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スギは雪に強いのも生態的な特徴の一つになっている。特に多雪環境で進化したウラスギの系統は[[ブナ]](''Fagus crenata'')と並び日本のの樹木では最も多雪環境に対応したものの一つとされる<ref> 酒井昭 (1977) 植物の積雪に対する適応. 低温科学生物編34, pp. 47 - 78. hdl:2115/17828</ref>。更新は種子によるものの他に枝が接地したところから発根し個体を増やす取り木的な伏条更新を取ることで知られ、特にウラスギ系統は伏条更新の報告が多い<ref>平英彰, (1994) タテヤマスギの更新形態について. 日本林学会誌76(6), pp. 547 - 552. doi:10.11519/jjfs1953.76.6_547</ref><ref>川尻秀樹・安江保民・大橋英雄・中川一 (1989) 岐阜県板取村のカブスギ集団の実態. 日本林学会誌71(5), pp. 204 - 208. doi:10.11519/jjfs1953.71.5_204</ref>。これも多雪環境に対する適応とみられる。その反面冬季の低温と乾燥に対し日本海側のスギは太平洋側のものよりも弱いことが指摘されている<ref>武藤惇・堀内孝雄 (1974)スギ種子産地と寒害抵抗性. 日本林学会誌56(6), pp. 210 - 215. doi:10.11519/jjfs1953.56.6_210</ref>。多雪に適応するが乾燥や低温に弱く分布が限られるという事例はほかの植物であっても[[ユキツバキ]](''Camellia rusticana'')と[[ヤブツバキ]](''C. japonica'')の関係<ref>石沢進 (1985) 植物の分布と積雪―新潟県およびその周辺地域について―. 芝草研究14(1), pp. 10 - 23. doi:10.11275/turfgrass1972.14.10</ref>、ブナ属とコナラ属の関係<ref>中静透 (2003) 冷温帯林の背腹性と中間温帯論. 植生史研究11(2), pp. 39 - 43. doi:10.34596/hisbot.11.2_39</ref>などでもしばしば指摘される。
土壌の表層があるような個所では実生の定着が悪く、秋までにほとんど死滅してしまうという<ref>冨沢日出夫・丸山幸平 (1993) 佐渡島のスギ天然林における実生更新の可能性. 日本林学会誌75(5), pp. 460 - 462, {{doi|10.11519/jjfs1953.75.5_460}}</ref>。特に屋久島や積雪地の個体群では実生の生存には倒木の存在が重要であることがしばしば指摘され<ref>Eizi SUZUKI (1996) The dynamics of old ''Cryptomeria japonica'' forest on Yakushima Island. Tropics 6(4), pp. 421 - 428. {{doi|:10.3759/tropics.6.421}}</ref><ref>太田敬之・杉田久志・金指達郎・正木隆 (2015) スギ天然生林におけるスギ実生の分布と生存―出現基質間の比較―. 日本森林学会誌.97(1), pp. 10 - 18. {{doi|:10.4005/jjfs.97.10}}</ref>、実生で更新する場合はいわゆる[[倒木更新]](nurse 、実生で更新する場合はいわゆる倒木更新(nurse log)・切株更新を採る樹種であると見られている。
人工的には[[挿し木]]で増やすことも比較的容易とされておりスギの林業が盛んな地域は苗木生産の方法として実生によるものが盛んな地域と挿し木が盛んな地域に二分される。さし穂の発根率や生存率は品種によって異なる人工的には挿し木で増やすことも比較的容易とされておりスギの林業が盛んな地域は苗木生産の方法として実生によるものが盛んな地域と挿し木が盛んな地域に二分される。さし穂の発根率や生存率は品種によって異なる<ref>榎本善夫 (1949) 挿スギに見られた根及び癒傷組織発達の林業品種による差異に就いて. 東京大学農学部演習林報告37, pp. 11 - 18. {{hdl|:2261/23336}}</ref><ref>宮島寛 (1951) スギの挿木に於ける発根と品種との関係に就て. 九州大學農學部學藝雜誌13(1/4) p.277-281. {{doi|:10.15017/21238}}</ref>。発根困難種でも薬剤処理によってある程度改善されるという<ref>石川広隆・田中郁太郎 (1970) 発根困難なスギ精英樹のさし木に及ぼすインドール酪酸の効果. 日本林学会誌52(3), pp. 99 - 101. {{doi|:10.11519/jjfs1953.52.3_99}}</ref><ref>大山浪雄・上中久子 (1970) 発根困難なスギ,ヒノキの精英樹のさし木に対するエクベロン(インドール酪酸)の効果. 日本林学会誌52(12), pp. 374 - 376. {{doi|:10.11519/jjfs1953.52.12_374}}</ref>。また、挿し床や挿し穂切り口付近の加温で発根率が向上するという報告がある<ref>阿部正博・今井元政・島田一美 (1957) 電熱温床によるスギ老令樹さし木試験. 日本林学会誌39(6), pp. 245 - 248. {{doi|:10.11519/jjfs1953.39.6_245}}</ref><ref>武田英文 (1971) 伝熱温床による秋田スギさし木試験(会員研究発表講演). 日本林學會北海道支部講演集19, pp. 99 - 102. {{doi|:10.24494/jfshc.19.0_99}}</ref>。挿し木苗と実生苗では特に初期の成長に差が出ることがしばしば指摘されており、実生苗の方が成長が良いというものが多い。成長の差から積雪地では挿し木苗が不利であるとするものもある<ref>宮下智弘 (2007) 多雪地帯に植栽されたスギ挿し木苗と実生苗の幼齢期における成育特性の比較. 日本森林学会誌89(6), pp. 369 - 373, {{doi|:10.4005/jjfs.89.369}}</ref>。挿し木林業が盛んなところは九州や千葉県など比較的雪の少ない所に多い。
耐塩性については品種、及び樹齢によって異なるとされる<ref>青木正則・石川春彦 (1971) スギ品種の耐塩性の差異について. 日本林学会誌53(4), pp. 108 - 112. {{doi|10.11519/jjfs1953.53.4_108}}</ref>。

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