今西龍は、韓民族に祖神あることは事実なり。…漢民族の祖神は、韓民族の遠き祖先が祖神となしたるものにあり。而して其名其徳の彷彿として窺ひ知るべきものに新羅の弗矩内あり、任那即ち加羅の夷毗訶あり。弗矩内は漢字訳して赫居世といふ『光を知らす』の義にして、新羅古代の王が奉祀せしものなり」と述べており、檀君神話の起源について歴史的観点から民族および地域の分析をおこない、「檀君は本来、扶余・高句麗・満洲・蒙古等を包括する通古斯族中の扶余の神人にして、今日の朝鮮民族の本体をなす韓種族の神に非ず」と結論づけた<ref>北山祥子, 2021, p112-114</ref><ref group="私注">扶余・高句麗・満洲・蒙古・日本そして中国の一部の「共祖」は必ずしもツングース系とはいえないのではないか? と思うが、これらの民族に共通した先祖と祖神神話があるという考えは管理人もほぼ同一といえる。</ref>。
== 私的考察 ==
ともかく、Wikipediaの記載は、神話の内容そのものよりも、現代的イデオロギーに関することが多くて「神話の内容はどこ?」と感じる。管理人は現代的イデオロギーには教養の一環という以上の興味はなく、あくまでも「比較神話」が興味の対象である。神話というものが一般的に「いつ成立したのか」という点は、歴史的事実にかかわらず「'''文字にして表されたとき'''」と考えている。口承文学は社会状況の変化に合わせて内容が変わり得るが、文字にして保存されてしまうと、どんな時代でも「どういう話だったっけ?」と読んで確認できるようになるので、変化のしようがなくなるからである。神話というものが「100%歴史的事実であるか否か」という点は、檀君神話が事実であれば、日本の天孫降臨も、中国の[[后稷]]も、ヴェマーレ族の[[ハイヌウェレ型神話|ハイヌウェレ]]も全て歴史的事実なので、その全てを客観的に証明して下さい、となる。そう、檀君神話は、拡く「植物化生神話」の一部なのである、というのが管理人の考えである。特に「植物の子孫」が王権を有した、というニニギの神話と関連が深く、日本の神話の模倣ではなく、日本の神話との類似姓が高いからこそ、文化的に朝鮮と日本が近い時代、すなわち朝鮮人と日本が地理的、文化的に近くに在り、枝分かれする前から原型が存在していた神話、といえると考える。
== 参考文献 ==