蛇の息子

提供: Bellis Wiki3
2024年12月30日 (月) 13:52時点におけるBellis (トーク | 投稿記録)による版 (ページの作成:「=== 蛇の息子 === 語り手・小倉たつ枝(丹後町・鞍内) <blockquote>むかしあるところに、お爺さんとお婆さんとが住んでいて、お爺…」)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
ナビゲーションに移動 検索に移動

蛇の息子

語り手・小倉たつ枝(丹後町・鞍内)

むかしあるところに、お爺さんとお婆さんとが住んでいて、お爺さんがある日に畑打ちにいったら、かわいげな卵が出てきたそうな。ほで、「これはまあなんの卵だ知らんけど、きれいなんだし」思って、持ってもどって、いろりのふちにちょっと置いといた。そいたら、それがポカンと割れて、かわいげな蛇が出た。ほで、お爺さんとお婆さんはその蛇を、子供もにゃあし、子供みたいに大事にしてふじいう名をつけた。ほで山からもどると、「ああふじや、もどったで」言うて、食べ物やっては大きいしとっただそうだ。
そいたら、だんだんだんだん大きくなって、もう、いろりのふちにおられんようになって、からだを床下に入れて、首だけ出やて食べ物むらってばおったそうだ。ほいからあまりに大きなるもんで、ふじに
「これはもう、これにはおれんが、どこに行く」言うたら、「依遅ガ尾いうとこに大きな池がある。ほいで、依遅ガ尾の沢行く」言うて。
「そうならまあ、依遅ガ尾の沢へ連れていったろう」言うて、その大きな池へ連れて放すだった。
ほうしたところ、それが大きな大蛇になって、通んなる人を飲むですわ。ほで、だあれもそれをよう殺さんですし、お殿さんから、ふれが出て
「依遅ガ尾の大蛇を殺した者にはほうびをやる」言うて。ほで、あっちもこっちも行くんですけど、みな飲まれてしまって、だあれもよう討たなんだ。その話をお爺さんが聞いて
「これぁ、われぁもうほっておけん」言うことで、その池のふちい行って、コーンコーンと手を叩いて、「ふじやあ」いうて呼んだそうだ。そいたら、大きな大蛇がのろのろと出てきた。ほで
「お前はわしに討たれるか」言うたら
「うん」言うて、こう、うなずいたそうな。それで、お爺さんは鉄砲で.ハァーンと撃ったら、その蛇の死体がそこいぱあつと上がった。ほで、そいでお殿さんからものすごいごほうびをもらって、お爺さんとお婆さんは安楽に暮らしたそうだ。(『京都の昔話』(昭58・京都新聞社))[1]

関連項目

  • 丹後の伝説:5集、丹後の地名(最終閲覧日:24-12-19)