# タイガの狩猟・トナカイ飼養民
の5つに分類したが<ref name="kohno64">河野(1981)pp.64-68</ref>、ナナイは3.の漁撈民に含まれる<ref group="注釈">漁撈民に属するのは、他にカムチャツカ半島南部のイテリメン族(カムチャダール族)、オビ川流域のハンティ族などであり</ref><ref name="kohno64" />、アムール川流域ではウリチ(山丹人)やニヴフ(ギリャーク人)が漁撈を主な生業としている</ref><ref name="94katoh166">加藤(1994)pp.166-170</ref>。
ナナイの主な生業は、河川でのサケ・マス漁などの漁撈であり、中国ではキャビア採取のためなどのチョウザメ漁も行う<ref name="koto3" /><ref name="koto2" />。居住地は魚の豊富な大河や湖の沿岸、ないし河川の河口部である<ref name="94katoh166" />。また、河川の凍結する冬季には森林での狩猟も生業としてきた<ref name="koto2" />。植物の採集も生業の重要な一半を占めており、春から夏にかけてセリの類を採集して食用とし、イラクサやヤナギなど繊維を採取するための草木も採集した<ref name="ogihara99">荻原(1989)pp.99-102</ref>。白樺樹皮の工芸でも知られる<ref name="koto2" />。夏季と冬季では集落と住居が異なり、そのどちらも定住的な生活の場である<ref name="ogihara94">荻原(1989)p.94</ref><ref group="注釈">このような生活を送る民族には、ナナイのほか、ニヴフ、ウリチ、エヴェンキ、オロチ、アイヌの一部がある</ref><ref name="ogihara94" />。
移動・運搬の手段は[[スキー]]や[[犬ぞり]]であった<ref name="koto2" /><ref name="94katoh166" />。シベリア・極東地方の犬ぞりは、その構造や形状により、東シベリア型、アムール=サハリン型、チュクチ=カムチャツカ型、西シベリア型、北西シベリア型の5つに分類される<ref name="94katoh166" />。ナナイ族の犬ぞりはアムール=サハリン型に属し、木組みで骨格を造り、長さ2.5メートル、高さ40センチメートル、幅50センチメートルほどの船形にし、上部にはヤナギの木を組み合わせて作った[[座席]]・[[荷台]]を設けたものである<ref name="koto4">{{Kotobank|犬ぞり}}</ref>。そりを引くイヌは5匹である場合が多く、そのうちの1匹がリーダーとなって先頭になり、残りはそれに付いていくかたちで進む<ref name="koto4" />。
ナナイはかつて、中国、ロシア、[[日本]]など広範囲での交易にもたずさわったこともあったがナナイはかつて、中国、ロシア、日本など広範囲での交易にもたずさわったこともあったが<ref name="koto2" />、今日では、その生活の一部が[[観光]]化されている。、今日では、その生活の一部が観光化されている。
=== 衣食住と生活文化 ===