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男児が七歳になるころ、残された金の指輪が彼の指にちょうど合うようになってきたため、彼は言いつけ通り小舟に乗りアイルランドへと漕ぎ出した<ref group="†">この一連の出来事は、『クーリーの牛捕り』によればクーフーリンがフェルディアと戦う以前の事であったとされる。</ref>。彼を乗せた小舟がアイルランドへと近づいた頃、アルスターの人々はちょうど足跡の浜<ref group="†">Tracht Eisi. この名はクー・フーリンと男児の組み打ちの場面において、男児の足が石柱に足首までめり込みその足跡が残ったことが由来であると後から説明される。</ref>と呼ばれる海岸に集まっていた。彼らの目の前で男児はスタッフスリングを使って鳥を撃ち落とした。撃ち落とされた鳥は不思議なことに生きており、男児は鳥を空に放った。'''彼は再び鳥を撃ち落とし、そして鳥を蘇らせた。'''年端の行かぬ異郷の子がそのような芸当をやってみせた事がコンホヴァル王<ref group="†">『レカンの黄書』の版ではこの時の王の所在について明示されていないが、キーティングの『アイルランド史』に従うなら王は他の貴族たちと共に足跡の浜に集まっていた</ref><ref>Keating, 1908, p218-219</ref>、つまり現場に居合わせていたという事になる。</ref>を驚かせた。子供にさえにそのような技術を仕込んだ土地から十分訓練を積んだ丈夫がやってくるような事があってはアルスターは一たまりもない。そう考えた王は使いをやって彼を追い返すことに決めた。
最初に選ばれたのは口達者が評価されたコネレ・マク・エハハであった。コネレは男児を懐柔しようと呼びかけたが彼は聞く耳を持たなかった。次に男児の元に向かったのは「私の命ある限りアルスターの誇りが損なわれることは無い」と宣言したコナル・ケルナハ(Conall Cernach)であった。男児がスリングで石を空へと放り投げると雷鳴がコナルを襲い彼は転倒した。コナルが起き上がる前に男児は彼を盾の紐で縛り上げてしまった。Cernach)であった。男児がスリングで石を空へと放り投げると'''雷鳴がコナルを襲い'''彼は転倒した。コナルが起き上がる前に男児は彼を盾の紐で縛り上げてしまった。<ref group="†">Condere とコナルが失敗したこの箇所に相当する部分で、TCD MS 1336 所収の版では ムンレウァル (Munremar) とドゥフタハが男児に捕縛されている。</ref>
(この雷鳴を呼び起こす不思議な技について、『[[オイフェ|アイフェ]]の一人息子の最期』はその名を説明しない。しかしセイヤーズは、別の説話においてクー・フーリンが torannchless 〈雷の技〉<ref>eDIL s.v. [http://www.dil.ie/41432 torannchless]</ref>を使用している<ref group="†">「クー・フリンは出陣し、雷鳴とどろく武芸(torannchless)によって百人を倒し、二百人を倒し、三百人を倒し、四百人を倒した後……」カーソン/楮木による翻訳(pp.151f)</ref>ことを指摘し、コンラの技はこれと同種の物ではないかと示唆している<ref>Sayers, 1983, p61</ref>。)
== 民話 ==
19世紀末、{{仮リンク|ジェレマイア・カーティン|en|Jeremiah Curtin|}}がアイルランド中西部でゲール語の話し手から採取した民話集 19世紀末、ジェレマイア・カーティン(Jeremiah Curtin)がアイルランド中西部でゲール語の話し手から採取した民話集 ''"Myths and Folk Tales of Ireland"'' の中に、コンラを取り扱ったものも収録されている。
フィン・マックールの下に身を寄せていた、呪われた王女ギル・アン・オーグ (Gil an Og) を援助する者として、彼の部下の中から予言に半ば指名される格好でクー・フーリンが選ばれた。紆余曲折の冒険の後彼は成功を収め、ギル・アン・オーグを妻としてアイルランドへと凱旋した。これで収まらないのがアイルランドに残されていたクー・フーリンの妻、[[アルバ王国|アルバ]]のヴィラーゴ を援助する者として、彼の部下の中から予言に半ば指名される格好でクー・フーリンが選ばれた。紆余曲折の冒険の後彼は成功を収め、ギル・アン・オーグを妻としてアイルランドへと凱旋した。これで収まらないのがアイルランドに残されていたクー・フーリンの妻、アルバのヴィラーゴ (Virago) である。父の顔を知らないまま18歳となったコンラは、嫉妬に狂った母親ヴィラーゴに命じられ父親の殺害を試みる事になる。ヴィラーゴは同時に「いかなる相手にも敗北してはならない」「相手を倒さない限り自らの名前を名乗ってはならない」とコンラに厳命したため、クー・フーリンはコンラが息子であると知ることなく彼と決闘を行うこととなった。事情を知らず挑戦者を容赦なく攻め立てるクー・フーリンに対し、コンラは父親への手加減を続けたまま三日三晩渡り合うほどの武芸者として描かれる。しかし四日目の朝、フィン・マックールの部下の一人でありトラブルメーカーのコナン・マウルが、まだコンラを倒せないクー・フーリンを煽り立てた事によって潮流は変わった。コナンの発言に集中力を乱されたコンラに生じた隙を見逃さず、クー・フーリンは槍で彼の頭を貫き決闘の幕を下ろした。今わの際のコンラからの告白により、息子を手にかけた事を知ったクー・フーリンは狂乱状態に陥る。親指の予言の力により今のクー・フーリンと対面すれば自分たちが一人残らず虐殺されてしまう事を悟ったフィン・マックールは、クー・フーリンをバーラ (Bale) の岸<ref group="†">[[ラウス県]][[ダンドーク]]あたりの海岸。ラウス県ダンドークあたりの海岸。</ref>へと追放した。七昼夜狂乱し波と格闘したクー・フーリンは空腹と衰弱によりついに倒れ、その体を波が覆い隠した。{{sfn|<ref>カーティン|, 2004|pp=251, p251-254}}</ref>
== 再話文学 ==

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