余談的だが、エスリウの物語に類似しているラプンツェルでは恋人の王子は盲目になってしまう。中国の民間伝承でも恋人を殺されて雄鶏に助けて貰う娘の話がある。彼らの「恋人」である男性が何故死んだり害されたりしてしまうのだろうか。それは、日月乙女達が、かつては猛獣の日月王母で、若者あるいは動物を婿という名の生け贄に求めたからではないだろうか。可哀想なキアンは、本来はエスリウに捧げられた犠牲の豚だったのである。アガメムノーンが妻に殺されてしまったのも同じ理由で、日月乙女イーピゲネイアの母クリュタイムネーストラーが、猛獣の日月王母から変化したものだったから、と推察する。アガメムノーンですら、猛獣の日月王母の前では単なる犠牲獣にされてしまうのだった。そしてキアンに相当するアキレウスも殺される運命を背負っていたのである。
=== 魔眼とは何か ===
日本に伝承には、「魔眼」というものがなく、管理人にはイメージがつきにくいものである。Wikipediaによれば、バロールの魔眼は
<blockquote>ある伝承によれば(メイヨー県)バロルは単眼にもかかわらず、7層の蓋がかぶせられていた。それは"有毒・烈火の目"で、"最初の蓋をとると蕨が枯れ始め、2枚目をとると芝草が赤銅色に変じ、3枚目で森林や木材が熱をもち、4で木々が発煙、5ですべては赤くなり、6で火花が散り、7ですべては発火して"里山は火の海となる。</blockquote>
とのことなので、これも元はバロールが流星と考えられていたところから来ているのかもしれないと思う。隕石が地上に落ちてくれば、このように大惨事を起こすことがある。台湾のバジの目は、怪光を放って複数の人を殺す力を持っている。バロールは普段目を閉じているが、バジは顔を隠して、人里離れた所に閉じこもって暮らし、食物を家人に運んでもらっていたりする。・・・これって「'''ものぐさ太郎'''」では? と思う管理人である。中国神話の饕餮も怠け者の男のように描かれる。日本の伝承の「魔眼」はすでに'''「魔眼」を失った姿'''で描かれるのである。
=== 十人の処女たちのたとえ ===