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{{quotation|{{Ruby|都|すべ}}て六十余州大小の神祇、霊験の仏閣に勅使を被下、奉幣を{{Ruby|不被捧|ささげられず}}と云所なし。{{Ruby|如此|このごとく}}御祈祷{{Ruby|已|すで}}に七日満じける日、諏訪の湖の上より、五色の雲西に{{Ruby|聳|たなび}}き、大蛇の形に見へたり。<blockquote>都（すべ）て六十余州大小の神祇、霊験の仏閣に勅使を被下、奉幣を不被捧（ささげられず）と云所なし。如此（このごとく）御祈祷已（すで）に七日満じける日、諏訪の湖の上より、五色の雲西に聳（たなび）き、大蛇の形に見へたり。<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.j-texts.com/sheet/tk39.html |title=, 太平記・国民文庫本・巻三十九 |accessdate=, 2018-07-26}}</ref>}}</blockquote>
諏訪の神が巨大な蛇あるいは龍として登場する民話も[[長野県]]や[[群馬県]]などでは存在する。とある話によると、[[神無月]]に神々が出雲に集ったとき、諏訪明神が龍（蛇）の姿で現れたが、体があまりにも大きすぎて集いの邪魔になった。それ以来、明神は出雲に行かなくなった諏訪の神が巨大な蛇あるいは龍として登場する民話も長野県や群馬県などでは存在する。とある話によると、神無月に神々が出雲に集ったとき、諏訪明神が龍（蛇）の姿で現れたが、体があまりにも大きすぎて集いの邪魔になった。それ以来、明神は出雲に行かなくなった<ref>金井典美『諏訪信仰史』名著出版、1982年、7頁。</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://minwa.fujipan.co.jp/area/nagano_012/|title=, 信濃の国の神無月|website=, フジパン|accessdate=, 2019-01-02}}</ref>。龍となった明神の尾は[[諏訪湖]]の高い木（尾掛松）に掛かっていたといい、そこから{{読み仮名|大和|おわ、[[諏訪市]]}}と高木（[[下諏訪町]]）の地名が生まれたという。龍となった明神の尾は諏訪湖の高い木（尾掛松）に掛かっていたといい、そこから大和（おわ）（諏訪市）と高木（下諏訪町）の地名が生まれたという<ref>{{Cite web|和書|url=http://suwako-kankouguide.com/?p=72|title=, 尾掛松|website=, 諏訪湖エリアまちなか観光案内人|accessdate=, 2019-01-02}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://suwacitymuseum.jp/nandemo/koumoku/0500/050203.htm|title=, 御掛松|website=, なんでも諏訪百科|publisher=[[, 諏訪市博物館]]|accessdate=, 2019-01-02}}</ref>。
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つまり、諏訪明神が大荒神となって天下を悩ませている「'''蝦蟆（蛙）神'''」を退治して、四海が静謐となった。このことから「波しずか」とも読める「陬波（すわ）」という名を得た。口伝によると、元旦に行われる'''蛙狩神事'''はこの出来事を模した神事である<ref name="hara" />。
更に明神が退治した蝦蟆神を[['''竜宮城]]'''に通ずる穴に閉じ込め、石でふたをし、その上に座した、ともいわれている<ref>金井典美『諏訪信仰史』名著出版、1982年、177頁。</ref>。
この話については、蛇神としてのタケミナカタと土地神（[[ミシャグジ]]あるいは洩矢神）による神権争奪を意味するという説<ref>金井典美『諏訪信仰史』名著出版、1982年、68頁。</ref><ref>武井正弘, 「[https://doi.org/10.20807/icmrb.9.0_121 祭事を読む-諏訪上社物忌令之事-]」『飯田市美術博物館 研究紀要』 1999年 9巻、137-138頁。</ref>や、陬波大王の悪龍退治の同系異伝もしくは変奏とみる説<ref name="chusei118" />、あるいは諏訪明神と同定される降三世明王<ref>普賢菩薩（諏訪明神の本地仏）と同一視される金剛薩埵の別の姿。</ref>と宇賀神]{<ref>ここでは龍蛇神としての諏訪明神と比定されている。</ref>の三毒退治を表すという説<ref>原正直『龍蛇神：諏訪大明神の中世的展開』人間社、2012年、29-41頁。</ref>などがあげられている。
昔から諏訪神社の神体は蛇で、神使も同じく蛇であるといわれている。『諏方大明神画詞』の中で、諏訪明神やその眷属が龍、もしくは蛇の姿を取るという逸話がいくつか採り上げられている<ref>伊藤富雄「諏訪神社の龍蛇信仰」『古諏訪の祭祀と氏族』 古部族研究会編、人間社、2017年、191-201頁。</ref>。『太平記』（巻三十九）にも、蒙古襲来の時に、
と見えている<ref>伊藤富雄「諏訪神社の龍蛇信仰」『古諏訪の祭祀と氏族』 古部族研究会編、人間社、2017年、194-195頁。</ref>。
諏訪神社の龍蛇信仰の弘布に大きな役割を果たしたのは、『[[神道集]]』に収められた「諏訪縁起」（'''[[甲賀三郎 (伝説)|甲賀三郎伝説]]'''）といわれるが<ref>伊藤富雄「諏訪神社の龍蛇信仰」『古諏訪の祭祀と氏族』 古部族研究会編、人間社、2017年、201-211頁。</ref>、[[持統天皇]]の時代から既に諏訪神社は「蛇を象徴動物とする水神」として中央政府に認識されていた形跡も濃い<ref>金井典美『諏訪信仰史』名著出版、1982年、4-5頁。</ref>。
