ラビエ
インドネシアのウェマーレ族の神話に登場する女性である。天界の太陽神に求婚され、彼に殺される形で妻になる。妻になった後は月の女神となる。
神話[編集]
ラビエ(La Vie / Rabie)という少女が天に住む太陽の男トゥワレから求婚された。これを拒否すると、ラビエはトゥワレの仕業によって地面に引き込まれて死んだ。その間際、ラビエは豚を屠って葬宴を行うこと、三日後に自分は光明となって甦るだろうと言い残した。ラビエの葬儀を行うと、3日目の晩に、西の空に満月が現れた[1]。
太陽神トゥワレと月の女神ラビエの間に娘ボウワ (Bowwa)がいた。父トゥワレが人類を滅ぼすために大洪水を起こそうとした際、娘ボウワは母ラビエの助言(または銀の褌を身につける行為)によってそれを避難し、大地は元通りになったが、その出来事により女性に生理が始まった[2]。
「日月の話(台湾原住民アヤタル族)」[編集]
太古は昼のみで暑さが耐えがたかった。太陽を射ようと二人の少年が食料を持って出発し、途中で食べた蜜柑や李の種を植えながら進んだ。太陽のそばにつくと、一人は暑さで倒れたが、もう一人は太陽を射た。太陽から何かが飛び出して月になった。ある者は、点に太陽が二つあって、一つを射たところ月になったという(アヤタル族スコレク群ガオガン部族テイリク社、神々の物語166-167p)。
私的考察[編集]
前半[編集]
ラビエの語源はミャオ族の女神「バロン」と考える。台湾原住民の神話に「太陽が亡くなって月になる」という話があるので、ラビエは「死して月になった太陽女神」と考える。本当は
- トゥワレ:月神、ラビエ:太陽女神
- トゥワレ:太陽神、ラビエ:月女神
と太陽神と月神が「食べる」という作業を通して入れ替わる話だったと考える。
朝鮮には日妹・月(怪我をする太陽女神)という本物語とは逆に、兄のほうが月になった、という類似した伝承がある。トゥワレとラビエは、元は兄妹という関係だと思われるが、ヴェマーレ族の神話の中では、その設定は消されている。兄が月になる話には、「兄が母親に殺された」というエピソードが付加されることがあり、どちらの神話も「殺された側」が月神となっている。朝鮮の伝承と比較して、トゥワレとラビエはもともと「兄妹」で「兄妹始祖婚」の話だったことが推察される。ただし、その設定はヴェマーレ族の伝承からは削除されている。
トーテムとしての豚[編集]
ラビエは自らの葬儀の際に豚を生贄に捧げることを希望する。この豚の意味はなんだろうか。