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ウサギは月の化身であり神聖なシンボルとして広く用いられてきたのである。月への民間信仰との関わりもあってか、その愛らしい姿をデザインしたものは古くから安産、女性や子供の守り神として広く受け入れられ、郷土玩具その他さまざまな道具の意匠に用いられてきた。
 
==== 山のシンボル ====
ウサギを「山の神」と同一視、あるいは「山の神の使い(神使)」や乗り物とする伝承も日本各地に広くみられる。
 
滋賀県高島郡では、山の神の祭日には山の神は白いウサギに乗って山を巡る、山の神は白ウサギの姿をしているとされ、京都府愛宕郡では氏神三輪神社境内に祭られる山の神の2月の祭日には白ウサギが稲の種を蒔き、11月の祭日には白ウサギが稲の落穂を拾うというので、白ウサギは決して獲ってはならないとされている。また、福井県三方郡ではウサギは山の神の使いとされ山の神の祭日に山に入ることの戒めとともに伝わっている。
 
また、福島県では吾妻山の斜面の雪解け模様(溶け残った雪が白くある部分)を白いウサギの形に見立て、「雪うさぎ 」あるいは「種まきウサギ」と呼んで、これを苗代の種まきの合図とした。福島市には「吾妻小富士の下の残雪がうさぎ形に見られる頃になると晩霜の心配がない」という天気ことわざもあり、また、日照りの際に[[トビ|トンビ]]にさらわれたウサギが山の神となったという説話が伝わっている。
 
こうしてウサギが各地で山の神と同一視されてきたのは、人間の暮らす里と神や動物のいる山とを身軽に行き来することからの境界を超えるものとしての崇拝、多産で繁殖力に富むことから豊穣をつかさどる意味、そして東日本のノウサギは冬には毛皮が真っ白に変化することから白い動物を神聖視する考え方(白鳥などを神聖視する古来の白への信仰)、西日本のノウサギは白くはないのであるが突然変異で白くなった動物を瑞兆とした考え方(白蛇、白鹿、白亀などが朝廷に献上された例<!-- 『続日本紀』、白亀が献上され、元号を変えた記事(「アルビノ」の方も参照)。 -->などにも見られる希少な白への信仰)などさまざまな背景があると考えられる。
 
 
また、月読命(豊産祈願)や大己貴命(大国主命)、御食津神(五穀豊穣)などを祭神とする寺社ではその祭神の性格からウサギを神の使いとするところも多い。『古事記』には大国主命に助けられるウサギの話として「[[因幡の素兎]]」の話が伝わっている。
 
ウサギは道教・陰陽思想の影響を受けた十二支の生肖の1つでもあり、「卯(う)」として暦時方角をもあらわしてきた(ただし東南アジアでは[[ネコ]]が取って代わる)。
==== 多産・豊穣・性のシンボル ====
今日の日本では、卯月が四月の春であること、月見をするのが現在は秋であることから、イメージとしては春とも秋とも結び付けられている。俳句においては、野兎<!--野生の兎の意味の野兎ではなく、ノウサギ属の野兎のほう-->や雪兔は冬の季語とされている。
 
==== 献身のシンボル ====
仏教世界においては献身のシンボルとされる。これは仏教説話集[[ジャータカ]](jātaka)の中に、ウサギが身を火に投じて仙人に布施する物語(ササジャータカ:sasajātaka)があるためである。ちなみに日本におけるモチーフとしてのウサギのところで前述したように、月面の模様をウサギに見立てることも、ここからきている。
 
==== 宗教のシンボル ====
神道世界においては神の使いとされることがある。大阪の住吉大社・埼玉の調神社・京都の岡崎神社などの神使として知られている。調神社や岡崎神社には狛犬ではなく狛ウサギがある。
 
ユダヤ教では、ウサギは「清くない動物」、すなわち非カーシェール(כָּשֵׁר, Kāšēr)とされ、食べてはならない動物に定められている。日本でも一部の地域(埼玉県・群馬県など、後述)において、妊婦が兎肉を食べることを禁忌とする考え方がある(倉林正次 『11日本の民俗 埼玉』 第一法規 1972年 p.158. 武藤典 『群馬のたべもの』 みやま文庫 1979年 p.125.群馬県の俗信では、「妊婦が食すとミツ口=兎口の赤子が生まれる」とされ、食べさせない)。
=== 機智のシンボル ===
そのほか、他にも、謡曲(能)で『竹生島(ちくぶじま)』で「月海上に浮かんでは 兎も波を奔るか 面白の島の景色や」と謡われたことなどから、江戸時代には波の上を跳ねるウサギが瑞祥文様として庶民の着物文様や建築意匠に使われている。
 
==== 山のシンボル ====
ウサギを「山の神」と同一視、あるいは「山の神の使い(神使)」や乗り物とする伝承も日本各地に広くみられる。
 
滋賀県高島郡では、山の神の祭日には山の神は白いウサギに乗って山を巡る、山の神は白ウサギの姿をしているとされ、京都府愛宕郡では氏神三輪神社境内に祭られる山の神の2月の祭日には白ウサギが稲の種を蒔き、11月の祭日には白ウサギが稲の落穂を拾うというので、白ウサギは決して獲ってはならないとされている。また、福井県三方郡ではウサギは山の神の使いとされ山の神の祭日に山に入ることの戒めとともに伝わっている。
 
また、福島県では吾妻山の斜面の雪解け模様(溶け残った雪が白くある部分)を白いウサギの形に見立て、「雪うさぎ 」あるいは「種まきウサギ」と呼んで、これを苗代の種まきの合図とした。福島市には「吾妻小富士の下の残雪がうさぎ形に見られる頃になると晩霜の心配がない」という天気ことわざもあり、また、日照りの際に[[トビ|トンビ]]にさらわれたウサギが山の神となったという説話が伝わっている。
 
こうしてウサギが各地で山の神と同一視されてきたのは、人間の暮らす里と神や動物のいる山とを身軽に行き来することからの境界を超えるものとしての崇拝、多産で繁殖力に富むことから豊穣をつかさどる意味、そして東日本のノウサギは冬には毛皮が真っ白に変化することから白い動物を神聖視する考え方(白鳥などを神聖視する古来の白への信仰)、西日本のノウサギは白くはないのであるが突然変異で白くなった動物を瑞兆とした考え方(白蛇、白鹿、白亀などが朝廷に献上された例<!-- 『続日本紀』、白亀が献上され、元号を変えた記事(「アルビノ」の方も参照)。 -->などにも見られる希少な白への信仰)などさまざまな背景があると考えられる。
 
 
また、月読命(豊産祈願)や大己貴命(大国主命)、御食津神(五穀豊穣)などを祭神とする寺社ではその祭神の性格からウサギを神の使いとするところも多い。『古事記』には大国主命に助けられるウサギの話として「[[因幡の素兎]]」の話が伝わっている。
 
ウサギは道教・陰陽思想の影響を受けた十二支の生肖の1つでもあり、「卯(う)」として暦時方角をもあらわしてきた(ただし東南アジアでは[[ネコ]]が取って代わる)。
 
==== 献身のシンボル ====
仏教世界においては献身のシンボルとされる。これは仏教説話集[[ジャータカ]](jātaka)の中に、ウサギが身を火に投じて仙人に布施する物語(ササジャータカ:sasajātaka)があるためである。ちなみに日本におけるモチーフとしてのウサギのところで前述したように、月面の模様をウサギに見立てることも、ここからきている。
 
==== 宗教のシンボル ====
神道世界においては神の使いとされることがある。大阪の住吉大社・埼玉の調神社・京都の岡崎神社などの神使として知られている。調神社や岡崎神社には狛犬ではなく狛ウサギがある。
 
ユダヤ教では、ウサギは「清くない動物」、すなわち非カーシェール(כָּשֵׁר, Kāšēr)とされ、食べてはならない動物に定められている。日本でも一部の地域(埼玉県・群馬県など、後述)において、妊婦が兎肉を食べることを禁忌とする考え方がある(倉林正次 『11日本の民俗 埼玉』 第一法規 1972年 p.158. 武藤典 『群馬のたべもの』 みやま文庫 1979年 p.125.群馬県の俗信では、「妊婦が食すとミツ口=兎口の赤子が生まれる」とされ、食べさせない)。
=== 迷信 ===
==== ノルウェー ====
* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=9 オズボーンの笛](オズボルンの笛) ATU570(穴ウサギ番)、「北欧民話 アスビヨルンセン 高木眞一訳 山一書房」 1-16p:ウサギ番の若者が王女と結婚する話。兎は豊穣のシンボルといえるかもしれない。いわゆる「[[動物番]]」の物語である。
 
== 名前から見た分類(私的考察) ==
おそらく、兎系の神の最初の呼称は「'''兎子(Tùzǐ)'''」から始まっていると考える。これを「'''TOT系'''」とし、「'''TOT'''」「'''TUT'''」等の子音を含む群とする。
=== TOT系 ===
; 男神
* [[テウタテス]] (TeutatesまたはToutatis) :ガリア神話。軍神。
 
=== TO系 ===
; 男神
* [[ゼウス]]:ギリシア神話。主神。
 
=== OST系あるいはOST+gn系 ===
最初の子音のTが略された呼称。後ろに「炎(ignis)」系の言葉が付加されているものを含む。
; 女神
* [[エオステレ]](Ēostre、プロト・ゲルマン語。*Austrō(n))):ゲルマン神話。豊穣神。春の神。暁の神など。
; 男神
* ヴァハグン(Vahagn):アルメニア神話。英雄。「龍殺し」である。
* [[ウルスラグナ]](Verethragna):イラン神話。英雄。「Verethr + agna」と分けられ、前半が「兎」、後半が「炎(ignis)」となると考える。神聖な火の名前とも考えられている。
 
=== OS+gn+T系 ===
最初の子音のTが略された呼称。後半のTの前に「炎(ignis)」系の言葉が付加されているもの。
; 女神
* [[ラールンダ]]:ローマ神話。ギリシア神話の[[エーコー]]に類似した女神。メルクリウスに陵辱された上に殺された。「死と出産」に関連する点はメソポタミア神話のニンリルのような人身御供的女神といえる。
=== OS系 ===
最初と最後の子音のTが略された呼称。最後の子音のTはS音に変化していることが多いように思う。
; 女神
* [[エーコー]]:ギリシア神話。山彦の神格化。パーンに殺された、とされる。
* [[ヴイーヴル]]:フランスの民間伝承の蛇女神。
** [[ヴィシャップ]]:アルメニア神話の悪龍。
; 男神
* [[エロース]]:ギリシア神話。始原神。弓矢によるトリック・スター。
* [[エスス]]:ガリア神話。軍神。
== ペット飼育 ==
{{DEFAULTSORT:うさき}}
[[Category:兎|*]]
[[Category:類兎|*]]
[[Category:中国神話]]
[[Category:北欧神話]]
[[Category:日本神話]]

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