ヒャッポダ
ヒャッポダ(百歩蛇、Deinagkistrodon acutus)は、クサリヘビ科に分類されるヘビ。本種のみでヒャッポダ属を形成する。特定動物。
噛まれたら百歩歩くうちに死ぬとされ、台湾では百歩蛇と呼ばれている。日本名、英名もこれに準ずる。中国では五歩蛇と呼ばれることもある。また、頭部の形状から尖吻蝮とも呼ばれる。
神話的特徴
台湾原住民のパイワン族では貴族の先祖として崇拝されており、殺傷は禁忌とされている。ルカイ族でも祖神とされている。タイヤル族は「ヒャッポダが先祖である」とは言わないが、菱形の紋様を「先祖の目」としている。
また、オーストロネシア語族に広くみられる虹蛇という蛇神の原型と考える。天候神、再生と化生の神、幸運をもたらしてくれる神、逆に不吉な神、と「両極的な性質」を持つように思う。竜の原型の一つともいえるのではないだろうか。性差は顕著でなく、女神の場合、男神の場合、と両方あるように思う。女神が蛇神の場合はいわゆるメリュジーヌ譚、男神の場合は蛇婿譚として、神婚の伝承としても広くみられるように思う。
ミャオ族神話
ミャオ族神話では、竜、蛇はチャンヤンの兄弟と言われている。チャンヤンは中国神話の伏羲に相当する祖神であり、伏羲は蛇神なので、チャンヤンに蛇神の要素があっても不思議ではないと考える。
また、盤瓠は老婦人の耳から発生したムカデ(虫神)から化生したと言われており、このムカデが広く「虫神」として蛇と同一のものとみなせるのであれば、盤瓠もまた蛇神といえるのではないだろうか。
そして、苗族の再使用の衣装である百鳥衣に刺繍された蛇神や蝶神の体にはヒャッポダの「菱形模様」が描かれているように思う。ヒャッポダは苗族の潜在的な「祖神」といえるのではないだろうか。
幸
ミャオ族は文字を残さなかったが、漢族は文字を残した、という。
分布
中国(南東部、海南島)、台湾、ベトナム。
形態
平均全長80-100cm。最大155cm。ニホンマムシと同じく、全長に比して胴が太く体形は太短い。体色は濃褐色で、暗褐色の三角形に縁取られた明色の斑紋が入る。この斑紋は落ち葉の中では保護色になる。鱗には隆起(キール)が入る。
頭部は三角形で吻端は尖り、上方に反り返っている。目は金色で細い縦長の瞳を持つ。
毒
百歩歩く内に死ぬというのは大袈裟であるが、毒は強力な出血毒で、量も多く危険である。
生態
山地の森林に住み、特に水辺を好む。動きは緩怠。
食性は動物食で、ネズミ、鳥類、カエル等を食べる。
繁殖形態は卵生で、1回に20-30個の卵を産む。
数が少なく、蛇取りもなかなかお目に掛かることがないため、幻の蛇と呼ばれている。
人間との関係
台湾ではタイワンアマガサ、タイワンコブラ、タケアオハブ、タイワンハブ、トウブラッセルクサリヘビ(Daboia siamensis)と共に「台湾六大毒蛇」と呼ばれる[4]。
中国の広東料理では、五蛇の1つに数え、蛇スープの食材としている。また、肝酒や蛇酒にも利用されている。台湾では漢方薬の材料として高価で取引される。
関連項目
脚注
- ↑ 蚩尤節の衣装である。
- ↑ ミャオ族の刺繍とデザイン、苗族刺繍博物館、大福書林、2016-03-17、p45
- ↑ 苗(ミャオ)族のろうけつ染め、貴州観光案内、2020-05-18(最終閲覧日:26-03-17)
- ↑ (談臺灣的毒蛇咬傷的各種面貌與預防秘訣 ) 臺中榮總全球資訊網 Taichung Veterans General Hospital, https://www.vghtc.gov.tw/, 臺中榮民總醫院 - 全球資訊網 (中文版), 2011-07-20, 2022-04-12, 臺中榮民總醫院