=== 天命の書版 ===
「天命の粘土版」とも呼ばれる「天命の書版(Tablet of Destinies, <small>𒁾𒉆𒋻𒊏、DUB.NAM.TAR.RA</small>)」は、全ての神々の役割や個々人の寿命が書き記された、最高神が所持する代物であり、最高神の権威(Anuship / heavenly power, <small>𒀭𒀀𒉡𒋾、<sup>D</sup>A.NU.TI</small>)の象徴である。所持神が「天命の印」を押すことで、記述された内容が有効になると信じられていた<ref>和書, 岡田明子・[小林登志子岡田明子・小林登志子, 2008, シュメル神話の世界 粘土版に刻また最古のロマン, 中央公論新社, p.45</ref>。
=== 優しさが招いた悲劇 ===
== ティアマトが生み出した11の怪物 ==
神々と戦うべくティアマトが生み出した「11の怪物(魔物)」などと呼ばれる存在は、討伐に際し神々を大いに脅かしたが、ティアマトがマルドゥクによって討たれ敗北すると、ある者は処刑され、ある者は神々の配下となり、ある者は野へ下りたという<ref name="ikegami">{{Cite book|和書|author=池上正太|year=, 2006 |title=[[, Truth In Fantasy]] 74オリエントの神々 |publisher=[[, 新紀元社]] }}, pp.155-157,p.160</ref>。
; [[ムシュマッヘ]]([[w:Mušmaḫḫū|Mušmaḫḫū]](Mušmaḫḫū, <small>{{cuneiform|𒈲𒈤}} {{transl|akk|MUŠ𒈲𒈤、MUŠ.MAḪ}}</small>)
: 七岐の大蛇。ティアマト自身とする説のある、7つ頭の大蛇、あるいは7匹の大蛇<ref name="ikegami" />。
; ウシュムガル([[w:Ušumgallu|Ušumgallu]]ウシュムガル(Ušumgallu, <small>{{cuneiform|𒁔 𒃲}} {{transl|akk|UŠUM𒃲、UŠUM.GAL}}</small>)
: 龍。ムシュマッヘと同一視されるが、別存在であるとも言われている凶暴な竜<ref name="ikegami" />。
; バシュム / ウシュム([[w:Bašmu|Bašmu]]ウシュム(Bašmu, <small>{{cuneiform|𒁀𒀸𒈬}} {{transl|akk|BA𒁀𒀸𒈬、BA.AŠ.MU}}</small>): 毒蛇。[[ニホンマムシ|マムシ]]か角の生えた蛇の一種(アッカドのバシュム 毒蛇。マムシか角の生えた蛇の一種(アッカドのバシュム / シュメールのウシュム)と考えられている<ref name="ikegami" />。; [[ムシュフシュ]]([[w:Mušḫuššu|Mušḫuššu]](Mušḫuššu, <small>{{cuneiform|𒈲𒄭𒄊}} {{transl|akk|MUŠ𒈲𒄭𒄊、MUŠ.ḪUŠ}}</small>)
: 蠍尾竜。「バビロンの竜」として名高い神々の聖獣<ref name="ikegami" />。
; [[ラフム]]([[w:Lahmu|Lahmu]](Lahmu, <small>{{cuneiform|𒀭𒈛𒈬}} {{transl|akk|𒀭𒈛𒈬、<sup>d</sup>LAḪ.MU}}</small>)
: 毛深い者。顔の両側に3対6つの巻き毛を持った男の姿をしており、メソポタミアでは魔除けとして好まれた。ティアマトの最初の子にしてエアの曽祖父が同じ名前であり、記述に混乱が見られる。
; ウガルルム([[w:Ugallu|Ugallu]], <small>{{cuneiform|𒌓𒃲𒆷}} {{transl|akk|U<sub>4</sub>.GAL.LA}}</small>)