== 台湾の神話・伝承 ==
ここで、オーストロネシア語族の古い文化を有する台湾の神話・伝承をいくつか紹介したい。そして、西王母の前身となる「太陽女神」信仰が古代中国南部に存在した、と仮定して考察を進めることとしたい。
=== 射日神話 ===
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太古は昼夜の区別なく、太陽は常に中天に懸かりけり。高熱甚だしくして安眠もなりがたりしかば、一人の老人と四人の少年が、太陽を射んとて西に向かって出発せり。首尾良く太陽を射たるも、途に髭の多き人と遇いて四人は殺され、ただ一人帰社するを得たり。その後、射られたる太陽は二つに分かれて今日の日月となれり。(アタヤル族スコレク群マリコアン部族バットル社、『蕃調』大公族前篇p.313)<ref>神々の物語 台湾原住民文学選5 神話・伝説・昔話集、紙村徹編・解説他、草風館、169-170p</ref>
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=== 織女と怪物 ===
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2.昔、カラマエ、またはマハルと称する巨人ありけり。極めたる好き者にして、機織る女を見れば必ず姦せり。また山に行きて口を開きてあれば、獣類は洞穴と見誤りて飛び込みけり。かかる巨人なればその陰茎もまた大にして、驟雨にて水増したる時には社人常に彼を呼びて、その陰茎を橋とせしものなり。されど彼ありては山中の獣類みな絶滅すべしとて、社人協議して、山より焼け石を転ばし、鹿なりと偽りて吞ましめて殺せり。その時彼、いうよう、我死なば必ず地震および悪疫流行すべしと。しかして彼に姦せられたる女の夫らは、彼の死後その体を細断して捨てたり。これその種の残るを怖れてなり。(アタヤル族スコレク群大嵙崁部族角板山社、『蕃調』pp2.昔、カラマエ、またはマハルと称する巨人ありけり。極めたる好き者にして、機織る女を見れば必ず姦せり。また山に行きて口を開きてあれば、獣類は洞穴と見誤りて飛び込みけり。かかる巨人なればその陰茎もまた大にして、驟雨にて水増したる時には社人常に彼を呼びて、その陰茎を橋とせしものなり。されど彼ありては山中の獣類みな絶滅すべしとて、社人協議して、山より焼け石を転ばし、鹿なりと偽りて吞ましめて殺せり。その時彼、いうよう、我死なば必ず地震および悪疫流行すべしと。しかして彼に姦せられたる女の夫らは、彼の死後その体を細断して捨てたり。これその種の残るを怖れてなり。(アタヤル族スコレク群大嵙崁部族角板山社、『蕃調』大公族前篇pp.304-305)<ref>神々の物語 台湾原住民文学選5 神話・伝説・昔話集、紙村徹編・解説他、草風館、271神々の物語 台湾原住民文学選5 神話・伝説・昔話集、紙村徹編・解説他、草風館、272-272p273p</ref>
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