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2,793 バイト追加 、 2025年2月10日 (月)
それからは、むごいことに一年に一人ずつ男の子を人身御供で池に沈めたが、あまりにもむごいため、ちょうど通りかかった全国行脚の坊さんに相談した。坊さんは「米三石三斗を人身御供の変りに池に供えれは良いであろう」と教えて立ち去った。坊さんの言われた通りに米をお供えしたところ、次の年は無事息災、五穀豊穣だったので、次の年から米を捧げるようになった<ref>原題「カンシャク持ち殿さん」。久留米ん昔話ー宮の陣に載っている話(久留米弁)の再転載。標準語的に直したのは管理人です。</ref>。
 
=== 菊姫物語 ===
今から四百年くらい前に八丁島に古賀の館(ヤカタ)と言うお城があった。この殿様に可愛らしい一人娘がいた。天女のように美しかったので、どこの殿様からも嫁に欲しいとの申込があったが、同じ一族の高橋という家に嫁に行くことに決まった。
 
ところが嫁入の日も近くなった春に、秋月の殿様が是非嫁にくれ、くれないのなら考えがある、という無理な申し入れがあった。そう言われても、もう決ったことなので、古賀の殿様な、はっきりと事情を説明して断わった。
 
 
 
 
 秋月の殿様(トノサン)な断わられた腹いせに 薩摩ん島津と組んで、七月古賀の館に戦ば仕掛けて来た。殿様(トノサン)な娘は高橋さんやって約束果してから戦争しゆうと思うて、早よ高橋さん行けち娘に言うたが娘は自分が居るばっかりに戦になっ たけ、自分がおらんごつなったなら戦争にゃなるめち自殺してしもうた。殿様は娘ん健気な気持に涙しながら高橋にせめて首だけでん輿(コシ)入させたかち家来の掃部介に娘の首ば届くるごつ命じた。
 
 秋月方の囲(カコイ)ばようよ切抜けち高橋さん馬で走ったが、途中で高橋の館も秋月、島津のため攻め 破られたち言う報せに、古賀の館ば振返って見ると、もう館も火炎につゝまれち、殿様も家来も多勢に 無勢で討死されたらしか様子。掃部介は、姫の首ば八丁島の池に静かに沈めかくして、「もうこれまで ぢゃ、いさぎよう斬死にしょう」ち馬ば館の方に走らせ、勝ちどき上げよる敵の中に斬込うで行って、深傷ば負うてん猶戦い、力尽きると近くの池に馬ば乗り入れ、敵が見守るなかで見事切腹して死んでしもた。
 
 それからあと、娘の首ば沈めた八丁島には娘の怨霊が大蛇になって住つき、大水、旱魃、流行病 、家畜にも災ひばして皆、困ってしもうた。村ば通りかゝった六部にこのわけば聞いてみっと毎年十才迄の男の子ぱ池の大蛇に人身御供すりゃ災難が消ゆるぢゃろち教えた。
 
 そりから毎年十二月十五日に可哀想じゃが男の子ば一人人身御供にするごつなった。あんまりムゾかけ又、六部に相談してみっと、米三石三斗で人身御供の代りにせよち言うたけん、そりからは米三石三斗ばお供えするごつなった。米三石三斗ば三斗三升にへらし、しまえにゃ三升三合にへずって祭るごつなった。
=== 殿様と忠臣(カンシャク持ち殿さん) ===

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