'''猿神退治'''とは、人身御供を求める猿神を人や犬が退治する、という物語である。世界的に分布する「怪物退治」の一型といえる。中国のとは、主に人身御供を求める猿神を人や犬が退治する、という物語である。世界的に分布する「怪物退治」の一型といえる。中国の'''盤瓠'''の伝承と起源を同じくする物語群と個人的には考える。 その他、「猿蟹合戦」のように動物同士の争いで猿が悪役のもの、「猿婿」のように婿となった猿を退治する物語等がある。おそらく、みな起源的には同じ物語であり、特に日本では「猿」は「悪役」であって、退治されることが定番となっていると感じる。
== 妖怪の猿神 ==
[[中世#日本|中世]]の日本の[[説話]]集『[[今昔物語集]]』『[[宇治拾遺物語]]』などには、猿神は人間に害を為す[[妖怪]]として登場しており、中でも『今昔物語集』巻26「美作國神依猟師謀止生贄語」がよく知られている。中世の日本の説話集『今昔物語集』『宇治拾遺物語』などには、猿神は人間に害を為す妖怪として登場しており、中でも『今昔物語集』巻26「美作國神依猟師謀止生贄語」がよく知られている。 {{Indent|[[美作国]](現・[[岡山県]])の中山の神である大ザルは年に一度、人間たちに女性の生贄を求めていた。ある年に中山近くの少女が生贄に指定され、家族が嘆いていると、そこへ訪れた若い猟師が事情を聞き、少女の身代りとなってサル退治の訓練を施した犬とともに櫃に入り、生贄に差し出された。やがて身長7<blockquote>美作国(現・岡山県)の中山の神である大ザルは年に一度、人間たちに女性の生贄を求めていた。ある年に中山近くの少女が生贄に指定され、家族が嘆いていると、そこへ訪れた若い猟師が事情を聞き、少女の身代りとなってサル退治の訓練を施した犬とともに櫃に入り、生贄に差し出された。やがて身長7,8尺(約2メートル以上)の大ザルが100匹ほどのサルを引き連れて現れたので、猟師は櫃から飛び出してサルたちを次々に倒した。残るは大ザルのみとなったが、1人の宮司に猿神が憑き、二度と生贄を求めないとして許しを請うたので、猟師は大ザルを逃がした。以来、生贄が求められることはなくなったという<ref>{{Cite book|和書|author=著者不詳|editor=[[佐竹昭広]]他編|others=[[森正人 (国文学者)|森正人]]校中|title=[[, 佐竹昭広他編, 森正人校中, 今昔物語集]]|year=, 1996|publisher=[[, 岩波書店]]|series=[[日本古典文学大系#, 新日本古典文学大系|新日本古典文学大系]]|volume=, 5|, isbn=:978-4-00-240037-2|pages=28, p28-33}}</ref>。}}</blockquote>
動物神としての性格を失った後の猿神は、人間から軽侮される傾向にあり、それをよく表す話に[[室町時代]]の[[御伽草子]]『藤袋の草子』がある<ref name="中村" />。