===== 私的解説 =====
社会的な身分関係では、神である天稚彦の方が、人間である'''長者の末娘'''よりも高いといえる。これは[[プシューケー|クピードーとプシューケー]]に似た構造である。天稚彦草子では、女主人公が主人公の「'''首を切る'''」と主人公が蛇から人へ変化する。これはかつては女主人公が'''格の高い女神'''であって「'''死と再生'''」を司り、生贄に捧げられた男性(夫)の命を奪うし、別のものに化生させる、という思想の名残であると思う。日本ではこのような女神を九頭竜とか御社宮司神と言ったのではないか、と個人的には考える。いわゆる」を司り、生贄に捧げられた男性(夫)の命を奪うし、別のものに化生させる、という思想の名残であると思う。日本ではこのような女神を九頭竜とか御社宮司神とか乙姫と言ったのではないか、と個人的には考える。いわゆる[[女媧型女神]]である。[[プシューケー|クピードーとプシューケー]]と比べれば、天稚彦草子の方が、女主人公に、このような「かつての格の高い女神」の姿が残されているように思う。
====娘(人間)⇒脇息====
#天稚彦が女を脇息にして、'''天稚彦自身が'''それに寄り掛かった。(やってきた父鬼は)眼もあてられないような恐ろしい形相である。
#天稚彦が女を脇息にして、'''父鬼が'''それに寄り掛かった。(脇息になった女がどんな気持ちでいるかを考えると)天稚彦にはとても見ていられない光景である<ref>日本古典文学全集 36 御伽草子集</ref>。
====娘(人間)⇒扇子、枕など====
天稚彦が昼寝をするときも娘を枕に変えていれば眠っていても身近に置いておけるし、父鬼からも隠せたはずであるが、天稚彦は娘を人間に戻してしまったため、結果として娘は父鬼に見つかってしまう。-->
== 私的解説・後半部分 ==
物語の前半部分は、女主人公に、「かつての格の高い女神」の姿が垣間見える。
中間部分は、女主人公が主人公の霊力で、次々と変身を繰り返していく様が現される。前半部分とは逆に「男性こそが生と死を司る神である」となって、男女の神の地位が逆転していることが分かる。
後半部分は、「難題嫁」と言うべき展開になり、女主人公は舅から様々な難題を吹きかけられるが、夫の助けを得て問題を解決していく。これは姑に難題を吹きかけられる
==関連項目==