サエーナ鳥とも呼ばれ、アヴェスター<ref>紀元前600年~300年頃に成立</ref>においては太古の海にある二本の大木のうちの一本に棲んでいた。この木の上でシームルグが羽ばたくと種子が巻き散らされ、その種子からはあらゆる種類の植物が生えた。しかし、ある時ダエーワたちによってこの大木が打ち倒されて枯れると、シームルグはアルブルズ山へと住処を移した<ref>伝説の英雄とモンスター,西東社 (2008)、138頁</ref>。
== 私的考察 ==
王書を始め、神話世界のシームルグはおおむね雄として描かれるように思うが、民間伝承では異なり雌として描かれる場合もある。例えばパミール高原の民話「英雄ディックベール」では明確に「雌」として描かれる。民間伝承のシームルグは「邪悪な蛇」とも対立しており、インド神話のガルーダにも似た性質を持っている。シームルグとガルーダは起源的に「同じ」であり、本来は雌であったことが示されていると考える。
また英雄の養育者・保護者といった性質は「養母としての女神」の特徴と考える。エジプト神話のネクベト女神のように、シームルグは権力の保護者である猛禽女神だったのではなかろうか。それが政治的に男性が有力な時代になると、雄へと変更されたのだろう。イラン神話とインド神話は、同じ神々を擁しながら善神と悪神の立場がそれぞれで入れ替わるように異なっていることが特徴だが、シームルグとガルーダという鳥神に関しては、どちらの神話も「雄」に変更されていることが興味深く感じる。
== すべての種の実る木 ==
{{DEFAULTSORT:しむるく}}
[[Category:神鳥]]
[[Category:鳥]]
[[Category:牛]]
[[Category:霊鳥]]
[[Category:巨大鳥]]
[[Category:魚]]
[[Category:ロバ]]
[[Category:トカゲ]]
[[Category:蛇]]
[[Category:蛙]]
[[Category:樹木信仰]]
[[Category:不死の霊薬]]
[[Category:イラン神話]]
[[Category:中東養母としての女神]][[Category:ng系]][[Category:犬]][[Category:狼]][[Category:世界の終わり猛禽]]