== 双体のポ・トゥン ==
ポ・トゥンとは、子音的にヴリトラ、[[魃]]に類する神と考える。[[ミャオ族]]では老婆としているので、女神の一種である。この老婆は「善良な老夫婦の家の豚小屋を半分燃やし、'''男の大工に化けて'''、小屋を直すふりをして秘密の抜け穴の工事をし、そこから子豚を盗んで食べた。そのため老夫婦に退治されてしまった。」という伝承を持つ<ref>やまうば、苗族民話集、村松一弥編訳、平凡社、東洋文庫260、p363-367</ref>。「'''男の大工に化けて'''」という点から、単独の女神というよりは、男女双体の神だったと考えられる。老夫婦にとって、豚は自分自身と同じも同然の大事な財産であるし、「小屋を燃やす」という行為は、クーポゥ老人が行った「竜を燃やして退治し食べた」行為と、「火の性質を持つ神」の行為として共通性があるように思う。誰か男女二人が「人間を燃やして殺して食べた」という話が、竜船祭では[[クーポゥ]]老人と竜の話として語られ、ポ・トゥンの話ではポ・トゥンと子豚の話として語られているだけで、この2つの話は「元は同じ伝承」であり、[[クーポゥ]]老人と、ポ・トゥンは元は「'''同じもの'''」だったと考える。
=== プーセとヤーセ・オーストロネシア語族(ルア族・タイ)の伝承 ===
<blockquote>ドイステープとドイカムの山の麓にラミンナコンという町があり、'''ルア族'''が住んでいた。山に、そこにはプーセ(セ爺)とヤーセ(セ婆)という鬼夫婦と子どもが住んでいた。プーセはドイステープ山の神、ヤーセはドイカム山の神だった。彼らは森の動物を食べていたが、狩りに来た村人たちも捕まえてはよく食べていた。鬼退治に兵士を送っても、全員食べられてしまい、恐れた村人たちがどんどん町を去るので町は荒廃してしまった。お釈迦様に助けを求めたところ、お釈迦様が鬼に殺生が良くないことを説かれ、'''森を守る'''こと、そして果物や野菜を食べることを約束させた。ただ、これまで肉を食べていたので、1年に1度でいいから人間の肉を供えてくれと鬼は懇願した。(中略)結局、水牛を供えることになり、今でも毎年1回、ランナーの暦で9月14日に水牛を供える儀式が行われている。([http://kuidaore-thai.com/chiangmai-information/puseyase-2/ 水牛を生贄にするプーセ・ヤーセー]、チェンマイ食いだおれタイ(最終閲覧日:24-12-07))</blockquote>
=== 私的考察 ===
タイのオーストロネシア語族の伝承では、山の神としてプーセとヤーセという男女の鬼神が登場する。彼らは人を食べていたが、お釈迦様に説得されて、仏法の僕となることを約束する。ただし、年に1度、人間の代わりに牛を生贄に求めることにした、とのことである。オーストロネシア語族の伝承ではあるが、動物供犠が広く「人身御供」の代替として発生したことを示す伝承と考える。
=== 付加された八束水臣津野命 ===