「バジ」の版間の差分
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2025年1月4日 (土) 13:47時点における版
バジは台湾原住民の伝承に登場する邪視の持ち主。邪視の伝承の原型ではないだろうか。バリという名もある。
邪視男バジの話
台湾のパイワン族中部パイワン群チャジャアプス社(ライ社)に次のような伝承がある。
昔バジという男がいた。その親指の節間と両眼とに、怪光あり。これに射られた者はみな死んだ。よって、家人が食事を与える時は、頭に布を被らせた。ある日、漢人がバジを殺して、その首を布に包んで持ち帰った。ウジジジュジで包みを開くと、その目はなお赤く光り、漢人はみなこれに射られて死んだ。バジの住んだ家の跡は未だにあるという。[1]。
バリ
台湾のパイワン族中部パイワン群カビヤガン社の伝承。
昔バリになった(目から光の出る)人がいた。彼が見るものは何でも死んでしまった。配下は彼を恐れて、山の中に家を作り、彼をそこへ送った。しかし、食べ物は与えていた。その費用が大変なので、バリを殺そうとした。バリは切りつけられると、怒って睨みつけたので、切りつけた本島人は死んでしまってわずかしか残らなかった。バリが死んだので、首を取って布に包み、家に持ち帰った。ところが、見物に来た人たちはみなバリの目を見ると死んでしまった。「これはいけない」ということで生き残った人々は首を川へ持って行って淵の中に入れた。それからそこは常に不吉で、そこへ行くとみな病気になるそうだ[2]。
私的解説
台湾原住民の「邪視」男は、その眼が赤く、怪しい光を放つ、というのが定番のようである。「射られた」という言葉にあるように、これは「弓矢」のような武器に長けた者のことを指していると思われる。また、「火」のような光線を放つことから、祝融のように火を自在に操る神のことを連想させる。
おそらくこれは、弓の名人である羿のような黄帝型の英雄神と、祝融のような火神を習合させた合成神ではないか、と考える。