現在の神話では黄帝が蚩尤を倒した、とされているが、果たして元からこのような形だっただろうか、と思う。なるべく、元の形に近い名を挙げるのであれば、'''「魃」という女神'''が蚩尤を倒した、と言えるかと思う。また、雷雨を操るという「'''応竜'''」も挙げられるであろう。いずれも、蚩尤を倒した後、「'''天に戻れなくなった'''」という逸話を持つ。古代中国も混血が進んで「漢民族」というものが形成される前は広大な地に他民族が住んでいたと思われるので、個人的には「'''魃と応竜は同じもの'''」なのではないかと思う。別々の部族で、「蚩尤を倒した」とされる神が複数の系統に分かれ、その内「魃」と「応竜」が有力な神だったので、漢民族の神として神話を纏める際に採用されたのではないだろうか。彼らは天候と絡めて、「北で干魃を起こす魃、南で雨を降らせる応竜」として組み合わされたが、元は一つのものだったと考える。いわば、蚩尤は黄帝ではなく、「'''黄帝の娘'''」に倒されたと言えるのではないだろうか。
その根拠としては、インド神話のヴリトラが挙げられるように思う。ヴリトラは「巨大な蛇の怪物」とされるが、干魃を起こす蛇神である。中国の「魃女神」も、「竜」というものが発生する以前は、蛇神と考えられており、干魃を起こす神でもあったのではないだろうか。ヴリトラの名の子音は「BT」であって、まさに「魃」と一致する。インドでは、ヴリトラはインドラに倒されてしまう。デーヴァの神々が正統なのだから、神々の正統性を示すためにも、神々は勝者でなければならないからだ。では、デーヴァとは何なのだろうか。その根拠としては、インド神話のヴリトラが挙げられるように思う。ヴリトラは「巨大な蛇の怪物」とされるが、干魃を起こす蛇神である。中国の「魃女神」も、「竜」というものが発生する以前は、蛇神と考えられており、干魃を起こす神でもあったのではないだろうか。ヴリトラの名の子音は「BT」であって、まさに「魃」と一致する。インドでは、ヴリトラはインドラに倒されてしまう。デーヴァの神々が正統なのだから、神々の正統性を示すためにも、神々は勝者でなければならないからだ。では、デーヴァとは何なのだろうか。それは'''ティウグ(tʰjɯɢʷɯ)'''と呼ばれた蚩尤のことなのではないだろうか。蚩尤と中国のアプロディーテとも言えるのではないかと思う魃女神との戦いは、中国とインドで正反対の神話が語られているのである。
== 概要 ==