矢奈比売神社の境内内に霊犬・悉平太郎が祀られており、これは長野県では早太郎と呼ばれる。長野市信州新町竹房大門の武富佐神社には「'''速瓢神(はやちかみ)'''」という神が祀られている。管理人はこれを「'''疾風神'''」と呼び、長野県では「早太郎(はやてたろう)」、静岡県では「疾風太郎(しっぷうたろう)」と呼ぶと考える。また、諏訪では少なくとも'''出早雄命'''と'''小萩命'''という二柱の犬神を信仰していたと考える([[赤衾伊農意保須美比古佐和氣能命]]を参照のこと)。'''出早雄命'''と「早」が名につく神が「早太郎」に相当する、と思う。とすれば、それと対になる「犬神」がもう一柱いるのではないだろうか。とすれば、見付の「'''須波若御子'''」とは'''小萩命'''のことで、この「早」の字がつかない'''小萩命'''とは、祟り神的な犬神のなのではないだろうか。「'''人身御供を求める水神、農耕神の猿神'''」とは、この小萩命という犬神と同じ性質を持つのだろう。
長野市篠ノ井有旅には犬石という地名があり、この犬石には、祟りを起こした、という伝承や「産土神が犬に追われ里芋で滑りゴマで目を突いた」を持つ(長野市篠ノ井有旅には犬石という地名があり、この犬石には、祟りを起こした、という伝承や「産土神が犬に追われ里芋で滑りゴマで目を突いた」という伝承を持つ([[布施八龍大権現]]を参照のこと)。この祟りを起こす犬神が'''小萩命'''のことと考える。犬石地区には、雨乞いの祭祀として「長年寺の薬師さんと寺の地蔵(水地蔵ともぬれ地蔵ともよばれる)とを抱き合わせて荒縄でがんじからめに縛り、それを弁天井戸(別名長者の井戸)に沈める。」ということを行っていたそうで、かつて'''雨乞いに関して人身御供の祭祀があった'''ことを伺わせる。これは干ばつを起こす'''小萩命'''に人身御供を捧げないと「'''田畑が荒れ里が凶作が起きる'''」と考えられていたからではないだろうか。すなわち、'''矢奈比売を食う神が、悪しき犬神である「小萩命(須波若神)」だとすれば、静岡県磐田市見付の祭祀と、長野市篠ノ井有旅犬石の祭祀は一致する'''のだ。そして「早太郎」は小萩命(須波若神)と拮抗する性質を持つ良き犬神なのだ。
長野市に小萩命を祀る神社はないが、長野市信州新町はかつて「'''荻野'''」と呼ばれており、小萩命(須波若神)信仰の地であったことが地名に残されているように思う。竹房には対になる速瓢神(はやちかみ)が祀られている。そして、長野市信州新町水内斉宮の健御名方富命彦神別神社には、諏訪神の子神として、'''建御名方彦神別命'''が祀られている。諏訪大社下社系の神と思われる。この神の呼称は「諏訪神から別れた神」という意味で、固有名詞とは言いがたい。おそらく、この神が'''小萩命(須波若神)'''のことだと管理人は考える。