ともかくアメタは「食料の供給者」なのでイノシシを狩る。ハイヌウェレがイモ類として扱われることからも分かるように、ここで述べる「イノシシ」には2種類の意味がある。一つは本物の「イノシシ」であって、牧畜が始まれば家畜化されて「豚」となる動物という意味である。家畜化されればアメタの地位は「狩人」から「牧人」へ変わりえる。もう一つの意味は、他の部族に「イノシシ」のレッテルを貼ることで、自分達よりも「'''下'''」に位置づけて、彼らを食料や道具とみなす、という意味で、こちらは現代的にいえばれっきとした「'''民族差別'''」とか「'''人種差別'''」に相当する。そしてアメタは「食料の管理人」なのだから、自分達が勝手にラベリングした「イノシシ族」の管理人ともなる。アメタは自らが属すヴェマーレ族ではシャーマンであり、狩人であるだけかもしれないけれども、「イノシシ族」から見れば彼らを支配する「'''王'''」なのである。すなわち、これは武力かあるいは知略によって「バナナ族」が「イノシシ族」や「ココヤシ族」を支配している構図である。ヴェマーレ族が文明的に他の部族よりも優れていれば、技術や知識を武器にして他部族を傘下に置くこともあっただろう。その結果、「バナナ族」の父親が下の身分の女性に子供を生ませればハイヌウェレのように混血児が生まれる。アメタは母系社会出身の者であれば、「父親」としてではなく「管理人」として混血児達を支配することになる。
「他人に対し、勝手にココヤシというラベルを貼って人種差別するなんてひどい。アメタ達だってバナナのくせに。」とココヤシ族は思うかもしれない。バナナも食物の一種である。ということはもしかしたら、アメタ達だって'''誰かにバナナというラベルを貼られている'''のかもしれない。もっと権力のある者にそう決められたら逆らうことはできない。逆らえばハイヌウェレを殺すように、一滴の良心の呵責も持たずに相手は草をむしるみたいに自分を殺してしまうかもしれない。誰がヴェマーレ族に'''バナナ'''のラベルを貼ったのだろうか。それは彼らの「管理人」である'''「太陽神トゥワレ」とその部族'''なのではないだろうか。仮にトゥワレの部族をバナナを食べる者、の象徴ということで'''猿族'''だとする。猿族も母系社会であれば、猿のサテネ女神がいる。ヴェマーレ族にとって「太陽神」であるトゥワレは、猿族の中ではシャーマンであるし狩人であるし、「猿のサテネ女神」に奉仕する存在である。けれども、ヴェマーレ族に対しては「太陽神」であって、ヴェマーレ族の娘を勝手に殺すことも、自分の物にすることもする。相手の意思を尊重などしないのである。だとする。猿族も母系社会であれば、「'''猿のサテネ女神'''」がいる。ヴェマーレ族にとって「太陽神」であるトゥワレは、猿族の中ではシャーマンであるし狩人であるし、「猿のサテネ女神」に奉仕する存在である。けれども、ヴェマーレ族に対しては「太陽神」であって、ヴェマーレ族の娘を勝手に殺すことも、自分の物にすることもする。相手の意思を尊重などしないのである。 とすると、トゥワレもまた'''管理人(王)'''ということになるので、神話からははっきり示されないが、ムルア・サテネもアメタもトゥワレが任命する存在で、「役職」のようにも解釈できると思う。そして彼らはトゥワレがヴェマーレ族の娘ラビエを囲い込んで食い物にし、時に殺しても抗議する権利すらない。その代わり、彼らよりも下位のココヤシ族の娘をヴェマーレ族は食い物にすることができる。ココヤシ族の娘から生まれたハイヌウェレを今度はイモ族の女神に指定して、新たにイモ族を作り出して、ヴェマーレ族の支配下に置くこともできる。その場合は、ハイヌウェレは「'''イモのサテネ女神'''」となるともいえる。アメタはココヤシ族にとっては「バナナのトゥワレ(太陽神)」だし、新たに作り出した芋族にとっても「バナナのトゥワレ(太陽神)」なので、芋族の女神の任命権を持っているのである。だから神々の序列は 猿のサテネ女神 > 猿のトゥワレ >> ヴェマーレ(バナナ)のサテネ女神 > バナナのトゥワレ(アメタ) >> イモ類のサテネ女神(ハイヌウェレ) と、序列に従って延々と続くことになる。'''「管理人(支配者)」の象徴を「太陽神」'''とするのであれば、太陽神であるのは「猿のサテネ女神」、「猿のトゥワレ」、「バナナのトゥワレ(アメタ)」ということになり、複数の太陽神が存在することになるが、'''女性の太陽神'''は'''ただ一人'''ということになる。男性形の太陽神は大勢いるが、彼らは'''女性の太陽神の代理'''としての支配者だ、といえる。