から、「岩戸隠れ」型、「ペルセポネー(あるいはハイヌウェレ)」型、「瓜子姫」型の3種類の型に物語は分かれていたものと思われる。更に古い物語の起源としては
<blockquote>
太陽が射落とされて2つに分かれ、1つが月に変化した(死んだ)。
</blockquote>
という台湾的な「射日神話」と関連していると考える。二つに分かれてしまった結果、「太陽(=瓜子姫)」として残った方もダメージを受けたり、一時的に隠れたり、時に死んだりする。「月(=天邪鬼)」の方は必ず死ぬ、となるのだと思う。