=== ヒッタイト語録 ===
マリヤの崇拝はヒッタイトの支配下のアナトリアでも続き<ref>Frantz-Szabó, 1987, p304</ref>、ヒッタイトの様々な資料でよく証明されている<ref>Payne, 2019, p242</ref>。ヒッタイトの伝統では、彼女は水、特に川と関連していた<ref>Rutherford, 2020, p331</ref>。目録(KUB 38.33;裏面5行目)には、マリヤの鉄製像が記載されており、女性の河の神と説明されている<ref>Taracha, 2009, p115</ref>。また、マリヤは'''庭の女神'''としても機能していた<ref>Haas, 2015, p410</ref>。"庭園のマリヤ "は、テキストKUB 42.23に記載されており、彼女を "ワインと穀物の母 "と述べている<ref>Taracha, 2009, p115-116</ref>。この女神の位格は、植生神テリピヌと一緒に供物を受け取っていた<ref>Schwemer, 2022, p376</ref>。植物の成長を司る女神として、イナラや川の女神シャヒリヤ(Šaḫiriya)と一緒に呼び出されることもあった<ref>Haas, 2015, p479</ref>。トゥドハリヤ4世(在位:紀元前1240年頃 - 紀元前1215年頃)の治世の供物リストには、マリヤという山の神が記載されており、おそらく他のヒッタイト文書で知られているマリマリヤ(Malimaliya)と同定されるであろう<ref>Haas, 2015, pp410-411</ref>。しかし、後者は男性の神である<ref>Haas, 2015, p496</ref>。トルコのトカトの北東にあるマムダーという山がそれにあたるかもしれない<ref>Frantz-Szabó, 1987, p305</ref>。また、マリヤが革職人と関係があったという証拠もある<ref>Steitler, 2019, p131</ref>。ハットゥサのアシュサ門の近くにある小川には、彼女を慕う皮革職人やなめし革職人のコミュニティがあった<ref>Taracha, 2009, p132</ref>。IBoT3.1には、高位の革職人が王家の夫婦の前で行われたマリヤの酒宴の際に、香水を入れるための容器(talla/-)を献上したことが記されている<ref>Steitler, 2019, pp131-132</ref>。また、マリヤと大工の関係も記録されている<ref>Rutherford, 2020, p331</ref>。 「大工のマリヤ」は、サッルンタッシという町の神の一柱であった「大工のマリヤ」は、サッルンタッシ(Salluntassi)という町の神の一柱であった<ref>Cammarosano, 2015, p216</ref>。
ヒッタイトの宗教では、マリヤは伝統的にカネシュの都市と関係があり、ネシテ語(ヒッタイト語)で歌う「カネシュの歌い手」がマリヤに捧げる数々の儀式に関与していた<ref>Taracha, 2009, p30</ref>。