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'''スギ'''([[学名]]: ''Cryptomeria japonica'')は、[[ヒノキ科]]スギ亜科スギ属で常緑[[針葉樹]]である。主に本州以南の山地に生え、広く植林されている。)は、ヒノキ科スギ亜科スギ属で常緑針葉樹である。主に本州以南の山地に生え、広く植林されている。
== 名前と分類 ==
スギの名の由来は、真直ぐの木「直木」から来ていると言われる(大和本草)。本居宣長は古事記伝神代七之巻にて、スギは傍らにはびこらず上へ進み上る木として「進木スギの名の由来は、真直ぐの木「直木」から来ていると言われる(大和本草)。本居宣長は古事記伝神代七之巻にて、スギは傍らにはびこらず上へ進み上る木として「'''進木(ススギ)'''」が語源としており、「直木(スグキ)」は誤りであるとしている。漢字の「杉」は、日本ではスギのことを指すが、中国ではコウヨウザンのことを指す。中国では日本の杉の仲間を「柳杉」と呼ぶ。他にも「椙」の字の表記がある。「椙」はいわゆる国字であり、日本でしか通じない。太平洋側に産するものを「オモテスギ」、日本海側に産するものを「ウラスギ」と呼んで区別することがある<ref>平野隆久監修 永岡書店編, 1997, p286</rref>。
本種は[[単型 (分類学)|単型]]であり、本種のみでスギ属 本種は単型であり、本種のみでスギ属 (''Cryptomeria''属) を形成する。科はヒノキ科に属する。ヒノキ科は[[中生代]]に登場した起源の古い植物群で、現在は日本のスギの他、[[アメリカ大陸]]の[[セコイア]] を形成する。科はヒノキ科に属する。ヒノキ科は中生代に登場した起源の古い植物群で、現在は日本のスギの他、アメリカ大陸のセコイア ''Sequoia sempervirens''、中国の[[メタセコイア]] 、中国のメタセコイア ''Metasequoia glyptostroboides''、[[コウヨウザン]] 、コウヨウザン ''Cunninghamia lanceolata'' などが[[遺存種|遺存]]的に分布している。などが遺存的に分布している。
代表的な針葉樹として分類的にスギに近縁ではないものまでスギと名付けられることがしばしば見られる。たとえば[[レバノンスギ]] 代表的な針葉樹として分類的にスギに近縁ではないものまでスギと名付けられることがしばしば見られる。たとえばレバノンスギ (''Cedrus libani'')、[[ヒマラヤスギ]] 、ヒマラヤスギ (''C. deodara'')はスギの名前がついているもののヒノキ科ではなく[[マツ科]]に属する。また、[[バラ目]]のはスギの名前がついているもののヒノキ科ではなくマツ科に属する。また、バラ目の[[アズキナシ]]をカタスギと呼ぶこともあるアズキナシをカタスギと呼ぶこともある<ref>[https://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/komagatake_fc/guide/05_azukinasi.html アズキナシ (カタスギ)] [[北海道森林管理局]] 2021年3月24日閲覧</ref>。
== 分布 ==
[[雌雄同株]]。3月から4月に開花する{{sfn|田中潔|2011|p=109}}。[[雄花]]は長さ5[[ミリメートル]] (mm) くらいの[[楕円]]形で前年の枝先に密生する{{sfn|田中潔|2011|p=109}}。[[雌花]]はほぼ球形で鱗片が密着し表面に小さな棘が出る。果期は10月{{sfn|田中潔|2011|p=109}}。雄花の冬芽は楕円形の裸芽で、枝先に多数つく{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=245}}。雌花の冬芽は球形で多数の鱗片に包まれ、1個ずつつく{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=245}}。
 
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RobenSugi DSCN9003 20100404.JPG|円錐形の樹形
Tree lined path to the Togakushi shrine2.jpg|明瞭で通直な主幹を持つ
Cryptomeria japonica 'Cristata' Szydlica japońska 2019-06-09 04.jpg|若い新芽と葉
Cryptomeria japonica-Male flower.jpg|成熟した雄花
Cryptomeria japonica PAN 5 foliage.JPG|未熟な雄花と雌花
Cryptomeria japonica MHNT.BOT2004.0.64.jpg|成熟した球果と種子
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[[葉]]は基部が枝に密着してらせんを描いてつき、葉身は先端が尖った鎌状の針形で{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=286}}、枝全体としては一面に上向きの針を並べたようになる。[[表日本]]([[太平洋]]側)に分布する個体群と[[裏日本]]([[日本海]]側)に分布する針葉をはじめとする各部の形態が違うことはしばしば指摘され<ref>[[四手井綱英]] (1957) 大阪営林局管内の天然生スギの系統の分布について. 日本林学会誌39(7), pp. 270 - 273. {{doi|10.11519/jjfs1953.39.7_270}}</ref>、分布地からそれぞれオモテスギ(表杉)、ウラスギ(裏杉)などと呼ばれる。ウラスギについては植物学者の[[中井猛之進]] (1882 - 1952) が名付けたアシウスギ(芦生杉)という名前もよく使われる。これは[[京都大学]]の[[京都大学フィールド科学教育研究センター森林ステーション芦生研究林|芦生研究林]]で標本を採取したことに由来する。両者は別種ではないが変種程度の差があるとされ、中井はアシウスギに対し ''Cryptomeria japonica'' (L.fil.) D.Don var. ''radicans'' Nakai と変種名を与えている。
針葉の形状以外では樹形、樹冠の形状、葉横断面の形状<ref>高桑進・米澤信道・綱本逸雄・宮本水文 (2010) 日本列島におけるスギの分布状況と針葉の形態変化について. 京都女子大学宗教・文化研究所研究紀要23 {{hdl|11173/1936}}</ref>、花粉重量<ref>齋藤秀樹・竹岡政治 (1987) 裏日本系スギ林の生殖器官生産量および花粉と種子生産の関係. 日本生態学会誌37(3), pp. 183 - 185. {{doi|10.18960/seitai.37.3_183}}</ref>など様々な違い<ref>遠山富太郎 (1960) オモテスギとウラスギについて. 島根農科大学研究報告8, pp. 141 - 149. {{naid|120005584288}}</ref>
が指摘されている。また、後述のように生態面の違いも指摘されている。両者に現れる様々な形態の違いは日本海側の多雪環境に適応したものと解釈されることが多い。
 
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Berne Botanic garden Cryptomeria japonica.jpg|オモテスギ系の針葉
Cryptomeria japonica 'Rasen' Szydlica japońska 2019-06-09 01.jpg|ウラスギ系の針葉
Fukaura town kitakanegasawa seki no kame-sugi.jpg|ウラスギ系は主幹が複数立ち上がり株立ちの様相になるものもある
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深根性であり、根を深くまで伸ばす<ref>苅住昇一『樹木根系図鑑』誠文堂新光社、1979年</ref>。根系直径10[[ミリメートル]] (mm) の引き抜き抵抗力は、スギ、ヒノキと広葉樹(ナラ類)は100kgf程度、アカマツはその半分、カラマツは4割程度であり、スギは土砂災害に強い森林づくりに好ましい<ref name="nagano-ringyo">{{Cite web |date=2002-05-01 |url=http://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/seika/gijyutsu/documents/126-1.pdf |title=土砂災害に強い森林づくりに向けて |format=PDF |page=2 |publisher=[[長野県]] |author=信州大学農学部森林科学科教授 北原曜 |accessdate=2016-03-12 |deadlinkdate= }}</ref>。しかし、植林するスギやヒノキの苗は挿し木によるクローン栽培が多く、{{要出典|範囲=挿し木は地中深くに伸びる直根が出てこないため(種から生産する[[実生]]苗には直根がある)、台風や大雨などによって簡単に倒れやすい|date=2016年3月}}。20世紀末頃からスギ山林の土砂崩れが多く聞かれるようになったことで、スギは根が浅いとの風説が語られるようになったが、これは戦後復興期から高度成長期にかけての木材供給不足時代に、元来崩れやすい急斜面や岩層上の表土が薄い箇所にまで植林を行ったことが原因であるともいわれる。

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