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父は太陽神ルーもしくはスアルタム(Súaltam)<ref group="注釈">スアルタムもクー・フーリン同様にマハの呪いを受けていなかった(リース, 2001, p640)</ref><ref group="注釈">父親はさまざまであり、デヒトラの兄のコンホヴァル('''近親相姦'''による誕生はしばしば神性の印であった)が父親とする説もある(ミランダ, p99)。</ref>、母はコンホヴァル王の妹デヒティネ(Deichtine)。 幼名はセタンタ(Sétanta)<ref group="注釈">稿本によってはセタンタという名の名付け親はケト・マク・マーガハ(Cet mac Mágach)であるとされる(マイヤー, 2001, p91)。</ref><ref group="注釈">プトレマイオスの記述によれば、この名前は、今日のイングランドのランカシャーにあたる地域に住んでいた、ケルト系部族のシェダンティ族とおそらく関係がある(キアラン・カーソン, p330)。</ref>。
御者[[ロイグ・マク・リアンガヴラ|ロイグ]]が駆る、愛馬マハの灰色(Liath 御者ロイグが駆る、愛馬マハの灰色(Liath macha)とサングレンの黒毛(Dub Sainglenn)の二頭立ての戦車に乗る{{sfn|<ref>木村 & 松村|page=209}}, p209</ref>。髪は百本の宝石の糸で飾られ、胸には百個の金のブローチを付け、左右の目には7つの宝玉が輝く{{Sfn|<ref>The Wooing of Emer by Cú Chulainn| loc=, paragraph 15}}{{Sfn|</ref><ref>キアラン・カーソン|p=153}}美しい容貌だが、戦意が高まり興奮が頂点に達すると「ねじれの発作」を起こし、怪物のようになる。身体は皮膚の下で回転し、髪の毛は頭から逆立ち、1つの眼は頭にのめり込み、もう1つの眼は頬に突き出る。筋肉は巨大に膨れ上がり、英雄の光を頭から発する。ある時には大きな唸り声をあげ、土着の精霊のすべてが彼と一緒に怒号し、コナハトの戦士を恐怖に陥らせたという{{sfn|, p153</ref>美しい容貌だが、戦意が高まり興奮が頂点に達すると「ねじれの発作」を起こし、怪物のようになる。身体は皮膚の下で回転し、髪の毛は頭から逆立ち、'''1つの眼は頭にのめり込み、もう1つの眼は頬に突き出る'''。筋肉は巨大に膨れ上がり、'''英雄の光を頭から発する'''。ある時には大きな唸り声をあげ、土着の精霊のすべてが彼と一緒に怒号し、コナハトの戦士を恐怖に陥らせたという<ref>ミランダ|page=100}}。ケルトの英雄クー・フーリンにはペルシャの英雄ロスタム、ギリシャの英雄[[ヘーラクレース]]、ドイツの英雄[[ヒルデブラント]]と類似点があることから、インド・ヨーロッパ起源であることが示唆されている, p100</ref>。ケルトの英雄クー・フーリンにはペルシャの英雄ロスタム、ギリシャの英雄ヘーラクレース、ドイツの英雄ヒルデブラントと類似点があることから、インド・ヨーロッパ起源であることが示唆されている<ref group="注釈">M. Connell: ''The Medieval Hero: Christian and Muslim Traditions''. Ed. Dr. Müller. 2008. p. 227</ref>。
== 説話 ==
=== 少年時代 ===
コノア王が鍛冶屋の{{仮リンク|クラン コノア王が鍛冶屋のクラン (ケルト神話)|fr|Culann|label=クラン}}の館に招かれた際、セタンタにも声を掛けるが、セタンタは[[ハーリング]]の最中であったので終わってから行くと答えた。しかし、王がそれを伝え忘れたために、館にはクランの番犬が放たれてしまう。そうと知らずに館に一人でやって来たセタンタはこの番犬に襲われるが、たった一人で番犬を絞め殺してしまう。猛犬として名高い自慢の番犬を失い嘆くクランに、セタンタは自分がこの犬の仔を育て、さらにその仔が育つまで番犬としてクランの家を守ると申し出た(また、この時のことをきっかけに「決して犬の肉は食べない」と言う[[ゲッシュ]](禁忌)を立てた)。この事件をきっかけに、セタンタはクー・フーリン(クランの犬)と呼ばれるようになる(Culann)の館に招かれた際、セタンタにも声を掛けるが、セタンタはハーリングの最中であったので終わってから行くと答えた。しかし、王がそれを伝え忘れたために、館にはクランの番犬が放たれてしまう。そうと知らずに館に一人でやって来たセタンタはこの番犬に襲われるが、たった一人で番犬を絞め殺してしまう。猛犬として名高い自慢の番犬を失い嘆くクランに、セタンタは自分がこの犬の仔を育て、さらにその仔が育つまで番犬としてクランの家を守ると申し出た(また、この時のことをきっかけに「決して犬の肉は食べない」と言うゲッシュ(禁忌)を立てた)。この事件をきっかけに、セタンタはクー・フーリン(クランの犬)と呼ばれるようになる<ref group="注釈">ケルトの戦士の名前に「犬」が使われるのは珍しいことではない。[[コンホヴァル・マク・ネサ|コノア王]]ケルトの戦士の名前に「犬」が使われるのは珍しいことではない。コノア王(コンホヴァル)も、後にクー・フーリンと戦うことになる[[クー・ロイ]]もその名に犬が含まれている{{harv|マルカル|も、後にクー・フーリンと戦うことになるクー・ロイもその名に犬が含まれている(マルカル, 2001|page=20}}。また、ブルターニュではアイルランドの戦士は「犬戦士」と呼ばれていた{{harv|篠田|, 20)。また、ブルターニュではアイルランドの戦士は「犬戦士」と呼ばれていた(篠田, 2008|page=314}}, p314)</ref>。
=== 青年時代 ===
[[ファイル:Cuchulain in Battle.jpg|thumb|upright|"チャリオットに乗り戦いに挑むクー・フーリン", [[J. C. Leyendecker]] in T. W. Rolleston's ''ケルト人の神話と伝説'', [[1911年]]]]ある日のこと、クー・フーリンはドルイドのカスバドが、今日騎士になるものはエリンに長く伝えられる英雄となるが、その生涯は短いものとなるという予言をしたのを聞き、騎士となるべく王の元へと向かった。騎士になるにはまだ早いと渋る王に対して、クー・フーリンは槍をへし折り、剣をへし曲げ、チャリオットを踏み壊して自身の力を見せつける。観念した王はクー・フーリンが騎士になるのを許し、彼の力にも耐えられる武器とチャリオットを与えた。
ある日のこと、クー・フーリンは[[ドルイド]]の[[カスバド]]が、今日[[騎士]]になるものは[[アイルランド|エリン]]に長く伝えられる英雄となるが、その生涯は短いものとなるという予言をしたのを聞き、騎士となるべく王の元へと向かった。騎士になるにはまだ早いと渋る王に対して、クー・フーリンは[[槍]]をへし折り、[[剣]]をへし曲げ、チャリオットを踏み壊して自身の力を見せつける。観念した王はクー・フーリンが騎士になるのを許し、彼の力にも耐えられる武器とチャリオットを与えた。クー・フーリンは、フォルガル(Forgall Monach)の娘エメルに求婚するが断られたため、影の国を訪れ女武芸者スカアハの下で修行を行う。この時共に修行を行った仲間に、コノートのフェルディアがおり、彼とクー・フーリンは親友、そして義兄弟となる。
クー・フーリンは、{{仮リンク|フォルガル|en|Forgall Monach}}の娘修行中、影の国ではスカアハと対立する[[エメルオイフェ]]に求婚するが断られたため、影の国を訪れ女武芸者(一説には双子の姉妹)との間に戦争が起こった。スカアハはクー・フーリンが戦場に出ることのないように睡眠薬を与えるが、クー・フーリンには効き目が薄く彼を止めることができなかった。戦いは膠着し、[[スカアハオイフェ]]の下で修行を行う。この時共に修行を行った仲間に、は一騎討ちで決着を付けようとするがスカアハは負傷していたため、代わりにクー・フーリンが[[コノートオイフェ]]の[[フェル・ディアド|フェルディア]]がおり、彼とクー・フーリンは親友、そして義兄弟となる。 修行中、影の国ではスカアハと対立すると一騎討ちを行い、屈服させて生け捕りにした(これによって[[オイフェ]](一説には双子の姉妹)との間に戦争が起こった。スカアハはクー・フーリンが戦場に出ることのないように[[睡眠薬]]を与えるが、クー・フーリンには効き目が薄く彼を止めることができなかった。戦いは膠着し、オイフェははクー・フーリンの妻にされ、後に息子である[[一騎討ちコンラ]]で決着を付けようとするがスカアハは負傷していたため、代わりにクー・フーリンがオイフェと一騎討ちを行い、屈服させて生け捕りにした(これによってオイフェはクー・フーリンの妻にされ、後に息子であるコンラを授かるが、クー・フーリンはこれを知らなかった)。を授かるが、クー・フーリンはこれを知らなかった)。
スカアハの下には彼以外にも修行を行う仲間がいたが、その中でただ一人[[ゲイ・ボルグ|ゲイボルグ]]を授かる。その後、帰国したクー・フーリンだが、フォルガルはエメルとの結婚を許さなかったので、フォルガルを打倒してエメルを娶った。
=== 外見 ===
 
クー・フーリンの外見は、『レンスターの書』などの古い写本では「背が小さく、ヒゲも生えていないくらい若い」と表現されている。髪色は黒髪、または金髪と表現されることが多い。また大変美しい容貌であり、[[クーリーの牛争い]]では、戦闘での悪鬼のごとき姿を忘れさせるため、[[コノート]]の人々に自らの美しさを見せつけるエピソードがある。苗木のように細い身体と例えられることもある。
== 関連項目 ==
* [[布洛陀]]:チワン族の神。クー・フーリンと類似している。
 
== 注釈 ==
<references group="注釈"/>
== 脚注 ==
[[Category:英雄]]
[[Category:医薬神]]
[[Category:犬神]]

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