ブラギは語るところによれば、鷲に姿を変えたスィアチを棒で打った仕返しに、[[ロキ]]は鳥につかまれて空に向かってぐいぐいと引っ張られる。彼の足は石、砂利、木にぶつかって大きな音を立て、ロキは自分の腕が肩から引きちぎれるのではないかと思う。ロキが大声で叫んで鷲に休戦を乞うと、鷲はロキに、イズンをその林檎とともにアースガルズの外に連れ出すと正式に誓えば放してやると言う。ロキは承知し、友人の[[オーディン]]と[[ヘーニル]]のところに戻る。<!--スィアチとロキは同意に達し、-->ロキは、アースガルズから「ある森」にイズンを誘い出そうとして、自分が見つけた林檎をイズンが管理すべきだ、イズンの持っている林檎を持ち出して、ロキの見つけたリンゴと比べてみるべきだと説く。スィアチが鷲の姿で現れてイズンを強奪し、自分の宮殿である[[スリュムヘイム]]へ連れ去る<ref name=FAULKES60>Faulkes (1995:60).</ref>。
イズンがいなくなると、アース神族の老化が始まった。アース神族は集会を開き、イズンを最後に見たのはいつか互いに確かめ合う。イズンが最後に目撃されたのは、ロキと一緒にアースガルズの外に出た時だとわかり、ロキを捕まえて集会に引っ張り出し、殺すぞ拷問するぞと脅しをかける。恐怖に駆られたロキは、女神[[フレイヤ]]に「'''鷹の羽衣'''」を借りられれば、自分が[[ヨトゥンヘイム]]の地へイズンを探しに行く」と口走る。フレイアは鷹の羽衣をロキに貸し、ロキはそれを使って北のヨトゥンヘイムに飛んで翌日スィアチの宮殿に到着する。スィアチはボートで海に出ていてイズンだけが残っていた。ロキはイズンを'''木の実(胡桃)に変え'''、爪に掴んで必死に飛んで帰る<ref name=FAULKES60/><refgroup="私注">これは[[須佐之男命]]が[[櫛名田比売]]を[[櫛]]に変えた逸話を彷彿とさせる。</ref>。
帰宅したスィアチは、イズンがいなくなったことに気付き、鷲に姿を変えてロキを追い、大風を吹かせる。アース神族は木の実を掴んで飛ぶ鷹と、それを追う鷲に気付き、アースガルズの地下から木の削り屑を大量に持ち出す。鷹は砦の上に着くと壁沿いに落下する。鷲は鷹を見失っても止まることができず、羽根に火がついて墜落する。アース神族は近づいて[[霜の巨人]][[スィアチ]]をアースガルズの砦内で殺害し、「この殺害は広く知れ渡った」<ref name=FAULKES60/>。