差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
7,890 バイト追加 、 2022年10月21日 (金) 21:50
ページの作成:「'''テングノムギメシ'''(天狗の麦飯)とは日本の中部地方の火山地帯に産生する微生物の塊である<ref name="cinii.110007520301">[https:…」
'''テングノムギメシ'''(天狗の麦飯)とは日本の中部地方の火山地帯に産生する微生物の塊である<ref name="cinii.110007520301">[https://ci.nii.ac.jp/naid/110007520301 「天狗の麦飯」微生物群集構造の深度別比較] 日本微生物生態学会講演要旨集 (25), 7, 2009-11-21</ref>。産生地のひとつ、長野県小諸市のものは天然記念物に指定されているため採取が禁止されているほか、他の産生地も国立公園内にあり採集をする為には国の許可が必要である。

== 特徴 ==
色は[[褐色]]<ref>{{Cite web |url=https://kotobank.jp/word/テングノムギメシ(天狗の麦飯)-102270 |title=テングノムギメシ(天狗の麦飯) ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説 |website=コトバンク |accessdate=2022-06-08 }}</ref><ref name="kotobank_seisen">{{Cite web |url=https://kotobank.jp/word/天狗麦飯-2065633 |title=精選版 日本国語大辞典「天狗麦飯」の解説 |website=コトバンク |accessdate=2022-06-08 }}</ref>、灰褐色<ref>{{Cite web |url=https://kotobank.jp/word/天狗の麦飯-577839 |title=デジタル大辞泉「天狗の麦飯」の解説 |website=コトバンク |accessdate=2022-06-08 }}</ref><ref>{{Cite web |url=https://kotobank.jp/word/テングノムギメシ-1566121 |title=日本大百科全書(ニッポニカ)「テングノムギメシ」の解説 |website=コトバンク |accessdate=2022-06-08 }}</ref>、淡灰緑色などで<ref name="kotobank_seisen" />、形はさまざまであるが、大きさは0.1mmから1cmぐらいの小さな粒状で、弾力があり、乾燥すると[[味噌]]の塊のように見える。「食べられる土」<ref>[[藤井義晴]]:[https://doi.org/10.11402/cookeryscience1995.41.3_204 未利用植物の有効利用と調理科学への期待] 日本調理科学会誌 Vol.41 (2008) No.3 p.204-209</ref>として紹介される事もあり、古くは長者味噌、'''[[上杉謙信|謙信]]味噌'''や'''飯砂'''(いいずな)とも呼ばれた。「[[モモ|桃]]の[[木]]から[[分泌]]される[[樹脂]]を少し堅くしたもの」を想像するとよい、と菌類学者の[[小林義雄(菌類学者)|小林義雄]]は記している。長野県の「[[飯縄山]](飯綱山)」の名称はこれに由来する。

[[明治]]の半ばより多くの[[生物学]]者の目を引き、大野直枝、[[川村多実二]]、[[ハンス・モーリッシュ]]など、多くの[[研究者]]がこれに係わっている。その結果によると、[[藍藻|藍藻類]]、[[細菌|細菌類]]、[[古細菌|古細菌類]]、[[糸状菌]]などがそこから見出されており、その正体は[[菌類]]・[[藻類]]の複合体といわれている。また、微生物学者の[[中村浩]]によると、{{要出典範囲|[[メタノコッカス属|''Methanococcus'']]、''Methanobacillus''(現在は無効名)といった[[メタン菌]]と、''Gloeocapsa''、''Gloeothece''などの[[藍藻]]の共生体という|date=2014年10月}}。

2010年に行われた調査では、10種類程度の[[真正細菌]]の集合体で<ref name="cinii.110007520301"/>、''Ktedonobacteria'' 綱 ''Ktedonobacterales'' 目、''γ-proteobacteria'' 綱 ''Ellin307''/WD2124、''α-proteobacteria'' 綱 ''Beijerinckiaceae''/Methylocystaceae,''Acidobacteria'' 門 ''subdiv.'' などが検出された<ref>[[宮下英明]][https://kaken.nii.ac.jp/d/p/21651102.en.html :「天狗の麦飯」形成・維持機構の解明] </ref>。

== 分布 ==
[[戸隠山]]、[[黒姫山 (長野県)|黒姫山]]、飯縄山、[[群馬県]][[嬬恋村]]、[[浅間山]]周辺など比較的[[高地]]に分布。

== 産生の状況 ==
山間部の草地で、凝灰質火山噴出物中<ref>[https://doi.org/10.3720/japt.20.144 井島信五郎:野尻湖附近天然ガス地域の地質について]石油技術協会誌 Vol.20 (1955) No.5 P144-151</ref>の[[地下]]に層をなして見つかる。深さは地下数センチから40cm程度に渡って分布し、場所によっては地上に露出し、深いところでは2mにも達する。長野県小諸市では産出地が国の[[天然記念物]]に指定されている。他に[[群馬県]][[嬬恋村]]にも産生地がある。産生地は[[天然ガス]]の産出地<ref name="japt.20.65">[https://doi.org/10.3720/japt.20.65 長野縣小諸附近の天然ガス] 石油技術協会誌 Vol.20 (1955) No.3 P65-71</ref>であることから生育には天然ガスが必要と考えられたこともある<ref name="japt.20.65"/><ref>[https://doi.org/10.3720/japt.20.152 野尻湖附近天然ガス地域の地化学調査] 石油技術協会誌 Vol.20 (1955) No.5 P152-160</ref>が、実態は解明されていない。

=== 天然記念物の指定 ===
[[File:Tengu-no-Mugimeshi Protected areas Natural monument monument.jpg|thumb|right|小諸市味噌塚のテンギノムギメシ産地。2017年8月撮影。]]
産生地のうち、[[しなの鉄道]]・[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)[[小諸駅]]の南東約1kmにある通称“味噌塚”と呼ばれる小高い丘の一角が、'''テングノムギメシ産地'''({{Coord|36|19|5.7|N|138|25|53.2|E|region:JP-20|name=テングノムギメシ産地}})として、[[1921年]](大正10年)[[3月3日]]に国の[[天然記念物]]の指定を受けている。分類は藻類・細菌類の発生地としての指定である<ref>{{国指定文化財等データベース|401|1158|テングノムギメシ産地}}
</ref>。

== 利用 ==
産生地では古くからテングノムギメシを「[[修験者]]が食用にしていた」「飢饉の時に食べた」などの伝説があり<ref>{{Citation|和書
| url = http://www.ja-nagano.iijan.or.jp/legend/2011/03/73.php
| archiveurl = https://web.archive.org/web/20141020071038/http://www.ja-nagano.iijan.or.jp/legend/2011/03/73.php
| editor = 牟礼村公民館民話教室
| title = 飯綱山の伝説 {{!}} ふるさと昔話
| publisher = [[ながの農業協同組合|JAながの]]
| accessdate = 2014-10-20
| archivedate =2014-10-20
}}</ref>、産生地一帯は通称「味噌塚」と呼ばれている(小諸市甲味噌塚)<ref>{{Cite web |url=https://www.82bunka.or.jp/bunkazai/detail.php?no=1455&seq=0 |title=テングノムギメシ産地 |publisher=八十二文化財団 |accessdate=2022-06-08 }}</ref>。特に[[味]]はなく、[[食中毒]]や[[感染症]]、[[消化器|胃腸]][[病気|障害]]を起こすなど有害であるとの報告もないため食べること自体は可能であると考えられている。

== 出典 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
*{{Citation|和書
| author = 小林義雄
| author-link = 小林義雄 (菌類学者)
| title = 菌類の世界
| year = 1975
| publisher = [[講談社]]
| series = [[ブルーバックス]]
| isbn = 978-4-06-117870-0
| id = {{全国書誌番号|69000711}} }}
*{{Citation|和書
| author = 椿啓介
| author-link = 椿啓介
| title = カビの不思議
| year = 1995
| publisher = [[筑摩書房]]
| series = ちくまプリマーブックス
| isbn = 978-4-480-04187-6 }}
*{{Cite book|和書|author=井上勲|authorlink=井上勲 (藻類学者)|year=2007|title=藻類30億年の自然史(第2版) - 藻類から見る生物進化・地球・環境|publisher=[[東海大学出版会]]|id=ISBN 978-4-486-01777-6}}
*{{Citation|和書
| title = 日本の天然記念物
| pages = 605 , 607
| year = 1995
| publisher = 講談社
| isbn = 4-06-180589-4 }}

== 外部リンク ==
* [https://www.city.komoro.lg.jp/official/kanko_sangyo/kanko/rekishi_bunka/3561.html テングノムギメシ産地] - 小諸市

{{DEFAULTSORT:てんくのむきめしいいすな}}
[[Category:日本神話]]
[[Category:菌類]]
[[Category:藻類]]

案内メニュー