甲骨文字について

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中国の神話文化を語る上で、甲骨文字に対する理解は欠かせないものである。そのため、本項では甲骨文字を読む上での基本的な事項をいくつか挙げてみたい。

向きを問わない文字

以下は「月」を意味する甲骨文字である。「月」という漢字は主に「半月」の形をした象形文字から発生している。後の時代に整備された漢字との最大の違いは、向きが逆であっても同じ意味で使用できるということであると感じる。また、その形も一定ではなく多少の変化はあり得る。例えば「月」の場合、半月の中に線が入ることもあれば、入らないこともあるがどちらも同じ「月」という意味になる。具体的に述べれば、以下の甲骨文字は全て漢字の「月」という文字に変換し得る文字ということになる。

順序を問わない文字

甲骨文字には「月」のように「月の形」を現した文字、すなわち「表意文字」が多数存在する。また、表意文字を複数組み合わせて一文字とする場合があり、そのような文字を「会意文字(かいいもじ)」という。例えば「明」という字は「日」と「月」を組み合わせた文字であるが、左側に「日」、右側に「月」が配置されるものと、漢字ではそのように配置が固定されて使用されている。しかし、甲骨文字の場合は下図のように「日」と「月」が逆になっても、漢字における「明」という文字と一致する。甲骨文字が使用されていた時代には、会意文字を書く場合の順序はまだ固定されていなかったのである。

2種類の「人」

古代の中国に相当する地域は、複数の民族が混在して居住していた。新石器時代には大きく分けても、長江流域で稲作を行っていた集団、黄河周辺で半農半牧畜を行っていた集団、更に北方で遊牧を行っていた集団の3つが存在していたと思われる。有史以後も、特に北方の遊牧民はなにかきっかけがあれば南方の農耕地域へ侵入して略奪を繰り返す恐ろしい存在であり、彼らから国土を守ることは古代中国の為政者達にとって非常に重要な政治的問題であった。このように古代中国には複数の民族が存在したため、甲骨文字は複数の文化の複合体の上に成立した文字といえ、同じ意味を持つ文字が複数存在することもあり得る。その1例を挙げてみたい。
以下は「人」という意味を示す甲骨文字である。左側は人の姿の図であるが、頭についている「目」が強調された文字である。この文字は時代が下ると、漢字の「頁」となる。一方左側は「人が横を向いている図」であり、これが漢字の「人」に相当する。この1例でも分かるように、古代中国には「人の姿」を図で現すときに「目」を強調する文化と、そうではない文化の双方が存在し、それが互いに影響を与え合いながら「漢字」という文字を形成していったのである。

また、この他にも1つの甲骨文字から複数の漢字に発展した例もあり、甲骨文字と漢字というものは、連続性がある文字でありながら、必ずしも1対1で置き換えられるものではない、ということも重要なポイントと思われるのである。

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