日本における盤古についての記述には、陰陽道の文献のひとつである『簠簋内伝』(ほきないでん)<ref>村山, 1981, pp330-340, 410</ref>あるいは雑説や説話を多く収録している文献『榻鴫暁筆』に見られる'''盤牛王'''(盤牛大王とも。『榻鴫暁筆』では盤古王<ref>『榻鴫暁筆』, 1992, pp36-37</ref>)の話が確認出来る。また、能楽の文献である『八帖花伝書』などにも土用の間日に関する記述の起原として類似傾向の説話が書かれている<ref>村山, 1981, pp398-399</ref>。[[スサノオ|素戔嗚尊]](すさのおのみこと)と習合されていたり、仏典など各種の説話と混成されたりしており、中国神話を直接とったものではない特殊なものであるといえる<ref>脇田, 1991, pp4-7</ref>。その内容は以下のようなものである。
:天は初めにはその形が無く地もまたその姿かたちを持ってはいなかった。その様子は鶏卵のように丸くひとかたまりであった(宇宙卵生説)。この天地の様態のことを「最初の伽羅卵」という。この時、計り知れない大きさの蒼々たる天が開き、広々とした地が闢いた。そして、これら天地に生まれた万物を博載することの限りなさは想像すらできない。盤牛王はその世界の原初の人であった。その身の丈は十六万八千由旬であり、その円い顔を天となし、方形の足を地となした。そりたつ胸を猛火とし、蕩蕩たる腹を四海となした。頭は阿迦尼吒天に達し、足は金輪際の底獄に、左手は東弗婆提国に、右手は西瞿陀尼国にまで届いた。顔は南閻浮提国を覆い、尻は北鬱単越国を支えた。この世の万物で盤牛王から生じなかったものは一切ない。彼の左目は太陽となり、右目は月となった。その瞼を開けると世界は染明け、閉じると黄昏となった。彼が息を吐くと世界は暑くなり、吸うと寒くなった。吹き出す息は風雲となり、吐き出す声は雷霆となった。彼が天に坐すときは「大梵天王」といい、地に坐すときは「[[堅牢地神]]」と呼ぶ。さらに迹不生であるをもって「盤牛王」、本不生であるをもって「[[大日如来]]」と称するという。彼の本体は龍であり、彼はその龍形を広大無辺の地に潜ませている。[[四時]]の風に吹かれ、その龍形は千差万別に変化する。左に現れると[[青龍]]の川となって流れ、右に現れると[[白虎]]の園を広しめ、前に現れると満々たる水を[[朱雀]]の池に湛え、後ろに現れると[[玄武]]の山々を築いてそびえ立つという([[四神相応]])。また、彼は東西南北と中央に宮を構え、八方に八つの閣を開いた。そして五宮の采女を等しく愛し、五帝竜王の子をもうけたとされる。天は初めにはその形が無く地もまたその姿かたちを持ってはいなかった。その様子は鶏卵のように丸くひとかたまりであった(宇宙卵生説)。この天地の様態のことを「最初の伽羅卵」という。この時、計り知れない大きさの蒼々たる天が開き、広々とした地が闢いた。そして、これら天地に生まれた万物を博載することの限りなさは想像すらできない。盤牛王はその世界の原初の人であった。その身の丈は十六万八千由旬であり、その円い顔を天となし、方形の足を地となした。そりたつ胸を猛火とし、蕩蕩たる腹を四海となした。頭は阿迦尼吒天に達し、足は金輪際の底獄に、左手は東弗婆提国に、右手は西瞿陀尼国にまで届いた。顔は南閻浮提国を覆い、尻は北鬱単越国を支えた。この世の万物で盤牛王から生じなかったものは一切ない。彼の左目は太陽となり、右目は月となった。その瞼を開けると世界は染明け、閉じると黄昏となった。彼が息を吐くと世界は暑くなり、吸うと寒くなった。吹き出す息は風雲となり、吐き出す声は雷霆となった。彼が天に坐すときは「大梵天王」といい、地に坐すときは「堅牢地神」と呼ぶ。さらに迹不生であるをもって「盤牛王」、本不生であるをもって「大日如来」と称するという。彼の本体は龍であり、彼はその龍形を広大無辺の地に潜ませている。四時の風に吹かれ、その龍形は千差万別に変化する。左に現れると青龍の川となって流れ、右に現れると白虎の園を広しめ、前に現れると満々たる水を朱雀の池に湛え、後ろに現れると玄武の山々を築いてそびえ立つという(四神相応)。また、彼は東西南北と中央に宮を構え、八方に八つの閣を開いた。そして五宮の采女を等しく愛し、五帝竜王の子をもうけたとされる。
[[室町時代]]の神道家[[吉田兼倶]]も著書に盤古について記述しており<ref>{{cite journal|title=中国起源の神 -盤古-|url= https://hdl.handle.net/10487/5214|author= 廣田 律子|year=2009|journal=国際経営論集|volume=37}}</ref>、『[[神道大意]]』では、盤古王は[[ホオリ|彦火々出見尊]]の治世に生まれたと記している<ref>『[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/992876/13 神道叢説]』 「神道大意」国書刊行会 p.11(国立国会図書館)</ref>
== 関連事象 ==
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=== 関連作品 ===
※特筆性の高いものがあるようでしたら、この位置での執筆をお願いします。
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=== 超大陸と恐竜 ===
==== 盤古大陸 ====
20世紀以降の[[中国語]]では、[[古生代]]後期から[[中生代]]初期にかけて存在した[[超大陸]]「[[パンゲア大陸]]」を「'''{{Lang|zh|盤古大陸}}'''({{Small|[[簡体字]]}}: {{Lang|zh|盘古大陆}})」とも表記している。ここでの「盤古」は、"{{Lang|en|[[Wikt:en:Pangaea|Pangaea]]}}" の[[音訳]]であるとともに、中国語における「盤古」という用字の発音および意味を考慮した[[意訳]]にもなっている。また、この[[地質学]]用語と中国神話上の神名「盤古」との関連性は、かつてパンゲア大陸の[[アジア]]地域であった現在の[[雲南省]]において21世紀初頭に新種の[[恐竜]]の[[化石]]が発見された際、[[学名]]に神名「盤古」が冠されることにも繋がった。
{{Anchors|Panguraptor|盤古盗龍<!--※繁体字と紛らわしいので補完。-->}}
==== 盤古盜龍 ====
{{Wikispecies|Panguraptor|Panguraptor}}
'''{{Lang|la|{{Snamei||Panguraptor}}}}'''('''[[パングラプトル]]''')は、[[2007年]]に雲南省の[[中生代]][[ジュラ紀]]前期([[前期ジュラ紀]])の地層から化石が発見され、[[2014年]]に[[記載]]された新[[属 (分類学)|属]]新[[種 (分類学)|種]]の小型恐竜(小型[[獣脚類]])である({{仮リンク|コエロフィシス科|en|Coelophysidae}}に分類される)が{{Sfn|You ''et al.'', 2014}}、その名の構成要素 "'''Pangu'''" は、この生物が棲息していた当時の大地であるパンゲア大陸 (Pangaea) が中国語では「{{Lang|zh|盤古大陸}}」と呼ばれていること、および、その「盤古」が神名「盤古」と同じ音と綴りであることにちなみ、化石産出地である中国の極めて古い神である「{{Lang|zh|盤古}}({{Small|[[ピン音|拼音]]}}: [[Wikt:en:pán|pán]][[Wikt:en:gǔ|gǔ]])」の名と、俊敏で獰猛な小型獣脚類に対して用いられることの多い[[ラテン語]][[普通名詞]] "'''raptor'''" との組み合わせで、[ [[中国語|zh]]: Pangu(中国の[[固有名詞]]、神の名)+ [[ラテン語|la]]: {{Lang|la|[[Wikt:en:raptor#Latin|raptor]]}}(= ''A thief, robber, plunderer''. 盗人、強盗、略奪者)]という命名意図をもって[[造語]]されたものである{{Sfn|You ''et al.'', 2014|loc=<br />"Etymology. The genus name is from “Pangu” (Chinese), well known in Chinese mythology as the first living being and the creator of all reality, and “raptor” (Latin), meaning “thief” or “robber”."}}。中国語ではこれが[[漢訳]]され、恐竜に定番の「龍」の字を添えて「'''{{Lang|zh|盤古盜龍}}'''({{Small|簡体字}}: {{Lang|zh|盘古盗龙}})」と呼ばれている。
== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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== 参考文献 ==