今西龍は、韓民族に祖神あることは事実なり。…漢民族の祖神は、韓民族の遠き祖先が祖神となしたるものにあり。而して其名其徳の彷彿として窺ひ知るべきものに新羅の弗矩内あり、任那即ち加羅の夷毗訶あり。弗矩内は漢字訳して赫居世といふ『光を知らす』の義にして、新羅古代の王が奉祀せしものなり」と述べており、檀君神話の起源について歴史的観点から民族および地域の分析をおこない、「檀君は本来、扶余・高句麗・満洲・蒙古等を包括する通古斯族中の扶余の神人にして、今日の朝鮮民族の本体をなす韓種族の神に非ず」と結論づけた<ref>北山祥子, 2021, p112-114</ref><ref group="私注">扶余・高句麗・満洲・蒙古・日本そして中国の一部の「共祖」は必ずしもツングース系とはいえないのではないか? と思うが、これらの民族に共通した先祖と祖神神話があるという考えは管理人もほぼ同一といえる。</ref>。
[[末松保和]]は、「普通に箕子、衛満の二朝鮮を合して[[古朝鮮]]といふ。ところが、古朝鮮の中には、今一つ数へあげねばならぬものがある。王倹朝鮮これである。王倹は詳しくは壇君王倹といふから、壇君朝鮮とも呼ばれてゐる。箕子・衛満の朝鮮が[[支那]][[古典|古典籍]]にあらはれるものであるに対して、この王倹朝鮮は[[高麗|王氏高麗時代後期]]の文献に始めて見えるものであつて、前二者とは成立の過程を異にし、同日に談ずべきではなく、高麗人自身によつて構成されたものといふ点に意義がある。この古朝鮮=王倹朝鮮は、年代上では、支那の[[堯|堯帝]]と時を同じくする王倹が開国したものであり王倹は御国一千五百年周の武王が箕子を朝鮮に封ずるに及んで退き隠れたとするから、箕子以前即ち最古の古朝鮮となるわけである」「古朝鮮の第一は檀君王倹朝鮮であり、第二は[[箕子朝鮮]]であり、第三は[[衛氏朝鮮|衛満朝鮮]]…その第一の檀君王倹朝鮮は、王氏高麗時代後期の文献に始めて見えるものであつて、文献上の古さは、到底箕子・衛満の両朝鮮と比較すべくもない…檀君朝鮮が、文献上かくも新しきものでありながら、なほかつ私が、古朝鮮の第一に掲げねばならなかつたのは何故であるかといふに、一には、それについて文献の語る年代そのものが、箕・衛二朝鮮の前に置かれてゐるからであり、二には、その伝へ(檀君朝鮮)の思想的規模が、[[朝鮮半島|半島]]開闢の伝説としては、最も広大だからである。かくの如き古さと規模とを有する開闢伝説は、いふまでもなく[[高麗|王氏高麗]]の『時代の所産』であつて、その後それに加ふるもの出来なかつたのは、かくの如き開闢伝説を不充分とするやうな大きな時代が来なかつたからに外ならぬ。またその前に、かくの如き伝説が生まれなかつたのは、かかる伝説を必要とする時代がなかつたからである。即ち王氏高麗時代に先行した新羅の一統時代には、三国の一たる古新羅の、開闢開国の伝説を奉じて満足し、また[[三国時代 (朝鮮半島)|三国時代]]には、新羅をはじめ、高句麗・百済、それぞれに開闢伝説を持つて居たが、何れもかの箕・衛両朝鮮より古く時代を指示するものがなかつた。このことは重要な意義を持つてゐる」と指摘している<ref>{{Harvnb|北山祥子|2021|p=128-129}}</ref>。
== 参考文献 ==
* {{Cite news|author=[Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AA%80%E5%90%9B%E6%9C%9D%E9%AE%AE 檀君朝鮮](最終閲覧日:22-09-04)** 井上直樹]]|date=, 2010-03|title=, 韓国・日本の歴史教科書の古代史記述|publisher=[[, 日韓歴史共同研究]]|newspaper=, 日韓歴史共同研究報告書(第2期)|url=, http://www.jkcf.or.jp/history_arch/second/4-16j.pdf|archiveurl=, https://web.archive.org/web/20150615115639/http://www.jkcf.or.jp/history_arch/second/4-16j.pdf|format=PDF|archivedate=, 2015-01-15|ref={{Harvid|, 井上|, 2010}}}}** {{Cite journal|和書|author=金相勲・稲田奈津子・三上喜孝|url=http://id.nii.ac.jp/1348/00001639/|title=韓国人の起源に関する中高生の意識と『国史』教科書との関係|journal=山形大学歴史・地理・人類学論集|ISSN=1345-5435|publisher=山形大学歴史・地理・人類学研究会|date=2012-03|issue=13|pages=27-54|naid=110009459520|ref={{Harvid|金|2012}}}}
* {{Cite news|author=김상훈|date=2010-08|title=한국인의 기원에 관한 중·고등학생들의 의식과『국사』교과서의 관계|newspaper=한국고대사탐구 第5卷|publisher=한국고대사탐구학회|url=https://doi.org/10.35160/sjekh.2010.08.5.5}}
* {{citation|title=Northern Territories and the Historical Understanding of Territory in Late Chosŏn|first=Anders|last=Karlsson|year=2009|month=December|series=Working Papers in Korean Studies|publisher=School of Oriental and African Studies, University of London}}