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=== エンキの紋章を奪う ===
メソポタミア神話において、イナンナは知識の神[[エンキ]]の誘惑をふりきり、酔っ払ったエンキから、文明生活の恵み「'''[[メー]]'''」(水神であるエンキの持っている神の権力を象徴する紋章)をすべて奪い、エンキの差し向けたガラの悪魔の追跡から逃がれ、ウルクに無事たどりついた。エンキはだまされたことを悟り、最終的に、ウルクとの永遠の講和を受け入れた。この神話は、太初において、政治的権威がエンキの都市エリドゥ(紀元前4900」(水神であるエンキの持っている神の権力を象徴する紋章)をすべて奪い、エンキの差し向けたガラの悪魔の追跡から逃がれ、ウルクに無事たどりついた<ref group="私注">これは中国神話で述べるところの「[[不老不死の薬]]」のことと考える。</ref>。エンキはだまされたことを悟り、最終的に、ウルクとの永遠の講和を受け入れた。この神話は、太初において、政治的権威がエンキの都市エリドゥ(紀元前4900]頃に建設された都市)からイナンナの都市ウルクに移行するという事件(同時に、最高神の地位がエンキからイナンナに移ったこと)を示唆していると考えられる。
=== イナンナ女神の歌 ===
=== イナンナとフルップ(ハルブ)の樹 ===
{{出典の明記|date=2018年2月}}<sup>''(出典の明記、2018年2月)''</sup>ある日、イナンナはぶらぶらとユーフラテス河畔を歩いていると、強い南風にあおられて今にも[[ユーフラテス川]]に倒れそうな「フルップ(ハルブ)の樹ある日、イナンナはぶらぶらとユーフラテス河畔を歩いていると、強い南風にあおられて今にもユーフラテス川に倒れそうな「フルップ(ハルブ)の樹<ref>[Hulupp]-[[アッカド語]]で「生命の木」のこと。アッカド語で「'''生命の木'''」のこと。</ref>」を見つけた。あたりを見渡しても他の樹木は見あたらず、イナンナはこの樹が世界の領域を表す[[世界樹]]([[生命の木]])であることに気がついた。
そこでイナンナはある計画を思いついた。
ヘビは樹を立ち去ろうとしないばかりかウトゥに襲いかかろうとしたので、彼はそれを退治した。ズーは子供らと高く舞い上がると天の頂きにまで昇り、そこに巣を作ることにした。リリスは自らの住居を破壊し、誰も住んでいない荒野に去っていった。
ウトゥはその後、樹の根っこを引き抜きやすくし、銅製の斧で輝く王冠と輝くベッドをイナンナのために作ってやった。彼女は「他の神々と一緒にいる場所ができた」ととても喜び、感謝の印として、その樹の根と枝を使って「プック(Pukku)とミック(Mikku)」(輪と棒)を作り、ウトゥへの贈り物とした。ウトゥはその後、樹の根っこを引き抜きやすくし、銅製の斧で輝く王冠と輝くベッドをイナンナのために作ってやった。彼女は「他の神々と一緒にいる場所ができた」ととても喜び、感謝の印として、その樹の根と枝を使って「プック(Pukku)とミック(Mikku)」(輪と棒)を作り、ウトゥへの贈り物とした<ref group="私注">イナンナには木を切り倒し、利用する職能神としての一面があるように思う。このような性質はヒッタイトの女神[[マリヤ]]にもあったと考える。</ref>。
なお、この神話には、ウトゥの代わりに[[ギルガメシュ]]が同じ役割として登場する[[ギルガメシュ叙事詩|ヴァリエーション(変種)]]がある。
=== ウルクの大杯 ===
高さ1m強、[[石灰岩]]で造られた大杯。ドイツ隊によって発見され、[[イラク]]博物館に展示されていた<ref>前川和也『図説メソポタミア文明』p.6</ref>。最上段には都市の支配者が最高神イナンナに献納品を携え訪れている図像が描かれ、最下段には[[チグリス]]と[[ユーフラテス]]が、その上に主要作物、羊のペア、さらに逆方向を向く裸の男たちが描かれている<ref>前川和也『図説メソポタミア文明』p.8</ref>。図像はイナンナと[[ドゥムジ]]の「[[聖婚]]」を示し、当時の人々が[[豊穣]]を願う性的合一の[[儀式]]を国家祭儀にまで高めていた様子を教えている<ref>前川和也『図説メソポタミア文明』p.9</ref>。
 
== 参考文献 ==
*[[アスタルト|アスタルテ]]
*[[アナト]]
* [[マリヤ]]:ヒッタイトの木工芸に関する職能神
== 参照 ==
[[Category:軍神]]
[[Category:ギンバイカ]]
[[Category:職能神]]

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