「クルダレゴン」の版間の差分

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== 私的解説 ==
 
== 私的解説 ==
神話言語学的には「蛇」や「月」を意味する子音が神や氏族の名に付加されているか否かは重要な問題であると感じるが、この項の執筆者は「アーリア人」と「アラン人」が同起源であることを示唆したいようである。<br>
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神話言語学的には「蛇」や「月」を意味する子音が神や氏族の名に付加されているか否かは重要な問題であると感じるが、この項の執筆者は「アーリア人」と「アラン人」が同起源であることを、この神の名から示唆したいようである。<br>
 
鉄器時代のこの鍛冶神は「kur-」という太陽神を示唆する名を持っており、古き時代の太陽神が鉄器時代に鍛冶神をも兼ねることになったことが分かる。個人的には「kur-dal」と分解できる子音を持つ神であって、後半部分はかつて「bar」あるいは「ver」とされていたものが「dal」に変更されたものであると感じる。その分西洋の「蛇神信仰」に伴う攻撃性や不吉性は増している神といえ、死者の馬や冥界とも関わりのある性質が強調されているようである。<br>
 
鉄器時代のこの鍛冶神は「kur-」という太陽神を示唆する名を持っており、古き時代の太陽神が鉄器時代に鍛冶神をも兼ねることになったことが分かる。個人的には「kur-dal」と分解できる子音を持つ神であって、後半部分はかつて「bar」あるいは「ver」とされていたものが「dal」に変更されたものであると感じる。その分西洋の「蛇神信仰」に伴う攻撃性や不吉性は増している神といえ、死者の馬や冥界とも関わりのある性質が強調されているようである。<br>
本来の子音が「kur-dal-wagon」だとすると「Kur-dal-ba-go-n」と更に分解することができよう。「ba」は太陽を意味する言葉であり、「go」はメソポタミアに由来する「gal」の短縮形であり、そこに「月」を意味する「n」が付加されている。「Kur-dal」とは「蛇の太陽」という意味であろう。また「kur-dal」という子音をどの程度「アーリア」という言葉と結びつけることができるのか、という点については個人的には疑問に感じる点である。<br>
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メソポタミアを含む地中海沿岸地域の神の名を見ると「b」という子音が意図的に「t」や「d」の音に置き換えられている可能性を感じる。例えばヒッタイトの女神ヘバト(Hebat)の名はクババ(Kubaba)という女王の名と関連性があると言われているが、そうすると本来「b」の子音で発音されていたものが「t」の音に置き換えられていることになる。また、アッカド系の天候神アダド(あるいはハダド((H)adad)
そして、更にそこに攻撃性の高い動物である「狼」の名が付けられており、オセット族はかつて「狼トーテム」信仰を持っていた氏族であったことが示唆される。「狼」という言葉は「ba-go-n」で示され「偉大なる蛇の太陽」というのが本来の意味であったと思われる。<br>
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)という名の神がいるが、これもシュメールにおける太陽神バッバル(Babbar)の「b」の子音を両方とも「d」に置き換えたものといえる。<br>
総合的に述べれば「偉大なる蛇と狼の太陽」という意味になるであろう。<br>
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クルダレゴン(Kurdalægon)という言葉は子音に分解すると「Kur-da--go-n」となる。「d」の子音が本来「b」であったとするとこの部分は「Bar-go-n」とすることができよう。「狼(wærg)」という言葉における「w」という子音は「b」という音が変化したものなので、これが意図的に「d」の音へ置き換えられているとすると、この神と「狼(wærg)」という言葉の直接の関連性はむしろ薄くなっているといえる。一方「dar-go-n」というのはウガリット神話に登場する海神のことであるので、クルダレゴンは語源的にはむしろダゴン(Dagon)
また、オセット(Ossetians)という言葉は「bo-se-tia」という子音に分解できると思われる。「bo-se」は「太陽」という言葉を二重にして意味を強めたものであり、「t」という子音は「蛇」を意味する。要するに「蛇の太陽」氏族という意味になる。彼らの神が「狼」をも兼ねると言うことは、本来の彼らは「蛇」と「狼」をトーテムに持つ非常に攻撃的な太陽信仰の氏族ではあったことが覗える。また鍛冶神が太陽神も兼ねており、鍛冶神が高い尊敬を受ける文化があったことが覗える。
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と近い神なのではないだろうか。<br>
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また「g」の音は「k」の子音から変化したものであるので「dar-go-n」という子音は更に「dar-ker-n」と書き換えることができるように思う。ここから「d」の子音を外すと「ker-n」すなわち「choro-n」とすることができるように感じる。要するに「クルダレゴン」とは「クルダレ-コロン」、すなわち「クルドのコロン」という意味になるのだと思われる。<br>
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このように考えると「kur-dal」という子音をどの程度「アーリア」という言葉と結びつけることができるのか、という点については個人的には疑問に感じる。この神はヨーロッパ方面ではなくて、クルド、ウガリットといった地中海東岸地域の神々と近い神のようである。<br>
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この神の性質をみると「死者を冥界へ運ぶ馬」の姿で現されるようである。要するに神はその役目のために冥界と現世を行ったり来たりできるのであろうが、一方冥界へ運ばれた死者が戻ってくることはまず無いと思われる。タカの神であるコロン神は本来「太陽神」でもあったであろうが、このように「死神」としての性質も強い神であったと思われる。彼は時代が下ると、信仰されている氏族の尊敬を受ける鍛冶神をも兼ねることとなったと思われるが、そもそも「死神」をトーテムに持つ人々の性質とはいかなるものであるのか、ということになる。誇り高き鍛冶師カーヴェの子孫が誇り高い人々となるように、死神を祖神に持つ人々は「死神」のようになるのではないか、と思う。要するに、奪い尽くし、犯し尽くし、殺し尽くせ、ということである。人々を冥界に送り込む存在となるが、自らは死なない。それが古代における「死神信仰」の本質であり、その象徴がクルドの鷹神コロンであったのではないかと思われるのである。<br>
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ただし、人工が増え、他民族が隣接して暮らすようになれば、殺し尽くす、奪い尽くすだけではなく、同盟を結ぶ相手も現れることもあるだろうと思う。他民族がコロン神の信仰を受け入れて、この神を自らの神ともするようになれば、それは「クルドだけ」の「コロン」とはいえなくなってしまう。要するに、他氏族、他民族にコロン神信仰が受け入れられるにつれて「クルド」という固有名詞が外れてしまったものがいわゆる「コロン」という神なのであろう。<br>
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この神が太陽神でもあったことは、古代エジプトに導入した際に、太陽神かつ猛禽類の神として共通した性質を持つホルス神と習合したことからも明かであるように思われる。ただし、ウガリット方面では「水神」としての性質が優先されて崇められたのであろう。
  
 
== 参照 ==
 
== 参照 ==

2014年4月1日 (火) 14:55時点における版

クルダレゴン(Kurdalægon[1])はオセチア神話における天の鍛冶神である。彼の通り名は「天の人」である。この神は「死人の馬」として現れ、この馬は神が冥界に渡るための乗り物とみなされている。クレダルゴンはナルト達の友である。

語源について

オセチア神話[2]のクルダレゴンは「クルド(Kurd)-アラ(Alæ)-ヴァルゴン(Wærgon)」の短縮系であり、Wærgonはクルダレゴン固有の名である。[3]全文で「アーリア人の鍛冶師ヴァルゴン」という意味になる。[4]クルドは「kur-ta-」あるいは「kur-tar-」に由来する。「kur-」は「熱する者」、「白熱する者」という行為者名詞である。オセチア語の「alæ」という言葉は「arya-」に由来し、本来は「アーリア人」を意味したが、それは後に「アラン人」となった。

「ヴァルゴン(Wærgon)」という名は、古いオセチア語で「狼(wærg、英語:wolf)」を意味する。言語学者のヴァシリー・アバーエフは、この名をローマの鍛冶神ウゥルカーヌスの名前と比較している。

私的解説

神話言語学的には「蛇」や「月」を意味する子音が神や氏族の名に付加されているか否かは重要な問題であると感じるが、この項の執筆者は「アーリア人」と「アラン人」が同起源であることを、この神の名から示唆したいようである。
鉄器時代のこの鍛冶神は「kur-」という太陽神を示唆する名を持っており、古き時代の太陽神が鉄器時代に鍛冶神をも兼ねることになったことが分かる。個人的には「kur-dal」と分解できる子音を持つ神であって、後半部分はかつて「bar」あるいは「ver」とされていたものが「dal」に変更されたものであると感じる。その分西洋の「蛇神信仰」に伴う攻撃性や不吉性は増している神といえ、死者の馬や冥界とも関わりのある性質が強調されているようである。
メソポタミアを含む地中海沿岸地域の神の名を見ると「b」という子音が意図的に「t」や「d」の音に置き換えられている可能性を感じる。例えばヒッタイトの女神ヘバト(Hebat)の名はクババ(Kubaba)という女王の名と関連性があると言われているが、そうすると本来「b」の子音で発音されていたものが「t」の音に置き換えられていることになる。また、アッカド系の天候神アダド(あるいはハダド((H)adad) )という名の神がいるが、これもシュメールにおける太陽神バッバル(Babbar)の「b」の子音を両方とも「d」に置き換えたものといえる。
クルダレゴン(Kurdalægon)という言葉は子音に分解すると「Kur-da-læ-go-n」となる。「d」の子音が本来「b」であったとするとこの部分は「Bar-go-n」とすることができよう。「狼(wærg)」という言葉における「w」という子音は「b」という音が変化したものなので、これが意図的に「d」の音へ置き換えられているとすると、この神と「狼(wærg)」という言葉の直接の関連性はむしろ薄くなっているといえる。一方「dar-go-n」というのはウガリット神話に登場する海神のことであるので、クルダレゴンは語源的にはむしろダゴン(Dagon) と近い神なのではないだろうか。
また「g」の音は「k」の子音から変化したものであるので「dar-go-n」という子音は更に「dar-ker-n」と書き換えることができるように思う。ここから「d」の子音を外すと「ker-n」すなわち「choro-n」とすることができるように感じる。要するに「クルダレゴン」とは「クルダレ-コロン」、すなわち「クルドのコロン」という意味になるのだと思われる。
このように考えると「kur-dal」という子音をどの程度「アーリア」という言葉と結びつけることができるのか、という点については個人的には疑問に感じる。この神はヨーロッパ方面ではなくて、クルド、ウガリットといった地中海東岸地域の神々と近い神のようである。
この神の性質をみると「死者を冥界へ運ぶ馬」の姿で現されるようである。要するに神はその役目のために冥界と現世を行ったり来たりできるのであろうが、一方冥界へ運ばれた死者が戻ってくることはまず無いと思われる。タカの神であるコロン神は本来「太陽神」でもあったであろうが、このように「死神」としての性質も強い神であったと思われる。彼は時代が下ると、信仰されている氏族の尊敬を受ける鍛冶神をも兼ねることとなったと思われるが、そもそも「死神」をトーテムに持つ人々の性質とはいかなるものであるのか、ということになる。誇り高き鍛冶師カーヴェの子孫が誇り高い人々となるように、死神を祖神に持つ人々は「死神」のようになるのではないか、と思う。要するに、奪い尽くし、犯し尽くし、殺し尽くせ、ということである。人々を冥界に送り込む存在となるが、自らは死なない。それが古代における「死神信仰」の本質であり、その象徴がクルドの鷹神コロンであったのではないかと思われるのである。
ただし、人工が増え、他民族が隣接して暮らすようになれば、殺し尽くす、奪い尽くすだけではなく、同盟を結ぶ相手も現れることもあるだろうと思う。他民族がコロン神の信仰を受け入れて、この神を自らの神ともするようになれば、それは「クルドだけ」の「コロン」とはいえなくなってしまう。要するに、他氏族、他民族にコロン神信仰が受け入れられるにつれて「クルド」という固有名詞が外れてしまったものがいわゆる「コロン」という神なのであろう。
この神が太陽神でもあったことは、古代エジプトに導入した際に、太陽神かつ猛禽類の神として共通した性質を持つホルス神と習合したことからも明かであるように思われる。ただし、ウガリット方面では「水神」としての性質が優先されて崇められたのであろう。

参照

  1. Digorian: Курдалæгон, Курд-Алӕ-Уӕргон
  2. オセチア神話はコーカサス地方の山岳地帯に住むオセット人の神話である。
  3. 現在のドイツ語でWagenとは「車」という意味である。
  4. 正確にはむしろ「クルド人の鍛冶師ヴァルゴン」というべきであると思う。この項の執筆者はちと強引に「アーリア」という言葉に結びつけたがる傾向があるのではないだろうか。

原文の外部リンク

原文