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シームルグの伝承は、ペルシア(現在のイラン)やカシミール(現在のインド北部)<ref>カシミール地方はパミール高原の東(中国)寄りの地域である。パキスタン、インド、中国の国境地帯。</ref>で知られている。ペルシアの北部にあるアルブルズ山に住むとされており、その羽毛は美しいだけでなく治癒する力を持つとされている<ref>ローズ,松村訳 (2004)、214頁。</ref>。 | シームルグの伝承は、ペルシア(現在のイラン)やカシミール(現在のインド北部)<ref>カシミール地方はパミール高原の東(中国)寄りの地域である。パキスタン、インド、中国の国境地帯。</ref>で知られている。ペルシアの北部にあるアルブルズ山に住むとされており、その羽毛は美しいだけでなく治癒する力を持つとされている<ref>ローズ,松村訳 (2004)、214頁。</ref>。 | ||
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王書を始め、神話世界のシームルグはおおむね雄として描かれるように思うが、民間伝承では異なり雌として描かれる場合もある。例えばパミール高原の民話「英雄ディックベール」では明確に「雌」として描かれる。民間伝承のシームルグは「邪悪な蛇」とも対立しており、インド神話のガルーダにも似た性質を持っている。シームルグとガルーダは起源的に「同じ」であり、本来は雌であったことが示されていると考える。親鳥が「燃えて死ぬ」という部分は「[[燃やされた女神]]」に相当する。 | 王書を始め、神話世界のシームルグはおおむね雄として描かれるように思うが、民間伝承では異なり雌として描かれる場合もある。例えばパミール高原の民話「英雄ディックベール」では明確に「雌」として描かれる。民間伝承のシームルグは「邪悪な蛇」とも対立しており、インド神話のガルーダにも似た性質を持っている。シームルグとガルーダは起源的に「同じ」であり、本来は雌であったことが示されていると考える。親鳥が「燃えて死ぬ」という部分は「[[燃やされた女神]]」に相当する。 | ||
| − | また英雄の養育者・保護者といった性質は「[[養母としての女神]]」の特徴と考える。エジプト神話の[[ネクベト]] | + | また英雄の養育者・保護者といった性質は「[[養母としての女神]]」の特徴と考える。エジプト神話の[[ネクベト]]女神のように、シームルグは力がある者の保護者である鳥形の女神とされていたのではないだろうか。それが政治的に男性が有力な時代になると、雄へと変更されたのだろう。イラン神話とインド神話は、同じ神々を擁しながら善神と悪神の立場がそれぞれで入れ替わるように異なっていることが特徴だが、シームルグとガルーダという鳥神に関しては、どちらの神話も「雄」に変更されていることが興味深く感じる。 |
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| + | 主に英雄の保護者としてのシームルグは中国神話の[[九天玄女]]に相当し、保護される英雄は[[黄帝型神]]と考える。対立する悪魔は、[[炎帝型神]]あるいは[[祝融型神]]といえよう。名前の子音からは、シームルグは[[イナンナ]]や[[アンズー]]に近い名と考える。 | ||
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| + | ただし、民間伝承になるとシームルグは「人類の敵と戦う英雄」を助けるのみならず、主人公の窃盗を助けたりするようになる([https://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=193 マリク・ハッサン])ので、助力は庶民が求める個人的なものに変更されがちと感じる。またシームルグは鳥なので、歩いてはいけない場所に乗せていってくれる存在として、好まれて描写される傾向がある。 | ||
男性形の場合、シームルグは悪神の場合は、世界を終わらせようとする[[祝融型神]]であったり、助言者・養父の場合は[[伏羲型神]]と考える。助けを与えはするが自ら戦う要素は乏しいのではないだろうか。スラヴ神話の悪神としてのシームルグは北欧神話の狼神フェンリルと性質が似ている。 | 男性形の場合、シームルグは悪神の場合は、世界を終わらせようとする[[祝融型神]]であったり、助言者・養父の場合は[[伏羲型神]]と考える。助けを与えはするが自ら戦う要素は乏しいのではないだろうか。スラヴ神話の悪神としてのシームルグは北欧神話の狼神フェンリルと性質が似ている。 | ||
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なお、イスファンディヤールは、イランと隣国トゥーラーンとの戦争の際、トゥーラーン王のいる「青銅の城」へ攻め込む途中で7つの艱難を攻略している。その艱難の1つはシームルグとの戦いであった<ref>フェルドウスィー,岡田訳 (1999)、306頁。</ref>が、ここでのシームルグはザールを育てたシームルグとは別の、邪悪な鳥だとされている。イスファンディヤールは策略をもってシームルグを倒し<ref>奥西は訳註において、イスファンディヤールと敵対しているロスタムを守るシームルグは、イスファンディヤールから見れば敵となることから、善と悪の2羽のシームルグがいるとするヘダーヤトの説明に異議を述べている。</ref><ref>ヘダーヤト,奥西訳註 (1999)、320頁(訳註68)。</ref><ref>ヘダーヤト,奥西訳註 (1999)、313頁。</ref><ref>カーティス,薩摩訳 (2002)、90-91頁。</ref>、剣でその体をバラバラにしたところ、飛び散った羽根が山々の間の平野を埋めたという。 | なお、イスファンディヤールは、イランと隣国トゥーラーンとの戦争の際、トゥーラーン王のいる「青銅の城」へ攻め込む途中で7つの艱難を攻略している。その艱難の1つはシームルグとの戦いであった<ref>フェルドウスィー,岡田訳 (1999)、306頁。</ref>が、ここでのシームルグはザールを育てたシームルグとは別の、邪悪な鳥だとされている。イスファンディヤールは策略をもってシームルグを倒し<ref>奥西は訳註において、イスファンディヤールと敵対しているロスタムを守るシームルグは、イスファンディヤールから見れば敵となることから、善と悪の2羽のシームルグがいるとするヘダーヤトの説明に異議を述べている。</ref><ref>ヘダーヤト,奥西訳註 (1999)、320頁(訳註68)。</ref><ref>ヘダーヤト,奥西訳註 (1999)、313頁。</ref><ref>カーティス,薩摩訳 (2002)、90-91頁。</ref>、剣でその体をバラバラにしたところ、飛び散った羽根が山々の間の平野を埋めたという。 | ||
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| + | 古代ペルシアの王の一人にタームラスという王がいた。ペリとデーヴは争っており、互いにタームラス王に助力を求めた。タームラスがどちらに味方したものかセームルグに相談すると、セームルグはペリに味方するべきと忠告した。タームラスはセームルグの助けを得て強力なデーヴ達を倒すが、最後にはホウンドゴンズというデーヴに倒されてしまったのだった(「妖精の誕生」より)。 | ||
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| + | 「妖精の誕生」の注釈には以下のようにある。 | ||
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| + | * [[嫦娥]](Cháng'é):中国神話の女神。シームルグと名前の子音が一致している。 | ||
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* Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B0%E3%83%AB セマルグル] | * Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B0%E3%83%AB セマルグル] | ||
* ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会 204-220p | * ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会 204-220p | ||
| + | * 妖精の誕生 フェアリー神話学 トマス・カイトリー 市場泰男訳 教養文庫 31-32p | ||
== 私的注釈 == | == 私的注釈 == | ||
2025年12月15日 (月) 23:15時点における最新版
シームルグ[1](またはスィームルグ[2]、スィーモルグ[3]、シムルグ。سیمرغ、Simurgh)は、イラン神話に登場する神秘的な鳥である。サムルク(Samruk)、セームルグなどともいう。
シームルグの伝承は、ペルシア(現在のイラン)やカシミール(現在のインド北部)[4]で知られている。ペルシアの北部にあるアルブルズ山に住むとされており、その羽毛は美しいだけでなく治癒する力を持つとされている[5]。
伝承では、シームルグの体は象さえ運べるほど巨大だという。鳥の王であり、ゆえに餌として得たものは自身が満腹になると残りは他の動物が食べられるようにとその場に置いていくという[6]。伝承によっては、シームルグは1700年の寿命を持ち、300歳になると卵を産み、その卵は250年かかって孵るという。そして、雛が成長すると親鳥が火に飛び込んで死ぬとされている。
サエーナ鳥とも呼ばれ、アヴェスター[7]においては太古の海にある二本の大木のうちの一本に棲んでいた。この木の上でシームルグが羽ばたくと種子が巻き散らされ、その種子からはあらゆる種類の植物が生えた。しかし、ある時ダエーワたちによってこの大木が打ち倒されて枯れると、シームルグはアルブルズ山へと住処を移した[8]。
目次
私的考察[編集]
シームルグは世界樹的な聖なる木、あるいは聖なる山に住む霊鳥とされる。神霊としては「下位の神」となるのだろうが、その分人間の生活に大きく関わる存在ともいえる。
王書を始め、神話世界のシームルグはおおむね雄として描かれるように思うが、民間伝承では異なり雌として描かれる場合もある。例えばパミール高原の民話「英雄ディックベール」では明確に「雌」として描かれる。民間伝承のシームルグは「邪悪な蛇」とも対立しており、インド神話のガルーダにも似た性質を持っている。シームルグとガルーダは起源的に「同じ」であり、本来は雌であったことが示されていると考える。親鳥が「燃えて死ぬ」という部分は「燃やされた女神」に相当する。
また英雄の養育者・保護者といった性質は「養母としての女神」の特徴と考える。エジプト神話のネクベト女神のように、シームルグは力がある者の保護者である鳥形の女神とされていたのではないだろうか。それが政治的に男性が有力な時代になると、雄へと変更されたのだろう。イラン神話とインド神話は、同じ神々を擁しながら善神と悪神の立場がそれぞれで入れ替わるように異なっていることが特徴だが、シームルグとガルーダという鳥神に関しては、どちらの神話も「雄」に変更されていることが興味深く感じる。
主に英雄の保護者としてのシームルグは中国神話の九天玄女に相当し、保護される英雄は黄帝型神と考える。対立する悪魔は、炎帝型神あるいは祝融型神といえよう。名前の子音からは、シームルグはイナンナやアンズーに近い名と考える。
ただし、民間伝承になるとシームルグは「人類の敵と戦う英雄」を助けるのみならず、主人公の窃盗を助けたりするようになる(マリク・ハッサン)ので、助力は庶民が求める個人的なものに変更されがちと感じる。またシームルグは鳥なので、歩いてはいけない場所に乗せていってくれる存在として、好まれて描写される傾向がある。
男性形の場合、シームルグは悪神の場合は、世界を終わらせようとする祝融型神であったり、助言者・養父の場合は伏羲型神と考える。助けを与えはするが自ら戦う要素は乏しいのではないだろうか。スラヴ神話の悪神としてのシームルグは北欧神話の狼神フェンリルと性質が似ている。
すべての種の実る木[編集]
ヴェンディダード(Vendidad)[9]によると、ヴォウルカシャの中心には"すべての種の実る木"、Harvisptokhmがあるとされ、この木は世界に存在するすべての植物の種を含むとされる[10]。木の上には大枝を破壊し、種をまき散らす原因となるシナムル(Sinamru)の鳥が棲んでいる。
この木はアヴェスターにおいては太古の海にある二本の大木のうちの一本とされている[11]。Sinamru鳥はシームルグの別名、あるいは原型ともされ、シームルグが棲んでいるのはHarvisptokhmの方であるとも考えられる。
ハオマの木に宿る鳥[編集]
ガオケレナは、ペルシャ神話、ゾロアスター教の伝説に登場する白きハオマの巨木(生命の植物)である。世界海ヴォウルカシャ(Vourukasha)の中心に立つとされ、1万の癒しの植物に囲まれた、"癒しの木の王"とも呼ばれる[12]。この植物は食すと癒しをもたらし、死者を復活させ不老不死にする。ハオマ(Haoma)は、ゾロアスター教において重視される神酒の名でもあり、この植物の実から作られるとされる、不老不死の霊薬である。ガオケレナは「雄牛の角」「雌牛の耳」の意である。
悪霊がトカゲとカエルを作り、この木を攻撃しようとしたが、10匹のカラ魚と9個の口と6個の目を持つロバによって保護された。またこの木には、シームルグが巣を作っている。
シャー・ナーメ(王書)[編集]
フェルドウスィーによる叙事詩『シャー・ナーメ(王書)[13]』では、シームルグは重要な役割をもって登場する。
ナリーマン(Nariman (father of Sām))家のサームの元に生まれたザールは、生まれた時から白髪だったため、父サームの命令によって遠い場所に捨てられた。エルブルズ山(アルブルズ山)に巣を置いて雛を育てていたシームルグがこの捨てられた赤ん坊を見つけ、巣に連れ帰って雛鳥と一緒に育てた。やがてサームは子供を捨てたことを後悔し、子供を捜してエルブルズ山にやって来た。サームを見つけたシームルグは、成長したサームの息子に自分の羽根の1枚を渡し、「困ったことがあったら燃やすように」と言って、サームの元まで連れて行った。サームは息子にザールと名付けて共に山を下りた。サームが仕えるイラン王マヌーチェフル(Manuchehr)は、サームの子をシームルグが育てたと知ると非常に喜んだ[14][15][16]。
やがてザールは、カブールのルーダーベ(Rudaba)姫と結ばれる。ルーダーベが出産する際、臨月となっても胎児は産まれずルーダーベを苦しめた。ザールは、シームルグの羽根の一部を香炉で燃やした。すぐにシームルグが現れ、生まれてくる子が強く賢い人物となる旨を告げ、出産のための助言を与えて、1枚の羽根を置き飛び去った。シームルグの指示により、ルーダーベを酒で酔わせた後に腹部を切開して赤ん坊を取り上げ、腹部は縫合して薬を塗り、シームルグの羽根で傷口を撫でて治癒させた。こうしてロスタムは生まれた。[17]。
成長したロスタムが、イランの王子イスファンディヤール(Esfandiyār)と戦って傷ついた時、ザールは香炉でシームルグの羽根の一部を燃やした。再びシームルグが現れて、ロスタムと彼の馬ラクシュ(Rakhsh)を治療した。シームルグは、ロスタムからイスファンディヤールと戦うことになった事情を聞くと、イスファンディヤールと和解を試みるよう、そしてもしイスファンディヤールが和解を受け入れないなら、シームルグが作らせた矢を用いて彼と戦うよう助言した[18]。再びイスファンディヤールと相まみえたロスタムは和解を試みたが、イスファンディヤールが拒否したため、ロスタムはシームルグが指示した方法で矢を放った。矢はイスファンディヤールの目に深々と刺さり、これが彼の致命傷となった[19][20]。
なお、イスファンディヤールは、イランと隣国トゥーラーンとの戦争の際、トゥーラーン王のいる「青銅の城」へ攻め込む途中で7つの艱難を攻略している。その艱難の1つはシームルグとの戦いであった[21]が、ここでのシームルグはザールを育てたシームルグとは別の、邪悪な鳥だとされている。イスファンディヤールは策略をもってシームルグを倒し[22][23][24][25]、剣でその体をバラバラにしたところ、飛び散った羽根が山々の間の平野を埋めたという。
タームラス王の相談相手[編集]
古代ペルシアの王の一人にタームラスという王がいた。ペリとデーヴは争っており、互いにタームラス王に助力を求めた。タームラスがどちらに味方したものかセームルグに相談すると、セームルグはペリに味方するべきと忠告した。タームラスはセームルグの助けを得て強力なデーヴ達を倒すが、最後にはホウンドゴンズというデーヴに倒されてしまったのだった(「妖精の誕生」より)。
注釈より[編集]
「妖精の誕生」の注釈には以下のようにある。
セームルグは「三十羽の鳥」を意味し、アラビア伝説の「ロック」だと考えられている。セームルグは『シャー・ナーメ』の初めの部分に出てくるので、ペルシア固有の神話に属するものと思われる。
伝播[編集]
アラブには、シームルグに相当する霊鳥アンカがいる。
セマルグル[26](Semargl, Симаргл, Семаргл、またはシマルグル (Simargl))は、スラヴ神話の神である。グリフォンに似た姿で表現されている[27]。
シマルグルまたはセマルグルは、東スラブ神話に登場する神または神話上の生き物で、翼のあるライオンまたは犬として描かれている。妻は夜の女神クパルニツァである。また、クパロとコストローマの父でもある。ゾリャス(ダジボーグ神の従者または娘である太陽の女神)は、セマルグルが脱走して星座を破壊し、世界を終わらせないように、こぐま座の北極星に鎖でつないでいる。セマルグルはスキフの父であり、サイティアの建国者でもある[私注 1]。
セマルグルの名前は、アヴェスター語やパフラヴィー語、ペルシア語で「聖なる鳥」を意味する単語に由来している。ウラジーミル1世の、キリスト教導入以前の宗教政策において、スラヴ外から持ち込まれた神であり、その起源はイラン神話に登場するシームルグである。キエフやリャザンで見つかった、12世紀から13世紀頃のものと考えられている銀製の腕輪には、体が鳥と動物の要素の入り交じった生き物が彫刻されたものがあるが、一部の研究者はその生き物をセマルグルだと考えている。その生き物は、古代ペルシアで作られた金製または銀製の皿に彫刻されたシームルグに似ている[28]。
キエフの丘に祀られた神々の1柱であり[29]、しばしば女神モコシと関連付けられ、農耕と植物の生育にかかわる神だとされる。一方、寒気と霜の神という説もある[30]。
これとは逆にその名を「七つの頭」と解して、ペルーン・ダジボーグ・モコシ・ストリボーグ・ホルスなどの7柱の神を統合させた存在であるとする説もある[31]。
シームルグが登場する民話等[編集]
- 英雄ディックベール:シームルグは助力を与える母鳥である。
- 大王の三人の妻:シームルグは主人公達の養母としてわずかに登場する。
- マリク・ハッサン:シームルグは助力を与える母鳥である。
- タフムーラス王の相談相手:シームルグは王に助言を与え、デーヴァとの戦いを助ける。
関連項目[編集]
- イナンナ
- 嫦娥(Cháng'é):中国神話の女神。シームルグと名前の子音が一致している。
- アンカ
- フマ
- チャムローシュ
- ジズ
- サラマー:インド神話の犬(天狗)神の母女神、シームルグと名前の子音が一致している。
シームルグ・Wikipedia記載の参考文献[編集]
原典資料[編集]
- フェルドウスィー『王書』
- フェルドウスィー, 岡田恵美子訳, 王書 - 古代ペルシャの神話・伝説, 岩波書店, 岩波文庫 赤 786-1, 1999-04, isbn=978-4-00-327861-1
二次資料[編集]
- アラン, トニー, 上原ゆうこ訳, 世界幻想動物百科 ヴィジュアル版, 原書房, 2009-11, 2008, isbn=978-4-562-04530-3, シームルグ, pp. 30-31
- カーティス, ヴェスタ・サーコーシュ, 薩摩竜郎訳, ペルシャの神話, 丸善, 丸善ブックス 096, 2002-02, isbn=978-4-621-06096-4
- ヘダーヤト, サーデク, 奥西峻介訳註, ハーンサーリー, A・J.・ヘダーヤト, サーデク著、岡田恵美子・奥西峻介訳註, 不思議の国, ペルシア民俗誌, 平凡社, 東洋文庫 647, 1999-01, isbn=978-4-582-80647-2
- ローズ, キャロル, 松村一男監訳, 世界の怪物・神獣事典, 原書房, シリーズ・ファンタジー百科, 2004-12, シームルグ, page=214, isbn=978-4-562-03850-3
- 金光仁三郎監修, 知っておきたい伝説の英雄とモンスター, 西東社, なるほどBOOK!, date=2008-04, isbn=978-4-7916-1488-2
- 伊東一郎, 吉田敦彦他共著, 世界の神話伝説総解説, 自由国民社, Multibook, 2002-07, 改訂増補版, isbn=978-4-426-60711-1, pp.51-61, スラヴの神話伝説
- 清水睦夫, 田中陽兒, 倉持俊一, 和田春樹編, ロシア史1:9世紀-17世紀, 山川出版社, 世界歴史大系, 1995-09, isbn=978-4-634-46060-7, ロシア国家の起源
- 中堀正洋, 松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史編, 神の文化史事典, 白水社, 2013-02, isbn=978-4-560-08265-2, p.300, セマールグル
- ワーナー, エリザベス, 斎藤静代訳, ロシアの神話, 丸善, date=2004-02, 丸善ブックス 101, isbn=978-4-621-06101-5
シームルグ・参考文献[編集]
- Wikipedia:シームルグ
- Wikipedia:ガオケレナ
- Wikipedia:ハオマ
- Wikipedia:ソーマ
- Wikipedia:セマルグル
- ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会 204-220p
- 妖精の誕生 フェアリー神話学 トマス・カイトリー 市場泰男訳 教養文庫 31-32p
私的注釈[編集]
- ↑ スラブ神話のセマルグルは名前はシームルグに由来するが、性質はインド神話のラーフとケートゥに類似するように思う。
参照[編集]
- ↑ ローズ,松村訳 (2004)で確認した表記。
- ↑ カーティス,薩摩訳 (2002)で確認した表記。
- ↑ フェルドウスィー,岡田訳 (1999)、ヘダーヤト,奥西訳註 (1999)で確認した表記。
- ↑ カシミール地方はパミール高原の東(中国)寄りの地域である。パキスタン、インド、中国の国境地帯。
- ↑ ローズ,松村訳 (2004)、214頁。
- ↑ ヘダーヤト,奥西訳註 (1999)、311頁。
- ↑ 紀元前600年~300年頃に成立
- ↑ 伝説の英雄とモンスター,西東社 (2008)、138頁
- ↑ アヴェスターのテキストの一部。
- ↑ ヴォウルカシャ, Darmesteter, Pg 54
- ↑ シームルグ, 伝説の英雄とモンスター,西東社 (2008)、138頁
- ↑ Darmesteter, Introduction, Pg lxix
- ↑ 10~11世紀にかけて記された。
- ↑ フェルドウスィー,岡田訳 (1999)、119-131頁。
- ↑ カーティス,薩摩訳 (2002)、87頁。
- ↑ ヘダーヤト,奥西訳註 (1999)、312頁。
- ↑ フェルドウスィー,岡田訳 (1999)、182-186頁。
- ↑ ロスタムがイスファンディヤールと戦うことになった事情は、イスファンディヤール王子の父が、ロスタムに殺されるように、と目論んで、ロスタム征伐を王子に命じたからである。
- ↑ フェルドウスィー,岡田訳 (1999)、312-323頁。
- ↑ カーティス,薩摩訳 (2002)、87-90頁。
- ↑ フェルドウスィー,岡田訳 (1999)、306頁。
- ↑ 奥西は訳註において、イスファンディヤールと敵対しているロスタムを守るシームルグは、イスファンディヤールから見れば敵となることから、善と悪の2羽のシームルグがいるとするヘダーヤトの説明に異議を述べている。
- ↑ ヘダーヤト,奥西訳註 (1999)、320頁(訳註68)。
- ↑ ヘダーヤト,奥西訳註 (1999)、313頁。
- ↑ カーティス,薩摩訳 (2002)、90-91頁。
- ↑ 伊藤 (2002)ではセマルグル。中堀 (2014) ではセマールグル。ワーナー,斎藤訳 (2004)では シマリグル。清水 (1995)ではシマルィグル。
- ↑ 中堀 (2014), p.300.
- ↑ ワーナー,斎藤訳 (2004), p.22.
- ↑ 清水 (1995), p.49.
- ↑ 清水 (1995), p.47.
- ↑ 伊藤 (2002), p.54.