== 伝説 ==
伝説によると、大和盆地一帯が湖であった頃、川原の鯰と対岸の当麻の蛇の間で争いがあり、後者が勝った結果、湖水を全て取られて干上がり、棲んでいた亀はみんな死んでしまった。これを哀れに思った村人たちは、亀石を造って供養をしたという。亀石は最初は北を向いていたが、次に東を向いたという。そして、現在は南西を向いているが、当麻の方角にあたる西を向いた時、大和国一円は泥の海と化すという<ref>[https://web.archive.org/web/20210214190858/https://asukamura.com/sightseeing/527/ 明日香村観光ポータルサイト 旅する飛鳥「亀石」]2019年8月5日閲覧 2022年11月23日リンク切れアーカイブ差替え</ref>。実際に、亀の背地すべり地区の調査で、古代に地すべりで大和川がせき止められ、同地区からかなり上流まで湖水状になっていたことが判っている<ref>高田理夫, 亀の瀬地域の地すべりについて, 1964, 公益社団法人 日本地すべり学会, 地すべり, volume1, issue2, issn:1884-3956, doi:10.3313/jls1964.1.2_61, https://doi.org/10.3313/jls1964.1.2_61, 2019-10-20, p61-63</ref>。
== 私的解説 ==
「当朝の蛇」というのは干ばつを起こす、[[祝融]]型の疫神であることが分かる。神話的にこのような疫神と対峙するのは、水神の性質を持つ神で男性形の場合も、女性形の場合もあり得ると考える。ただ、[[石見天豊足柄姫命]]の神話と比較するに、水神と干ばつの疫神が対立した場合、生け贄によるものなのか、それ以外に理由があるのか定かではないが、女神が死ぬパターンがあるように思う。岩見と飛鳥の2つの神話を比較した場合
<table class="wikitable">
<caption>比較表</caption>
<tr>
<th>地域</th><th>男性形水神</th><th>女性形水神</th><th>干ばつの疫神</th>
</tr>
<tr>
<th>岩見</th><td>[[八束水臣津野命]]</td><td>[[石見天豊足柄姫命]]</td><td>蛇・干ばつの疫神</td>
</tr>
<tr>
<th>飛鳥</th><td>川原の鯰</td><td>亀</td><td>当麻の蛇</td>
</tr>
</table>
となるように思う。亀が女神である、という点は乙姫が有名である。丹後半島の乙姫は、[[豊受大神]]を暗になぞらえているともいえ、[[石見天豊足柄姫命]]と性質の類似した女神である。[[石見天豊足柄姫命]]のトーテムが亀である可能性があるように思う。その逆に飛鳥の亀女神は、
== 参考文献 ==