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イナンナは冥界に下っているほか、冥界の食物を食したという神話もあるので、「[[養母としての女神]]」の性質が強いけれども「[[吊された女神]]」でもあり、複合的な女神と考える。純粋に「[[養母としての女神]]」といえるのはむしろ、イナンナの帰還に力を尽くしたニンシュブルのほうであろう。
冥界に下るイナンナが服や装飾品を脱いでいく姿は、「鳥女房」譚で服(羽衣)を盗まれて天に帰れなくなった鳥乙女を思わせる。「鳥女房」譚といえば、特に日本では「→→「[[牛郎織女]]」の方が親しまれていると思われるが、イナンナ、鳥女房譚の鳥女神、織女は起源的に同じものと思われる。 「鳥女房」譚では「夫が妻の服を盗んで逃げられないようにする」というパターンはあまりにも有名に感じるので、イナンナの神話も元はドゥムジが妻の服を剥ぎ取って殺した、という話だったのではないだろうか。ドゥムジが先に冥界に下るパターンだと、「エンリルとニンリル」に近い話になると考える。 イナンナの「冥界下り」は、発生時から時代が下ると、誰かがその妻を殺した、というような血なまぐさい話を離れて、次第に「季節の循環」の神話として定着していったように思う。ギリシア神話の「プロセルピナの冥界下り」も似た趣旨の神話である。ただし、冥界と人間世界を循環して行き来する神話は季節だけのものではない。朝鮮の「[[龍女]]」は毎晩水面下に沈んで龍と戦う。エジプト神話の太陽神は毎晩冥界で[[アペプ]]と戦う。すなわち、「女神が地下世界に下り、また再生する」という神話は、発生当初から時代が下ると、一方ではイナンナ・プロセルピナのように「季節の循環」とされ、もう一方では「太陽が夜地下世界で蛇神と戦う(朝には再び地上に現れる)」という神話に分かれたものと考える。太陽が蛇神と戦う神話は、別に鳥神と蛇神が戦う[[シームルグ]]対蛇神の神話を派生しているのだろう。そして人類の生活が父系化するにつれ、「太陽女神対蛇神(冥界神)」の対決だった話は、「男性の太陽神対蛇神」の構図へと変化していったものと思われる。エジプト神話のホルスとセトが戦う話、ラーが[[アペプ]]と対立する話、[[祝融]]が[[共工]https://bellis.sakura.ne.jp/top/?%E6%AF%94%E8%BC%83%E4%BC%9D%E6%89%BF%E8%80%83%E5%AF%9F___%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%A5%B3%E7%A5%9E%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6 イナンナと鳥女房と戦う鳥女神について]と対立する話などである。悪竜を退治する男性の話なら西欧世界を中心に多数の伝承がある。」:こちらもご覧下さい。
== 呼称 ==
== 関連項目 ==
* [[牛郎織女]]:類話と考える。
* [https://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=105&1766038386 ペリの妻]
== 参考文献他 ==

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