1は「羿と雒嬪(らくひん)」と非常に粗筋が似た物語である。古代中国における「河伯」とは巨人であり、元は男女を問わず人身御供を求めた神であったことが示唆される。「巨根」は蛇神を連想させる。時代が下ると、特に若い女性を「妻」と称して人身御供に求めるようになったのは「好色な神」とされていたからではないのか、と思う。「織女」とは人身御供の乙女の「象徴」でもあるし、消されてしまった「太陽女神」の象徴を暗喩するようにも思える。
2は河伯に対して、人身御供のみならず、動物の生贄も捧げていたのではないか、と示唆される物語である。しかし、羿神話の趣旨でもあるように、怪物である河伯は退治されており、「人身御供の禁止」の動きもあったことが示唆される。山から焼け石を落として殺害するエピソードは大国主神話に通じる。