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=== 不老不死の薬 ===
自らの子(太陽たち)を殺された帝夋は羿を疎ましく思うようになり、羿と妻の嫦娥(じょうが)を神籍から外したため、彼らは不老不死ではなくなってしまった。羿は崑崙山の西に住む西王母を訪ね、不老不死の薬を2人分もらって帰るが、嫦娥は薬を独り占めにして飲んでしまう。嫦娥は羿を置いて逃げるが、天に行くことを躊躇して月(広寒宮)へしばらく身をひそめることにする。しかし、羿を裏切ったむくいで体はヒキガエルになってしまい、そのまま月で過ごすことになった<ref>袁珂 著、鈴木博 訳『中国の神話伝説』上、青土社、1993年 314-320頁</ref><ref>松村武雄 編 『中国神話伝説集』 社会思想社<現代教養文庫> 1976年 17頁</ref>。'''嫦娥'''(じょうが、こうが)は、古くは'''姮娥'''(こうが)と表記された。『淮南子外八篇』によると、もとは仙女で、后羿が狩りの最中に'''月桂樹'''の下で嫦娥と出会ったという。
なお、羿があまりに哀れだと思ったのか、「満月の晩に月に団子を捧げて嫦娥の名を三度呼んだ。そうすると嫦娥が戻ってきて再び夫婦として暮らすようになった」という話が付け加えられることもある。自らの子(太陽たち)を殺された帝夋は羿を疎ましく思うようになり、羿と妻の嫦娥(じょうが)を神籍から外したため、彼らは不老不死ではなくなってしまった。『淮南子』<ref>紀元前2世紀</ref>覧冥訓によれば、羿は崑崙山の西に住む西王母を訪ね、不老不死の薬を2人分もらって帰るが、嫦娥は薬を独り占めにして飲んでしまう。嫦娥は羿を置いて逃げるが、天に行くことを躊躇して月(広寒宮)へしばらく身をひそめることにする。しかし、羿を裏切ったむくいで体は蟾蜍(ヒキガエル)<ref>蟾蜍(せんじょ)あるいは月中蟾蜍と書かれる。蟾蜍は漢語でヒキガエルを意味する。仙女(せんじょ、これもこのように発音される)や月の兎のように、月面に目視される模様からの発想であるとも考えられている。</ref>になってしまい、そのまま月で過ごすことになった(嫦娥奔月)<ref>袁珂 著、鈴木博 訳『中国の神話伝説』上、青土社、1993年 314-320頁</ref><ref>松村武雄 編 『中国神話伝説集』 社会思想社<現代教養文庫> 1976年 17頁</ref>。 なお、羿があまりに哀れだと思ったのか、「満月の晩に月に団子を捧げて嫦娥の名を三度呼んだ。そうすると嫦娥が戻ってきて再び夫婦として暮らすようになった」という話が付け加えられることもある。別の話では、后羿が離れ離れになった嫦娥をより近くで見るために月に向かって供え物をしたのが、月見の由来だとも伝えている。 ==== 嫦娥の変遷 ====道教では、嫦娥を月神とみなし、「'''太陰星君'''」さらに「'''月宮黄華素曜元精聖后太陰元君'''」「'''月宮太陰皇君孝道明王'''」と呼び、中秋節に祀っている。 海南島などでは、8月15日(中秋節)の晩に少女たちが'''水をはった器の中に針を入れて'''嫦娥(月娘)に自分の運命の吉凶を示してもらう、という習俗があった。針がすっかり沈んでしまって少しも浮かばないと運命は凶であるという<ref>香坂順一、『南支那民俗誌 海南島篇』 台湾総督府外事部 1944年 74頁</ref>。
=== 逢蒙殺羿 ===

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