=== 対オロチ用の武器になった説 ===
古代人の思想で、女性は生命力の源泉と考えられていた<ref group="注">これは女性が新たな命を生み出す能力を持つことに由来すると考えられ、身体的な性別を指す面が大きい。</ref>。スサノオがクシナダヒメを櫛に変えた理由は、ヤマタノオロチに対抗するために女性そのものを身に着ける。スサノオがクシナダヒメを櫛に変えた理由は、[[八俣遠呂智|ヤマタノオロチ]]に対抗するために女性そのものを身に着ける<ref group="注">元が女性でも、櫛に変えた時点で身体的には性別のない物体になってしまうが、ここでは「元が女性であれば、たとえ性別のない物体に変わっても本質的には女性のまま」と解釈する。</ref>ことで、女性の有する生命力を得ようとしたためと考えられる。ことで、女性の有する生命力<ref group="私注">何のことだろう? 男性には生命力がないという性差別的発想だろうか?</ref>を得ようとしたためと考えられる。
戦いの場に持っていくのであれば、櫛よりも[[剣]]や[[矛]]など武器の類に変えたら一層有利であったと考えられるのに、スサノオは櫛を選択している。それは女性の有する生命力だけでなく、櫛の持つ呪力も同時に得ようとしたためである戦いの場に持っていくのであれば、櫛よりも剣や矛など武器の類に変えたら一層有利であったと考えられるのに、スサノオは櫛を選択している。それは女性の有する生命力だけでなく、櫛の持つ呪力も同時に得ようとしたためである<ref group="注">元が女性であるため、直接殺生に関わる武器に変化させるのは不適切だった(仮にクシナダヒメを殺傷能力のある武器に変化させてその武器でオロチに止めをさした場合、クシナダヒメ自身がオロチを殺したことになる)という見方もできる。</ref>。日本では古来、櫛は呪力を持っているとされており、同じ『古事記』において[[イザナギ]]は、妻の[[イザナミ]]が差し向けた追っ手から逃れるために、櫛の歯を後ろに投げ捨てたところ、櫛が[[筍]]に変わり難を逃れている。また、櫛は生命力の横溢する[[竹]]を素材として作られていたため、魔的存在に対する際に極めて有効な働きを為すものと考えられたと思われる。日本では古来、櫛は呪力を持っているとされており、同じ『古事記』においてイザナギは、妻のイザナミが差し向けた追っ手から逃れるために、櫛の歯を後ろに投げ捨てたところ、櫛が筍に変わり難を逃れている。また、櫛は生命力の横溢する竹を素材として作られていたため、魔的存在に対する際に極めて有効な働きを為すものと考えられたと思われる<ref>福島秋穂『記紀載録神話に見える櫛の呪力について』7頁</ref><ref group="私注">櫛が何らかの呪力で別のものに変わる、ということは櫛は「'''化生するアイテム'''」という扱いなのではないだろうか。'''櫛'''とは'''魂'''なので、受肉する際は様々な姿を取るというのではないか。</ref>。
クシナダヒメの変身した櫛は、櫛の本来有する呪力にクシナダヒメの持つ女性としての生命力を合わせ持ち、さらに身体の材質まで竹に変化していたとするならば、竹の材質自体が持つ生命力も合わせ持つことになり、魔的存在たるヤマタノオロチに対し、強力な武器の一つになったと考えられるクシナダヒメの変身した櫛は、櫛の本来有する呪力にクシナダヒメの持つ女性としての生命力を合わせ持ち、さらに身体の材質まで竹に変化していたとするならば、竹の材質自体が持つ生命力も合わせ持つことになり、魔的存在たる[[八俣遠呂智|ヤマタノオロチ]]に対し、強力な武器の一つになったと考えられる<ref>福島秋穂『記紀載録神話に見える櫛の呪力について』8頁</ref>。
=== 婚姻の暗示とする説 ===