差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
3,058 バイト追加 、 2022年10月14日 (金) 23:37
アリアドネーの同類項群を調べていくと、だいたい「男女の似たようなペア」の神に行き着くわけです。アルテミスとディオニューソスもその1対で、どちらも報復心の強い「罰を与える神」である。アルテミスとディオニューソスが直接関わる神話はないように見えても、ディオニューソスの巫女集団であるマイナデスはアルテミスの神獣である鹿の扮装をしているので、アルテミスの化身であることが分かる。マイナデス達は「最下級のアルテミス」であって、巫女でもあるし、時には生贄にもなる。その主人がディオニューソスであるということは、ディオニューソスはアルテミスの主人でもある、ということになる。
 
ディオニューソスは牛神でもある。中国神話の牛神には、炎帝・蚩尤もいるが、火の神祝融の牛版といえる「火神牛」がいる。そして、ディオニューソスは母親を焼き殺して生まれてくる神なので、日本で言うところの火之迦具土神であり、インドで述べる所のアグニであり、中国神話の「火神牛」である、といえる。祝融もまた人を焼き殺す神である。そして、アルテミスの語源はアグニと同一と思われる。ということで、アルテミスとディオニューソスは人を焼き殺すような「火の神」の一対なのである。それぞれ神話の上では「火神」としての性質はあまり強くないのだが、出自や名前の語源がそう示している。彼らは古代中国の祝融に相当する一対といえる。彼らの性質は、「人々に狂気を与える」と言われている。ディオニューソスは酒の神でもあるので、酔っ払いの狂乱の祭祀が彼のトレードマークでもある。
 
ギリシア神話よりも古いフルリ神話の中にアダンマ女神とレシェフという一対がいる。彼らも火や太陽に関連した一対と言われている。アダンマ女神の名前はアルテミス女神と子音がほぼ一致しており、火神の一種でもあったと思われる。
 
そして、メソポタミアでは、エレシュキガルとネルガルという一対がいる。ネルガルは太陽神であり、疫神であり、冥界神である。「罰を与える日(火)の神」とは、疫神であったり、冥界神である、という性質が強くなってくる。他にもメソポタミアではラマシュトゥとパズズという疫神の一対がいる。
 
そこでまた中国に戻るが、中国には相柳と共工という洪水を起こす一対の神がいる。洪水が起きれば当然疫病も流行る。彼らには「火の神」という性質はほとんどない。ということは、相柳と共工から「火の神」としての性質を切り離して独立させたものが祝融で、水神としての性質に統一したものが相柳と共工とはいえないだろうか。古代中国では太陽神が天候神でもあったので、太陽神がまた水神でもあったのである。しかし、彼らは自律的に災厄を起こす、正真正銘の祟り神である。ただ、柳は古代中国では「春の訪れ」を意味する木であるので、かつて、相柳は春をもたらす西王母的な女神であったことの名残が名前に見られる。ただし、樹木(植物)というものは「死んだ人が化生するもの」なので、相柳は言外に「死んだ女神」であって、嫦娥と一致する神であることが示唆されている。
 
そして、高句麗で「柳」とつく女神といえば、高句麗の創始者・朱蒙の母・柳花夫人がいる。
== 参考文献 ==

案内メニュー