そして、他の理由としては、やはりエンリルとニンリル的な話になってしまうのだが、キュニラースは何らかの理由ですでに死んでいるか、あるいはイノシシの姿に変えられてしまって人間ではないので、蘇るか、あるいは人間の姿に戻るために、人型の生け贄を一人必要としていたのではないだろうか。アドニースは、元々キュニラースが生まれ変わるために冥界か、それに近い環境で作った子供であって、チャンヤン神話のチャンヤンが蛾王の生まれ変わりのような状態なのと同じ存在だったと考える。
そこに「'''植物神の再生を促す人身御供'''」という要素が加わったので、アド-ニスは自らが祭主となることなく、'''人身御供となる'''方向に進むことになったのではないだろうか。本物語の場合、植物神の再生を促す祭りを主催するのはアプロディーテーとペルセポネーである。アドーニスがペルセポネーの恋人である点をみれば、二人の女神が植物として再生させようとしていたのは'''ハーデース'''なのではないだろうか。ハーデースとアドニースは名前の子音も似ている。 一方、キュニラースの子音はクロノスと類似している。これは : クロノスが生まれ変わるために'''アドニースという形'''で冥界にて生まれ変わったが、二人の女神の妨害を受け、クロノス(アドニース)自身がハーデースを植物として再生させるための生け贄にされてしまった。 と、そのような趣旨の神話なのではないか、と管理人は考える。ともかく、アドニースは「'''2回死んでいる'''」ので、それぞれの死について異なる意味があるのではないだろうか。でも、[[祝融型神]]であるキュニラースの生まれ変わりのアドニースもやはり[[祝融型神]]なので、おそらくアプロディーテーに「疫神」として力を抑えられ封印されて冥界に預けられたのではないだろうか。疫神は抑えてコントロールする必要があるからだ。そして、預かった方のペルセポネーも、できるだけアドニースを冥界にとどめようとしておくのではないだろうか。しかし、成長したアドニースは地上での生活を望み、冥界を出て行ってしまう。そしてアドニースが「狩りをする」とは、「疫病をはやらせて人々の命を狩る」ということなのではないだろうか。女神達だけでアドニースを抑えきれなくなれば、アーレースがこれを倒してまた冥界に封印するのだ。
== 参考文献 ==