猫は古代エジプト人が初めて家畜化した動物と言われている。エジプト先王朝時代の紀元前6000年頃、ヒエラコンポリスの貴族の墓より猫の骨が発見されている。また紀元前4000年紀後半には家畜化されていたと考えられている<ref name="Yoshimura">吉村作治, 古代エジプトを知る事典, p312</ref>。
バステトは紀元前3千年紀に初めて登場し、獰猛な雌ライオンか雌ライオンの頭を持つ女神として描かれてた<ref>テ・ヴェルデ、『バステト』、p. 164.</ref>。2000年後のエジプト第三中間期(紀元前 1070年頃-712年)には、バステトは飼い猫か猫の頭を持つ女性として描かれるようになった<ref>ロビンズ、ゲイ(2008年)。『古代エジプトの美術:改訂版』。マサチューセッツ州ケンブリッジ:ハーバード大学出版局。197ページ。ISBN 978-0-674-03065-7。</ref>。
このことから、初めはライオンの神として攻撃的な性格を持っていたが、他のライオンをモチーフとした神と差別化され、穏やかな神になったと言われる。
古代エジプトはプトレマイオス朝によってほぼ300年にわたって支配され、その間にエジプト人の支配者はギリシャ人に取って代わられた。ギリシャ人はバステトを女神の一人である[[アルテミス]]と同一視することもあった<ref>デリア、ダイアナ (1999)。「イシス、あるいは月」。W. クラリス、A. ショールズ、H. ウィレムス共著『エジプトの宗教:最後の千年』。ヤン・クエイゲボーの追悼に捧げる研究。ペータース。pp. 545–546</ref>。
== 神話におけるバステト ==