息も絶え絶えなオオゲツヒメは狭姫を呼び、「お前は末っ子で身体も小さい。形見をやるから安国へ行って暮らすがよい」と言って息を引き取った。と、見る見るうちにオオゲツヒメの遺体から五穀の種が芽生えた。狭姫は種を手にすると、そこにやって来た赤雁の背に乗って旅だった。
[[海]]を渡って疲れた赤雁が[[高島 (島根県)|高島]](現[[益田市]])で休もうとしたところ、大山祇([[オオヤマツミ]])の使いの[[鷹]]が出てきて「我は肉を喰らう故、五穀の種なぞいらん」と狭姫を追い払った。続いて[[須津 (島根県浜田市)|須津]](現[[浜田市]][[三隅町 (島根県)|三隅町]])の[[大島 (島根県浜田市)|大島]]で休もうとしたところ[[鷲]]が出てきて同じように追い払った。海を渡って疲れた赤雁が高島(現益田市)で休もうとしたところ、大山祇(オオヤマツミ)の使いの鷹が出てきて「我は肉を喰らう故、五穀の種なぞいらん」と狭姫を追い払った。続いて須津(現浜田市三隅町)の大島で休もうとしたところ鷲が出てきて同じように追い払った。
しかたなく力を振り絞った狭姫と赤雁は[[鎌手大浜]](現益田市)の[[亀島 (島根県益田市)|亀島]]で一休みして、そこから赤雁(現益田市)の[[天道山 (島根県)|天道山]]に降り立った。更に[[比礼振山]](現益田市)まで進むと、周囲に種の里を開いた。神も人も喜び、狭姫を種姫と呼んであがめた。しかたなく力を振り絞った狭姫と赤雁は鎌手大浜(現益田市)の亀島で一休みして、そこから赤雁(現益田市)の天道山に降り立った。更に比礼振山(現益田市)まで進むと、周囲に種の里を開いた。神も人も喜び、狭姫を種姫と呼んであがめた。
ある日のこと、種の里を出た狭姫は[[巨人 (伝説の生物)|巨人]]の[[足跡]]に出くわした。土地のものに聞くと、大山祇巨人のことだという。巨人が迫って、土地の者は逃げ出した。狭姫も逃げ惑ったが、小さい身体ゆえどうにもならない。命からがら逃げ帰った狭姫だが、巨人たちがいると安国を造ることはできないと考えた。ある日のこと、種の里を出た狭姫は巨人の足跡に出くわした。土地のものに聞くと、大山祇巨人のことだという。巨人が迫って、土地の者は逃げ出した。狭姫も逃げ惑ったが、小さい身体ゆえどうにもならない。命からがら逃げ帰った狭姫だが、巨人たちがいると安国を造ることはできないと考えた。
赤雁の背に乗って出かけた狭姫だったが、とある山に空いた大穴から[[いびき]]が聞こえてくる。「そこにいるのは誰か?」と問うと、「自ら名乗らず他人の名を訊くとは何事だ」と返ってきた。声の主はオカミ(赤雁の背に乗って出かけた狭姫だったが、とある山に空いた大穴からいびきが聞こえてくる。「そこにいるのは誰か?」と問うと、「自ら名乗らず他人の名を訊くとは何事だ」と返ってきた。声の主はオカミ([[淤加美神]])といって大山祇の子だった。恐ろしくてならない狭姫だったが、勇気を振り絞って、では直接お会いしたいと強い調子で申し出ると、オカミは「我は頭が人で体が[[蛇]]だから神も人も驚いて気を失うだろう。驚かすのはよくないことだ。それより我が[[兄]]の[[アシナヅチ|足長土]]に会い給え」と言って急に調子を改めてしまう。
狭姫は考えた。オカミは[[雨]]を降らす良い神だが、大山祇巨人と足長土<ref>足長土は「あしなづち」、また手長土は「てなづち」とも読み、八岐大蛇神話に登場する足名椎命と手名椎命に掛けている。手長足長が元。</ref>はどこかに追いやらなければならない。