こうした月の象徴としてのウサギは、仏教・道教的背景を持つ意匠にとどまらず、日本の素朴な民間神事にもあらわれている。
日本、中国、日本、中国、インド、アイヌ、東南アジア、アフリカなど各地に伝わる「[[インド射日神話]]、[[アイヌ]]、[[東南アジア]]、[[アフリカ]]など各地に伝わる「射日神話」と呼ばれるものがある。本来なら、一つであるはずの太陽の数が増えすぎて猛暑大旱魃となり、困った人間たちは知恵を絞り、増えすぎた偽の太陽を射落とすというものである。日本でも各地で奉射祭(オビシャ、オコナイなどともいう)と呼ばれる弓神事が民間で行われてきた。現在でも、[[滋賀県]]や[[利根川]]下流域の[[茨城県|茨城]]南部から[[千葉県]]などで広く行われているが、太陽に擬した的と月に擬した的を用意し、太陽に擬した的だけを、弓矢で射抜く行事である。太陽の的には三本足の烏が描かれ、月の的にはウサギが描かれることが多い。」と呼ばれるものがある。本来なら、一つであるはずの太陽の数が増えすぎて猛暑大旱魃となり、困った人間たちは知恵を絞り、増えすぎた偽の太陽を射落とすというものである。日本でも各地で奉射祭(オビシャ、オコナイなどともいう)と呼ばれる弓神事が民間で行われてきた。現在でも、滋賀県や利根川下流域の茨城南部から千葉県などで広く行われているが、太陽に擬した的と月に擬した的を用意し、太陽に擬した的だけを、弓矢で射抜く行事である。太陽の的には三本足の烏が描かれ、月の的にはウサギが描かれることが多い。
ウサギは月の化身であり神聖なシンボルとして広く用いられてきたのである。
==== 山のシンボル ====
ウサギを「山の神」と同一視、あるいは「山の神の使い(神使)」や乗り物とする伝承も日本各地に広くみられる。
滋賀県高島郡では、山の神の祭日には山の神は白いウサギに乗って山を巡る、山の神は白ウサギの姿をしているとされ、京都府愛宕郡では氏神三輪神社境内に祭られる山の神の2月の祭日には白ウサギが稲の種を蒔き、11月の祭日には白ウサギが稲の落穂を拾うというので、白ウサギは決して獲ってはならないとされている。また、福井県三方郡ではウサギは山の神の使いとされ山の神の祭日に山に入ることの戒めとともに伝わっている。
また、福島県では吾妻山の斜面の雪解け模様(溶け残った雪が白くある部分)を白いウサギの形に見立て、「雪うさぎ 」あるいは「種まきウサギ」と呼んで、これを苗代の種まきの合図とした。福島市には「吾妻小富士の下の残雪がうさぎ形に見られる頃になると晩霜の心配がない」という天気ことわざもあり、また、日照りの際に[[トビ|トンビ]]にさらわれたウサギが山の神となったという説話が伝わっている。
こうしてウサギが各地で山の神と同一視されてきたのは、人間の暮らす里と神や動物のいる山とを身軽に行き来することからの境界を超えるものとしての崇拝、多産で繁殖力に富むことから豊穣をつかさどる意味、そして東日本のノウサギは冬には毛皮が真っ白に変化することから白い動物を神聖視する考え方(白鳥などを神聖視する古来の白への信仰)、西日本のノウサギは白くはないのであるが突然変異で白くなった動物を瑞兆とした考え方(白蛇、白鹿、白亀などが朝廷に献上された例<!-- 『続日本紀』、白亀が献上され、元号を変えた記事(「アルビノ」の方も参照)。 -->などにも見られる希少な白への信仰)などさまざまな背景があると考えられる。
また、月読命(豊産祈願)や大己貴命(大国主命)、御食津神(五穀豊穣)などを祭神とする寺社ではその祭神の性格からウサギを神の使いとするところも多い。『[[古事記]]』には大国主命に助けられるウサギの話として「[[因幡の素兎]]」の話が伝わっている。
ウサギは道教・陰陽思想の影響を受けた[[十二支]]の生肖の1つでもあり、「卯(う)」として暦時方角をもあらわしてきた(ただし東南アジアでは[[ネコ]]が取って代わる)。
== ペット飼育 ==
西洋東洋を問わず、子ども向け用品を扱う企業のマスコットやシンボルマークにウサギを使用している<ref group="注">例えば、フランスのベビー&キッズ向け木製玩具メーカー[http://www.janod.com/ JANOD](ジャノー)や、日本のベビー&キッズ&マタニティ服飾雑貨販売メーカー西松屋など。</ref>。
=== シンボルとしてのウサギ ===
==== 山のシンボル ====
ウサギを「山の神」と同一視、あるいは「山の神の使い([[神使]])」や乗り物とする伝承も日本各地に広くみられる。
滋賀県[[高島郡 (滋賀県)|高島郡]]では、山の神の祭日には山の神は白いウサギに乗って山を巡る、山の神は白ウサギの姿をしているとされ、[[京都府]][[愛宕郡]]では氏神三輪神社境内に祭られる山の神の2月の祭日には白ウサギが稲の種を蒔き、11月の祭日には白ウサギが稲の落穂を拾うというので、白ウサギは決して獲ってはならないとされている。また、[[福井県]][[三方郡]]ではウサギは山の神の使いとされ山の神の祭日に山に入ることの戒めとともに伝わっている。
[[ファイル:20090426吾妻の雪うさぎ.jpg|thumb|200px|吾妻の雪うさぎ]]
また、[[福島県]]では[[吾妻小富士|吾妻山]]の斜面の雪解け模様(溶け残った雪が白くある部分)を白いウサギの形に見立て、「[[雪うさぎ (雪像)|雪うさぎ]] 」あるいは「種まきウサギ」と呼んで、これを苗代の種まきの合図とした。福島市には「[[吾妻小富士]]の下の残雪がうさぎ形に見られる頃になると晩霜の心配がない」という天気[[ことわざ]]もあり、また、日照りの際に[[トビ|トンビ]]にさらわれたウサギが山の神となったという説話が伝わっている。
こうしてウサギが各地で山の神と同一視されてきたのは、人間の暮らす里と神や動物のいる山とを身軽に行き来することからの境界を超えるものとしての崇拝、多産で繁殖力に富むことから豊穣をつかさどる意味、そして[[東日本]]のノウサギは冬には毛皮が真っ白に変化することから白い動物を神聖視する考え方(白鳥などを神聖視する古来の白への信仰)、[[西日本]]のノウサギは白くはないのであるが突然変異で白くなった動物を瑞兆とした考え方([[白蛇]]、白鹿、白亀などが朝廷に献上された例<!-- 『続日本紀』、白亀が献上され、元号を変えた記事(「アルビノ」の方も参照)。 -->などにも見られる希少な白への信仰)などさまざまな背景があると考えられる。
[[image:Daikoku&rabbit.jpg|150px|thumb|大黒と兎([[出雲大社大阪分祠|出雲大社]])]]
また、月読命(豊産祈願)や大己貴命(大国主命)、御食津神(五穀豊穣)などを祭神とする寺社ではその祭神の性格からウサギを神の使いとするところも多い。『[[古事記]]』には大国主命に助けられるウサギの話として「[[因幡の素兎]]」の話が伝わっている。
ウサギは道教・陰陽思想の影響を受けた[[十二支]]の生肖の1つでもあり、「卯(う)」として暦時方角をもあらわしてきた(ただし東南アジアでは[[ネコ]]が取って代わる)。
==== 多産・豊穣・性のシンボル ====