イスタヌ

イスタヌ（ハッティ：Ištanu、フルリ：Šimegi、英語：Eshtan）は、ハッティ人の名前エスタン（Eštan）のヒッタイト語版で、アリンナの太陽女神を指す名前である。初期の研究では、イスタヌは天界の男性の太陽神の名前と誤解されていたが、最近の研究では、この名前はアリンナの太陽神だけを指すのに使われると考えられている。しかし、フォルケルト・ハースは、男性のイスタヌは昼の星を表し、女性のウルンシェム（Wurunšemu）はアリンナの太陽の女神で、夜は冥界で過ごすと区別している。

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エシュタン（Eštan、英語：Eshtan）またはエスタン（Hittite: Ištanu; Hurritic: Šimegi）は、ヒッタイト神話の太陽女神、ウルセムの配偶者である。エスタンは後のシミゲに引き継がれた。エスタンはもともとは、ハッティ族の神である。

ヒッタイトの神官カントゥジリの祈りによれば、エスタンは「神託の神官」を務めていた。鷲はエスタンの使者とされ、エスタンからテレピヌを探すために送り出された。エスタンは、神々の敵であるウスフニ（銀）がエスタンを天国から遠ざけたときに、ウスフニに頭を下げなければならなかった。さらに、石の巨人ウルリクムミを発見し、タルフンにその存在を知らせた。フルリ・ヒッタイトの『悪と正義の物語』では、太陽神が（メソポタミアのシャマシュと同じように）裁判官として働いていた。エスタンも海神にさらわれ、その後テリピヌに助けられることになった。

私的考察

ヒッタイトのパンテオンは、中央と地方では、神々の性質や家族構成が多少異なっていたようであるし、特にイスタヌという神は地方や時代によって、女神となったり男神となったりしたようである。フォルケルト・ハースによると、ヒッタイト時代には太陽神であるのみならず、星神としての性質も伴っていたようである。この性質はアルメニアのアストヒクに受け継がれているように思う。また、西欧の神は語源が近いと思われる神でも、女神の場合と男神の場合で、性質が全く異なる場合が多く、イスタヌの場合はどうだったのだろうか、と思う。もしかしたら、男神の方は、軍神のように「倒す神」としての性質が強かったかもしれないと想像する。

また子音より、エジプト神話のイシスと、星神的性質の強いソプデト、アスタルト、アーシラトなどが同語源の女神なのではないだろうか。

参考文献

• Wikipedia：Sun goddess of Arinna（英語版）、Sonnengöttin von Arinna（ドイツ語版）（最終閲覧日：23-01-12）
• Wikipedia：Esjtan（オランダ語版）（最終閲覧日：23-01-12）

その他文献

• Bronvermelding anderstalige Wikipedia, Ištanu, oldid:107433849, datum:20120830
• V. Haas, Die Hethitische Literatur: Texte, Stilistik, Motive, Berlijn, 2006, pp. 106-107, 115-116, 150-151, 164, 195ff., 349.
• M. Krebernik, Götter und Mythen des alten Orients, München, 2012, p. 68.

関連項目

• ウルシェム：イスタヌの配偶神（ハッティ）。イスタヌと同じ女神（ヒッタイト）。
• アストヒク：アルメニアの星女神、水女神。イスタヌが起源ではなかろうか。